今日の記者会見で、菅首相が、電力会社から送電部門を切り離す発送電分離を検討すべきだとの考えを示した。原発事故を契機とする電力供給分野の競争構造をめぐって議論が本格化しようとしているのに、公取委の動きが全く見えないのはどういうことなのか。
今回の、電力自由化の問題は、日本の経済社会における競争政策に関しても極めて重要な問題だ。まさに競争政策官庁である公取委の出番なのに、一体何をしているのか。
震災によって日本の社会は不連続的な変化を遂げた。競争政策も同様だ。震災復興における公共工事の在り方も、効率性、合理性という観点が不可欠だ。発注数年前までの、談合排除論一辺倒の競争政策は、ほとんど役に立たない。
そういう意味で、競争政策において最も重要な問題は電力の自由化を、安定供給上の阻害、地域的な価格の非対称性などの問題をクリアしつつ、いかに競争のメリットを拡大していくのかが、今後の競争政策における重要な課題のはずだ。
公取委は、まさに、そのような重要な競争政策上の問題に関して、その真価を発揮すべきだ。ところが、談合排除に浸りきってきた公取委には、そういう方向への発想の転換ができないようだ。このままでは、公取委は霞が関の中のガレキと化してしまうだろう。
竹島委員長には、競争政策官庁のトップとしての鼎の軽重が問われている。