長崎県大石賢吾知事検察審査会申立書で、申立書を公開しましたが、これに関して、本日10月24日、大石知事が記者会見で説明を行ったので、それについて以下のコメントをマスコミに公表しました。
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本日(10月24日)、大石知事が行った「一連の政治資金に関する事案についての説明会見」での説明について、検察審査会に審査申し立て中の大石知事の政治資金規正法違反事件の告発人および大石健吾講演会の元職員の代理人弁護士の立場で、以下のとおりコメントします。
1.「2000万円の2重計上に気づいたのはいつなのか」との質問につ いて、大石知事が「以前、元監査人と報道されている方のご指摘を受けてのこと」と認めた件について
この点について、大石知事は、「昨年6月9日のzoom会議の音声が流出した際、3月の会見で知事は、こういった会話は記憶していると話していたが、少なくともその時点では2重計上があるっていうのは理解していたということか」と質問され、
2重計上で、どちらが誤りであること、しっかりと精査をして、弁護士も含めて精査した上で、やはりこれは間違いだということを確認したのは、ちょっと後になります。ただ、その2000万円が2つあるよということがあって、私が確かに1つしかありませんと、それが2つあるのであれば間違いですと言ったのは、かつて監査人と呼んでいた方から言われたことに対して返答はさせていただいています。
と述べ、「二重計上」を最初に認識したのが「①元監査人の指摘」であることを認め、その後、「②弁護士を交えた精査」によって適正な処理を行ったと説明した。
これまで大石知事が説明してきたように、収支報告書に記載した時点から「2000万円の後援会への貸付金は実在し、架空ではない」と認識していたのであれば、「二重計上」を最初に認識した時点でも、「収支報告書の記載の誤り」の問題と考え、「収支報告書の適正な記載」を検討することになるはずである。問題は、①の時点で、どのような問題だと認識し、どのように対応しようとしていたのかである。
この点について、記者から、「2重計上を分かっていながらその場で訂正をしなかったこと」「不正な出金という知事が言っている流れの中で、訂正をするような動きではなかったこと」について質問され、
何が適正であって、何が誤りであるのか、しっかりと精査した上で、専門家を交えて精査をした上で正確に直す事実確認のために時間がかかった」「監査人と呼んでいた人に対して、もし誤りがあるのであれば適正に直していきたい、正確なものにしていきたいとお願いしていたし、それを実際に具体的に正確にやっていただける方だという風に私は信頼をしていた。」
と答えている。
「専門家を交えて精査をした上で正確に直す事実確認のために時間がかかった」というのは②の時点のことである。
①の時点で、元監査人は、「後援会への2000万円の貸付金は架空計上」と指摘し、そのままでは重大な問題になりかねないと言って、「返金スキーム」を提案したものであることは明らかであり、少なくとも、その後の弁護士を交えての②のような政治資金収支報告書等の適正処理についての対応の検討ではない。
問題は、①の時点で「監査人と呼んでいた人に対して、もし誤りがあるのであれば適正に直していきたいとお願いしていた」のかどうかであるが、この時点の直後、大石知事も関わる形で、後援会の資金を監査人側に移動させた事実があり、それは、「不正の出金」であるかどうかは別として、大石後援会の政治資金収支報告書の記載を訂正ではなく、貸付金の返済として大石知事が後援会から受け取っていた約650万円を後援会に返金するためのものであることは明らかである。上記の記者の質問は、この点を指摘するものだが、大石知事の答は、それに対してはする説明になっていない。
2000万円の貸付金を後援会の収支報告書に記載した時点で、大石知事が、「2000万円の貸付金が架空計上ではなく、実在している」と認識していたのであれば、最初に「元監査人」から指摘された時点で、そのように説明していたはずである。「後援会への返金」の話が出てくることはあり得ない。
その時点で、元監査人に対して「後援会への貸付金は架空計上」と認めざるを得なかったのであり、それは、収支報告書の2000万円の貸付金が架空であり、その記載が虚偽であることの認識があったことを認めたことに等しい。
2 「2000万円の消費貸借契約書の日付が2日ズレている問題について
大石知事は、記者から「元職員の方が、ご自身がコンサルタントに間違いなく正確な2000万円の入金を1月14日と伝えたと主張されていて、コンサルタントが意図的に2日ずらしている。これは同一と思われないようにするためではないかと主張されている」ことについて質問を受け、
どういった主張されているのか私はわかりませんけども、それにコメントは全くありません。私の見解、認識としては、前回説明をした通り。12日のところで、通帳を見ますと、12日に入金の、別の入金の項目があり、それが一段上になってたので、おそらくそれが誤って伝わったんじゃないかなと私は思います。
と答えた。
この点は、質問が若干不正確であり、検察審査会申立についての記者会見の際に述べたとおり、元職員は、「入金日を誤って伝えることはあり得ない」「選挙コンサルタントから『知事が選挙で用意した自己資金1月14日借入の2000万と別に用意したお金で貸付けたものと認識させるため、わざと日付を令和4年1月12日にしています』との説明を受けた」旨供述しているものである。
それについて、大石知事が「コメントが全くない」ということは、選挙コンサルの説明も含め、元職員の具体的な記憶に基づく供述を否定する根拠がないということであり、1月12日の後援会への2000万円の貸付金が1月14日の実際の入金とは別個のものだったことは否定できないということである。
なお、この点に関して、大石知事は、「元職員から話を聞く必要があると思っており、後援会の方から、元職員の方に事実の確認をしたいということでお尋ねをしているが、対応していただけてない」と述べているが、9月16日に、元職員のところに大石賢吾後援会からの配達証明の郵便物が届き、大石後援会との関係は、すべて代理人の当職に対応を委任し、そのことは、後援会宛てに受任通知を送って通告しているのに、直接、後援会から配達証明で郵便物が届き、「改めて対面で話を聞かせてほしい」などと書かれていたことから、後援会側に問い質したところ、後援会の担当者の話では、後援会の代理人弁護士がそのような質問状を作成して元職員宛てに送付したとのことだった。
当職からは後援会に代理人受任通知を送付しているのに直接当事者に連絡したことについて厳重に抗議をした。その後、後援会側からは全く連絡はない。大石知事が、「元職員の方に事実の確認をしたいということでお尋ねをしているが、対応していただけてない」というのは事実に反する。
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