「横浜市大への不当圧力」が、山中市長にとっても重大問題である理由

私が請願者、3人の市会議員が紹介議員となって横浜市会に提出した「横浜市大への不当圧力問題」の件、9月24日の常任委員会(政策・総務・財務委員会)で審議されることとなった。同委員会の草間剛委員長も、ツイッターで、常任委員会での請願書審査の予定を明らかにするとともに、審査に先立って当事者が説明責任を果たすことへの期待を示されている。 

請願書に添付した市大当局と市議らとの面談記録についても、横浜市が、市会議員に正式に開示し、市が作成した公式文書であることが明らかになったので、一昨日(9月12日)、請願書・添付資料全体をブログで公開した(【横浜市会議員らによる横浜市大への「不当圧力」問題の請願書・添付資料を公開】

「複数の市会議員による、横浜市が設置する公立大学トップへの不当要求」という、看過できない重大なコンプライアンス問題であり、二元代表制の一翼を担う市議会としての自浄作用の発揮が強く求められる。

それだけではない。そもそも、この問題は、市大の現職教授であった山中竹春氏の市長選出馬が報じられた時点で、理事長・学長名で発出された学内文書に反発した山中氏が、理事長らに訂正・謝罪を求めたことに端を発するものだ(請願書添付資料では「黒塗り」とされているが、その人物が山中氏であることは、私が、独自の情報に基づいて、8月5日のブログ記事【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】で明らかにしている)。その経緯に関して、請願書に記載していること以外にも、独自に情報を得ている。常任委員会における請願書審査の前提事項にも関連するので、ここで明らかにしておきたい。

市大理事長・学長の「山中教授、市長選出馬」報道への対応

6月10日前後、横浜のマスコミ各社は、「山中教授、市長選出馬へ」の情報を得て、山中氏本人や大学側に取材をかけていた。理事長(学長)は、それを受けて、山中氏に出馬の意向があるのか否かを確認したが、山中氏は否定した。しかし、その後も、「山中教授出馬」に関する取材の動きは収まらなかったので、理事長(学長)は、再度、山中氏の意志を確認しようとしたが、山中氏は、電話に全く出なかった。

そのような状況にあった6月16日に、新聞、テレビ各社が「山中教授、市長選出馬」を一斉に報じた。このような報道が一斉に行われるのは、本人が出馬意志についてコメントをしたからと考えられる。一方で、学長補佐・データサイエンス研究科長の要職にある山中教授が市長選への出馬が突然報じられたことで、教職員は動揺し、市大内部の混乱が拡大しかねない状況であった。理事長(学長)は、山中氏の市長選挙への出馬、退職意思を確認しようと必死に連絡をとろうとしたが、理事長・学長からの電話に山中氏は全く出ないので、本人の意向を確認しようがない。

大学当局として、山中教授の市長選出馬や、退職について本人の意向を把握しているのか問われ、「わからない」というわけにもいかない。学内の動揺を抑えるために、教職員に向けての学内文書(6.16文書)を発出し、「ご本人と連絡がとれない状況が続いていますが、現在も連絡をとり続けており、意思確認に務めております。」と述べたのは、その時点における理事長・学長側の認識そのものであり、何ら事実と異なるものではない。

また、学長補佐・研究科長の職にある山中氏が仮に市長選に出馬するとしても、横浜市が設置する公立大学としては、選挙活動・政治活動に一切関わることはなく、「中立の立場を貫く」というのも、公立大学として極めて重要なことであり、その旨学内文書に付記するのも当然だ。

同学内文書の発出は、その時点での理事長・学長として当然の極めて正当な対応だったと言える。

山中氏側の反発と訂正・謝罪要求の不当性

 ところが、山中氏は、市大の理事長・学長名義で、このような当然の学内文書が発出されたことに強く反発し、立憲民主党の花上喜代治、今野典人市会議員とともに、大学当局と面談し、6.16付け学内文書の「『連絡がつかない状況が続いている』との記載は事実に反する、林市長の意向を忖度し、対立候補の活動を妨害するもの」などと言って、理事長らに訂正・謝罪を要求した。

そして、何回も面談を重ねた上、最終的には、訂正・謝罪に加えて、「設置主体の林市長に配慮した内容」などの記載や、山中氏について「素晴らしい研究業績」などの山中氏への称賛を含む7月26日付け学内文書(7.26文書)を発出させた。

 これについて、山中氏側の反論があるとすれば、「6.16文書発出の時点で、学内の特定の人物と連絡がとっていた事実があり、そのことを、理事長・学長が知らなかったとすれば学内問題なので、同文書の『連絡がつかない状況が続いている』との記載は事実に反する。だから訂正・謝罪を求めた」というような主張であろう。

しかし、これは、全くの「詭弁」に過ぎない。

山中氏は、市長選への出馬が報じられた時点で、現職の市大教授であり、学長補佐・研究科長という立場にもあった者である。公立大学法人横浜市立大学職員就業規則23条によれば、「退職を申し出て、理事長から承認された場合に、退職によって職員としての身分を失う」とされており、「理事長の承認」が退職の要件となっている。また、教員の場合は、退職する日の6か月前までに文書をもって理事長に申し出ることとされている(24条)。

その時点で出馬を本気で考えていたのであれば、自ら理事長・学長に連絡をとり、市長選への出馬の意志があり、市大教授の退職する意向であることを伝えるのが当然だ。自分と親しい学内者だけと連絡をとっていたとしても、理事長・学長からの電話に出なかった以上、実質的にみても「連絡がとれない状況」にあったことは否定できない。しかも、その学内文書が発出された16日の翌日の17日には、東京新聞(【横浜市長選、IR反対派の横浜市大・山中教授が出馬意向】)、18日には神奈川新聞の取材に応じて「立憲民主党などの野党勢力の推薦や支持を得られれば出馬する意向」を明らかにしている。理事長・学長が、連絡がとろうとしても電話がつながらずに焦っていたのと殆ど同じタイミングで、山中氏は、東京新聞の取材に答えて出馬の意志があるとコメントしていたのである。その山中氏が、学内文書の「連絡がつかない状況が続いている」と記載が事実に反するとして訂正・謝罪を求めること自体、正当化する余地はないように思える。

しかも、山中氏側は、理事長・学長名義の文書で「連絡がつかない状況が続いている」と記載したことを「事実に反する記載」だとした上、それが「設置主体である横浜市の林市長に対して配慮した内容」だとして、「コンプライアンス違反」(請願書添付資料3)などと非難している。しかし、林文子市長は最終的には市長選に出馬したが、6月16日当時は、高齢・多選などを理由に、自民党横浜市連が市長選では支援しない方針を明らかにして、他の候補を模索していた状況であり、横浜市役所内部でも林市長が市長選に出馬すると予想されていたわけではなかった。「林市長に忖度して事実に反する学内文書を発出して山中氏の選挙・政治活動を妨害しようとした」などというのは、全くの「言いがかり」である。

 上記の経過については、横浜市会の常任委員会での審議で、或いは、その前提事実として確認されることになるであろう。

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横浜市会議員らによる横浜市大への「不当圧力」問題の請願書・添付資料を公開

 9月6日、複数の市会議員が横浜市立大当局に不当な圧力をかけた問題について事実解明と再発防止を求める請願書を、3名の市会議員を紹介議員として、横浜市会に提出しました。

 同日、請願書提出について、市政クラブで記者会見を行いましたが、請願書の添付資料とした「面談記録」については、入手先を秘匿する必要があり、出所を明らかにできなかったため、請願書・添付資料そのものの公開は差し控えてきました。

 紹介者の市会議員からの連絡によれば、請願書の添付資料とした面談記録が、市から正式に、横浜市大当局の面談記録として市会議員に開示されたとのことですので、請願書・添付資料全文を以下に公開します。

 なお、本請願書については、政策・総務・財務委員会で審議されることになり、9月24日の同委員会で審査されることを、同委員会委員長のくさま剛市会議員(@kusamatsuyoshi)がツイッターで明らかにされています。

 以下の資料では、立憲民主党の花上喜代治議員、今野典人議員が、市大への不当圧力の当事者として面談記録に記載されていますが、問題は、面談記録上「黒塗り」とされている人物です。市長選挙告示前の8月5日のブログ記事【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】で述べたように、私が入手した独自情報によれば、この市大への不当圧力を主導したのは、山中竹春氏だと聞いています。

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リコール署名妨害「書類送検」で「犯罪の嫌疑」を印象づける“中京テレビネット記事”

本日(9月9日)深夜の零時過ぎ、中京テレビの以下のようなネット記事がアップされ、Yahoo!ニュースに転載されるなどして、広く読まれている(Yahoo!ニュースは、その後削除されている。)。

【知事リコール署名めぐりジャーナリスト津田氏、香山氏ら4人書類送検 愛知県警】

愛知県知事のリコールを求めた署名運動をめぐり、うその情報をツイッターに載せて運動を妨害したとして、ジャーナリストの津田大介氏ら4人が書類送検されていたことがわかりました。

 地方自治法違反の疑いで書類送検されたのは、ジャーナリストの津田大介氏や、精神科医の香山リカ氏ら4人です。関係者によりますと、4人は、愛知県の大村秀章知事のリコールを求めた署名運動をめぐり、ツイッターに「県知事リコールに参加した人たち、愛知県公報で本名と住所が県民に告知されるんですね」などと、うその情報を載せて、署名することをとどまらせて運動を妨害した疑いがもたれています。

 運動を主導した「高須クリニック」の高須克弥院長が、去年、刑事告発をしていて、愛知県警が受理していました。

津田氏は中京テレビの取材に「これまで通り聴取に協力します」とコメントしています。

この記事を読んだ人の多くは、津田大介氏らに地方自治法違反の犯罪の嫌疑があって「書類送検」されたような印象を持ったであろう。実際に、Yahoo!ニュースのコメントの多くが、そのような前提で書かれている。

しかし、このような「警察に告発された事件」については、「捜査後速やかに、これに関する書類及び証拠物を検察官に送付(書類送検)しなければならない」のであり(刑訴法242条)、告訴・告発については、刑事訴訟法上は、受理する義務は定められていないが、犯罪捜査規範63条で「告訴・告発は、受理しなければならない」と定められていることからすると、告発が行われた場合の「書類送検」は必然であり、それ自体は、犯罪の嫌疑の存在を示すものでも、起訴の可能性も示すものでもない。

 

この記事の直後に出された共同通信のネット記事【香山リカ氏ら書類送付 愛知知事リコール妨害容疑】で、タイトルも「書類送付」とした上、

《起訴を求める意見は付けなかったとみられる。香山氏は代理人弁護士を通じて「(告発された案件は)全件送致されるので、手続き的なことだと理解している。捜査には協力している」とコメント。》

と、犯罪の嫌疑の印象を薄める記述をしているのと比較すると、中京テレビの記事は、津田氏らの犯罪の嫌疑を印象づけようとした疑いがある。

(津田氏がツイートしているように、津田氏が、中京テレビに「書類送致、一般的には書類送検と言われますが、これは警察から検察に捜査が移ったというだけの意味ですので」とコメントしたのに、そのコメントをカットして「聴取に協力」だけにしたとすれば、そこにも「犯罪の嫌疑」を印象づける意図が疑われる。)

高須克弥氏が告発したのは、おそらく、「署名者の個人情報は県広報で公開される」と虚偽の情報をツイートしたことについて、地方自治法74条の4第1項2号の署名運動妨害の「偽計詐術等不正の方法をもつて署名の自由を妨害したとき」に当たると考えたのであろう。

しかし、上記の犯罪が成立するために、「虚偽」であることの認識・犯意が必要であるのは当然である。

毎日新聞のファクトチェック記事【ミスリード 愛知県知事リコール運動、香山氏「受任者公開される」 本当は請求代表者のみ】によると、当初のツイートは、香山氏が

「すでに署名の受任者を引き受けた方の住所氏名は、早速、県の公報で公開されてるようです。署名した人の名前や住所も、提出されたら縦覧できるみたい」

と投稿したものだが、県の公報で公開されたのは「受任者」ではなく「請求代表者」であり、署名した人の名前や住所を縦覧(閲覧)できるのも、同じ市町村の有権者に限られることから、ミスリードとなるツイートであったことは確かだ。

香山氏は、投稿の当日に

「失礼しました。住所氏名が公報に出ているのは代表者の方々なのですね」

と訂正、2日後にも

「公報に載るのは代表者の住所氏名だけなんですね。その点は誤解してました」

と投稿していることからして、香山氏が、虚偽だと認識した上で当初ツイートをしたものとは考えられない。

香山氏のツイートを受けて、町山智浩氏が、

「リコールに参加した人たち、愛知県広報(原文まま)で本名と住所が県民に告知されるんですね」

と投稿(後に削除)、津田氏が町山氏の投稿をリツイートしたことが、同様に、署名運動妨害として告発されている。これらの投稿やリツイートも、虚偽と認識した上で行ったとは思えない。少なくとも、これらの投稿等が虚偽だと認識した上で行われたとする根拠があるとは思えない。

一方、上記ファクトチェック記事によると、告発人の高須氏のツイートでは、香山氏のツイートについて

「リコールのための署名をすると署名した人の個人情報が漏洩(ろうえい)する」というデマ」

と表現しているが、香山氏は「提出されたら縦覧できる」と述べているだけで、「個人情報が漏洩する」とは言っていない。同記事が指摘するように、高須氏のツイートも、事実を歪曲するものとも言える。リコール署名に係る地方自治法上の手続を正確に表現することは容易ではない。

これらのことを踏まえると、書類送付された告発事件が起訴される可能性は極めて低いと言えるだろう。共同通信が報じるように、警察が「起訴すべき」との意見を付さなかったのも当然である。

中京テレビの記事には問題があると言わざるを得ない。

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就任会見で早くも露呈した山中氏「市長不適格」~「辞任カウントダウン」の始まりか?

8月8日告示・22日投開票の横浜市長選挙は、市民と地域社会の要請に応える横浜市政を実現する新市長を選ぶための極めて重要な選挙であった。

史上最多の合計8人が立候補して行われた市長選挙で当選したのは、横浜市立大学の元教授、立憲民主党推薦の山中竹春氏だった。

山中陣営は、首都圏を中心とする感染爆発で、菅政権の新型コロナ対策への批判が高まる中、告示前から「街宣カー」に「医学部教授」「コロナの専門家」と大きな文字で書き、「山中竹春」「コロナの専門家」「横浜からコロナを封じ込めます」を連呼する「選挙運動」を、組織を挙げて展開していた。それが、現職大臣を辞任して出馬した小此木八郎氏と、現職市長の林文子に「圧勝」する要因となった。多くの横浜市民は、山中氏が医師・医学者の「コロナの専門家」だと思っただろう。

しかし、山中氏は、コロナ対策の専門家であることの疑義や、学歴・経歴への疑問、パワハラ疑惑など、様々な問題が指摘されていた。

まず、8月3日発売の週刊誌フラッシュのネット記事【横浜市長選「野党統一候補」がパワハラメール…学内から告発「この数年で15人以上辞めている」】で山中氏のパワハラ疑惑が報じられた。

また、山中氏の市長選出馬に関して理事長・学長名で出された学内文書に因縁をつけて、山中氏の評価を含む文書を発出するよう強く求め、『素晴らしい研究業績』などの文言を含む文書の発出を強要し、大学の自治に対する、政治的権力による侵害行為を行った疑いがある(【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】)。

さらに、大学院で修士課程しか修了していないのに博士課程修了のように見せかけていた疑いがあること、また、「NIH リサーチフェロー」が経歴詐称ではないかという疑いがある(【横浜市長選、山中竹春氏は「NIH リサーチフェロー」の経歴への疑問にどう答えるのか】)。

私も、山中氏については、「コロナの専門家」であることの疑問、パワハラ疑惑・経歴詐称疑惑などを追及する「夕刊紙風」落選運動チラシを作成して公開したり、パワハラ(正確には、横浜市大の取引先業者への経営介入の強要)音声を公開するなどの様々な方法で、落選運動を展開してきた。

しかし、山中氏は、上記の問題や疑問点ついて説明を求める声から逃げ続けた。街頭演説の際に、市民から「説明してほしい」と言われても、「広報に、広報に聞いてくださいっ」と言い残して去ったり、「それはちょっと・・・」と言って逃げたという。

そうした山中氏にとって、市長就任会見は、説明責任に直面する初めての場となった。

就任会見での山中氏の発言・質疑応答は、既に、YouTube等で公開され、その全文起こしもインターネットに掲載されている(➡【山中竹春 横浜市長就任記者会見・全文文字起こし】)。

その内容は、私がかねてから述べてきたように、山中氏が「市長に相応しくない人物」、「絶対に市長にしてはならない人物」であることを早くも露呈するものであった。

山中氏が「馬脚」を現した、というより、その「馬体」そのものが露わになったと言えよう。

山中氏は、ほとんどの質問に対して、「検討する」、「当局と議論する・相談する・連携する・調整する」というような答弁に終始し、実質的に意味のある回答は何一つなかった。

「コロナの専門家」を連呼したことが当選に大きく寄与したと思える山中氏に対して、そのコロナ対策について質問されて、

ワクチンの接種、検査体制の拡大、医療体制の確保。こういったことは従前から申し上げておりますので、それぞれの項目に対して、効果的な施策をですね、現状を踏まえた上で、現状をよく把握した上で、対策を打ち出したい

と答えた。専門家どころか「全くの素人」でも言えるレベルでしかない。

山中氏の発言の中で目立ったのは「当局」という言葉だ。通常、「当局」というのは、「ある仕事や任務を処理する立場にある機関」という意味であり、その「当局」の外部の人間が使う表現だ。市長が、市役所の担当部局のことを「当局」と表現するというのは聞いたことがない。しかも、その「当局」と「相談」とか「連携」などという、不可解な表現も出てくる。

山中氏は、最初の質問で、「初登庁した際の感想」を聞かれ、「横浜市政を預かる責任の重さ、それを改めて痛感して身の引き締まる思い」と答えているが、本当に、自分が横浜市役所のトップとして市政を担う立場になったという認識があるのか否かすら疑わしい。

会見での発言では、新市長に就任した山中氏としての見解・考え方が問われているのに、それを示す姿勢も、説明しようとする姿勢も全くなかった。

このような会見での発言を聞いて、私は、パワハラ音声を提供してくれたA氏が、山中氏について言っていたことを思い出した。A氏によると、「山中氏との話の中で、横浜市の市政について話をしたことは一度たりとも無い」とのことだった。野心家で、政府の委員であることや副学長であることを喧伝し、洗練されたオフィスや、タワーマンションを好む「セレブ志向」の山中氏にとって、横浜市長に当選し、横浜市新庁舎に初登庁し、市長室に入り、市長の椅子に座る、ということで、山中氏にとって市長選挙に立候補した目的の大半は果たされたのかもしれない。

一方で、フリーランスの記者から

郷原さんが選挙ドットコムのブログで、山中さんの経歴の問題、それからパワハラの疑惑、それから強要未遂の問題などを取り上げてですね、あの山中さんご自身が市長としてふさわしくないのではないかという疑義呈されておりますけれども、これに対して選挙戦を通じて、山中さんの方から反論が全くなかったんですけれども、これはなぜなのか。

質問されたのに対して、正面から答えず、

市民の方にですね、しっかりと自分の取り組みを理解してもらう。その努力がもっとも重要なのではないか。

と答えた。

しかし、市民に理解してもらえるよう、一体どのような「取組み」をしていくのかは全く示していない。

さらに、同じ記者から、

郷原さんがインターネットで山中さんのものとされる音声を公開されておりますけれども、山中さんご自身はこれをお聞きになりましたでしょうか。

と問われて、

存在は聞いているんですが、内容に関しては、全部はちょっと。途中までは聞いたんですけれども、全部はまだ聞いてません。

と答えた後、自分の声であることは認めた。全体でも僅か2分の音声を「途中まで聞いた」というのは考え難い。この音声記録で行っている「恫喝」について全く弁解の余地がないということであろう。

そして、別の記者の

2002年から2004年まで、アメリカの国立衛生研究所というところでリサーチフェローをされていたということなんですが、これは事実なのかどうか。

 という質問に対しては、

NIHで研究員をやっていたことに関して、詐称はございません。

研究員を表す一般的な用語として、リサーチフェローという言葉を使ったことはございます。ただ、リサーチフェローに関しても、様々ですね、定義がございます。さまざまというか、あの、機関ごとに、定義が違う場合もあるんですが、研究員を表す用語として、リサーチフェローと使っております。

と述べ、「NIH 研究員」であったとして、リサーチフェローは研究員という意味だとの説明で押し通した。

「NIHリサーチフェロー」というのは、博士号取得後3年経過後に得られる連邦政府職員の有給の正式ポストであり、単なる「研究員」とは異なる。山中氏が、「NIHリサーチフェロー」という経歴を、国や公的機関の研究費の申請書類に記載していたとすると、重大な問題に発展する可能性がある。

8月30日の会見を見た横浜市民は、8人が立候補した激戦の市長選を圧勝した「新市長」の姿やその発言を、どう受け止めたであろうか。横浜市会の各会派も、いくら「市長選で圧勝した市長」とは言え、就任会見で、まともに自らの見解や考え方を述べることもできず、疑惑や問題について何一つ説明責任を果たせない新市長に対して、市議会での質問を通じて、説明責任を果たさせるのは当然だと言えよう。

少なくとも、山中氏のような人物が市長でいる限り、横浜市の市政の混乱は避けられない。

就任会見での言動は、山中氏は「セレブ志向」の延長上で市長選挙に出馬したとの見方を裏付けるものと見ることもできるが、そうだとすると、市長として職責を果たし続けることに、どれだけの熱意があるのかも不明だ。

「山中市長辞任」に向けてのカウントダウンは、既に始まっていると言えよう。

 

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【横浜市長選挙】山中竹春候補「圧勝」が立憲民主にもたらす“最悪の結果”

本日(8月22日)。横浜市長選挙は、投開票日を迎えた。

私は、8月5日の記者会見で、立候補の意志を撤回し、小此木・山中両候補の落選運動に転じる旨表明し、それ以降、横浜市における「菅支配の闇」を一層盤石化することになる小此木氏の当選を絶対に阻止すべきであることを訴えるとともに、山中氏については、「コロナの専門家」であることの疑問に加え、パワハラ疑惑、経歴詐称疑惑などを、「夕刊紙風」落選運動チラシを公開、パワハラ音声の公開などの様々な方法で展開してきた。(もう一人の自民系の林文子現市長も支持するものではないが、前回選挙以降のIR誘致への姿勢への市民の批判もあり、当初から当選の可能性は極めて低いものと考えており、落選運動の対象とはして来なかった。)

投票日直前の各社の情勢調査の結果によると、山中竹春氏がリードしており、最新の期日前投票の出口調査の結果でも、同様の傾向が見られるという情報もある。

菅政権は、東京五輪優先で、感染拡大のための抜本的な対策を何一つ講ずることができず、神奈川県の一日の新型コロナ新規感染者数が3000人に迫るという感染爆発を引き起こし、提供されるべき医療も提供されない膨大な数の「自宅放置」を生じさせている。国民の命を危険に晒している菅政権への批判が、自民党、そして、菅首相が全面支援する小此木八郎候補に「強烈な逆風」となっており、小此木陣営は、開票を待つまでもなく、選挙での勝利をほとんど諦めざるを得ない状況に追い込まれている。

一方で、山中陣営は、山中氏が横浜市立大学医学部教授であったこと、新型コロナの中和抗体の研究成果の発表を行ったことから、「コロナの専門家」であるとして前面に打ち出す選挙戦略で臨んでおり(正確には、山中氏は医師ではなく、臨床研究等の統計処理の専門家であって、コロナ医療あるいは感染症の専門家でもない。)、新型コロナ感染急拡大による自民党・菅政権への「逆風」が、そのまま山中氏への「追い風」につながる現状となっている。

しかし、山中氏がこのまま市長選で勝利して横浜市長に就任した場合、その後に訪れると予想される事態が、山中氏にとっても、立憲民主党など野党にとっても、最悪のものとなることは、これまでもブログ・ツイッター等で繰り返し訴えてきたところだ。

公選法上、落選運動には、選挙運動と異なり、期間の制限はなく、投票日当日も行うことが可能なので、これまでの落選運動で訴えてきたことを、取りまとめて述べておくこととしたい。

パワハラ・不当要求問題

山中氏が市長選挙で当選したら、その直後から直面するのが「パワハラ・不当要求問題」である。私は、落選運動の中で、これに関して多くの問題を指摘してきた(【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】)が、山中氏も、山中陣営も、立憲民主党も、すべて無視・沈黙している。

  1. 横浜市立大学内部における山中氏のパワハラ問題
  2. 同大学の取引先に対する「経営介入」の不当要求・脅迫問題
  3. 山中氏の市長選出馬報道に際して、同大学学長・理事長で発出された学内文書について、訂正・謝罪と自己を称賛する新たな文書発出を強要した問題

これらのうち、2. の大学の取引先企業の役員に対する不当要求については、既に音声をYouTubeで公開している(【山中竹春氏パワハラ発言音声&文字起こし】【山中竹春氏パワハラ発言音声&文字起こし<第2弾>】)。2019年12月8日に、山中氏がA氏への電話で発言したものである。

ここで「英語の文章にしてー、出せって言ってる」「それを君ははいって言ったけどー、やらない」「昨日中にそんな文面を送ってくる予定だった」という山中氏の発言は、取引先のA氏に山中氏が不当要求していた会社の役員人事への介入を許すことにつながる「英語の文書」を書くように要求している。これがA氏にとって「義務なきこと」であることは明らかだ。(学生や部下の研究者に対して英文のレポートを書くように「指導」しているのではない。)

「日本の大学病院に多く入れられなくなる」「僕は最後の行動に出る」「君がわからない知らないような」、「ほんと潰れるよ」と言って、自分の行動によって会社が潰れると「害悪の告知」を行っているのであり、強要未遂罪(刑法223条3項)に該当する可能性が高い

名誉棄損罪等と異なり、強要罪は被害者の告訴が要件となる「親告罪」ではない。市長選に当選した人物の犯罪の嫌疑について捜査し、犯罪が成立するのなら処罰してもらいたいという「告発」は、何人でも、犯罪があると思うときは行うことができる(刑訴法239条1項)。

また、3. についても、当初の学内文書では、「市長選には関わらない」として政治的中立を宣言していたのが、山中氏の要求によって山中氏の研究成果を絶賛する文書になっていることからしても、理事長・学長の意思に反して発出させられたことは明らかであり、また、その経過については、不当要求に加わった市議会議員 花上喜代治氏が、周囲に言いふらしているほか、対応した大学当局にも記録が残ってものと考えられ、事実の立証は容易なはずだ。もし、山中氏が、2. と同様に、何らかの「害悪の告知」をして不当要求していれば、強要罪が成立することになる。

1. の横浜市大内部の教職員、学生等に対するパワハラは、市長選挙に当選し、強大な権限を持つことになる山中氏の問題であるだけに、被害者の協力を得ることは容易ではないが、外部弁護士によって、被害者の保護、匿名化を図りつつ調査を行えば、事実を明らかにすることは十分に可能である。 

「コロナの専門家」、経歴詐称問題

山中氏が、医師でも医学者でもない、医療に関する「統計」の専門家なのに、選挙公報で「コロナの専門家」と記載していることについて、虚偽事項公表罪(公選法235条1項)に該当するのではないかとの指摘がある。「コロナの専門家」というのは、多くの人が「感染症医学の専門家」という意味で理解している(立憲民主党の蓮舫氏も「感染症の専門家」とツイートしている)。山中氏本人に「虚偽の事実」という認識がなければ犯罪は成立しないが、有権者に重大な誤解を与えていることは確かである。

また、研究者用の業績公表サイトのリサーチマップ等に記載していた「NIH(米国国立衛生研究所)リサーチフェロー」と記載していたことの「経歴詐称」問題は、今回の選挙においては「研究員」と記載しているので、虚偽事項公表罪の問題は生じない。しかし、出馬表明に際して自己のリサーチマップを削除していることの説明も含め、自らの経歴についての説明責任が生じていることは明らかである。(【横浜市長選、山中竹春氏は「NIH リサーチフェロー」の経歴への疑問にどう答えるのか】

「IR即時撤回」で予想される事態

横浜市では、林市長が、2年前にIR誘致の方針を打ち出して以降、市議会で多数を占める自民公明両党に支持されて、誘致に向けての作業が着々と進められてきた。それに対して市民からは反対意見が多く、住民投票を求める19万筆を超える署名が提出されたが、直接請求による住民投票条例は自公両党の反対で否決され、既に、事業者の公募、事業提案の提出が行われ、今年夏から秋に予定されている事業者選定が目前に迫っている。

山中氏は、出馬表明の時点から「IR即時撤回」を公約に掲げてきた。当選すれば、その時点で、IR撤回の方針を明確にすることになるであろう。

ここで問題となるのは、これまで、市議会で積み重ねられてきたIR誘致に関する議論が、山中新市長の「即時撤回」方針の表明でどうなるか、ということだ。

山中氏が、出馬表明の会見や、選挙戦の中で訴えてきた「IR即時撤回」の理由は、カジノによる「ギャンブル依存症の増加」と「治安の悪化」であった。いずれも、従来の横浜市の担当部局が、それらを否定する根拠を用意してきたものだ。市議会自民党も、そのようなIRの負の要素を否定する一方で、将来の横浜市の財政事情から、IRによる税収が不可欠だと述べてきた。そのような議論を、今後、根底から覆すというのである。私が、重点政策の筆頭に挙げていた「市長選後の住民投票」によって、民意を理由にIR誘致を撤回するということでなければ、理由付けは相当に難しいのではないか。

「IR即時撤回」を宣言するだけではなく、市議会と力を合わせて、IR撤回を実現していくためには、市議会の市長に対する信頼が不可欠である。上記のようにパワハラ・不当要求疑惑、経歴詐称問題などの多くの問題を抱える山中氏が、市議会側と信頼関係を築くことができるか甚だ疑問である。

「落選運動」に対する山中陣営・野党側の姿勢

当初、7月7日に私が「解除条件付き」で立候補意志を表明したのも、立憲民主党に山中氏の推薦決定の再考を求めることが主目的であり、それ以降、山中氏の市長としての適格性について様々な情報を入手し、立憲民主党に再検討を求めてきた。ところが、それらは全く受け入れられなかったため、落選運動に転じ、自らの資金を投じて、山中氏に説明責任を問い、その責任を果たさないままの当選を阻止するために最大限の活動をしてきた。

しかし、ブログ、YouTube、チラシ等で行ってきた私の指摘に対して、立憲民主党側は、全く説明を行おうとせず、無視している。ブログ【横浜市長選、山中候補の説明責任「無視」の立憲民主党に、安倍・菅政権を批判する資格があるのか】を、枝野幸男代表、福山哲郎幹事長、平野博文選対委員長に送付したが、何の反応もない。

このような立憲民主党の姿勢を見て、私が思い出したのが、4年前の東京都議選の応援演説で、当時の安倍晋三首相が、森友・加計学園問題等についての説明責任を全く果たさないことで「安倍やめろ」と声を上げていた人達に対して、

「“こんな人たち”に負けるわけにはいかない」

と言い放ったシーンである。山中竹春氏についての説明を求める私は、立憲民主党にとって、都合の悪いことを声高に言う「負けるわけにはいかない“こんな人(達)”」なのであろうか。そうだとすると、立憲民主党が説明責任を強く求め、退陣を迫っていた安倍氏と、現在の立憲民主党幹部は、全く変わらないことになる。

先週、警視庁麻布警察署から私に電話があった。警察庁の公開アドレスに、「横浜市長選 郷原」と書いた殺害予告メールが届いたとのことで、私の事務所、自宅、横浜事務所の警備を強化するとの連絡だった。私としては、横浜市のため、市民のために、市長選の有力候補の山中氏の適格性を問い、説明を求めてきた。山中支持者側は、山中氏に説明を求めるのではなく、「誹謗中傷」などと私を非難しているようだ。そのような姿勢が、卑劣なメールにつながったのかと思うと、何ともやるせない思いだ。

横浜市長選での野党共闘候補山中竹春氏が「圧勝」しても、早々に「市長不適格」が明らかになれば、コロナ禍に立ち向かうべき横浜市政の混乱を招き、立憲民主党への国民の期待を急速に失わせる。それによって、野党第一党の同党が、自公政権に替わる「政権の受け皿」にはなり得ないことが露呈するという「最悪の結果」に終わることになりかねない。

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音声公開への「反論書」で一層明白になった、横浜市長選山中竹春候補の「パワハラ体質」

8月22日に投開票が行われる横浜市長選挙の立憲民主党推薦で立候補している山中竹春氏(元横浜市立大学学長補佐・大学院研究科長)のパワハラ疑惑を指摘した週刊誌フラッシュの記事について、同党神奈川県連や同党所属の国会議員などが「フェイク」だと喧伝するのに使っていたのが「しらべえ」というネットサイトの記事【菅首相が負けられないため加熱する横浜市長選 山中竹春元教授がフェイクニュース被害】だった。

その「しらべえ」に、前のブログ記事【立憲民主党は、「パワハラ音声」を聞いても、山中氏推薦を維持するのか ~問われる候補者「品質保証責任」】で公開した山中氏の「パワハラ音声」に対する山中陣営の反論書が掲載されている。(【過熱する横浜市長選で山中竹春元教授の音声データが公開 陣営に直撃した】

これは、山中陣営で山中氏から聞き取った内容をまとめたものとのことである。

《「しらべえ」に掲載された「山中氏の反論」》

今般、インターネットの動画投稿サイトにおいて、『山中竹春パワハラ音声』といった音声録音が字幕入りで流されていた。これは、約 2年前の会話が無断で録音されたものであり、この時期にインターネット上で流布されていることについて、大きな問題を感じる。

この会話は、切り取って掲載した人物の意図と全く違う状況でかわされたものである。2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究を横浜市立大学で行なっており、内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究の非常に重要なプロジェクトだった。

この音声は、当該研究の担当者が期日までに海外の研究機関等に必要な連絡や書面作成を行わなかったことが明らかになり、また、突如としてプロジェクトから離脱する意思を示したことから、プロジェクトの継続が危ぶまれることとなった状況下で当該人物と山中竹春とで行なった会話の一部である。

この人物による職務不履行はこれまでにもあり、納期のある研究等において支障をきたす状況が続いていた。

動画では、『ほんと、潰れるよ』と発言したことがクローズアップされているが、これは『このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる』という趣旨で発言をされたものである。

また、音声の最後において、『終わりだ』と繰り返し述べているのは、非常に重要なプロジェクトが頓挫し、違約金まで発生してしまうことへの焦燥感から出た発言である。

この前提で、音声データを聞いて頂ければ、相手に対してではなく、研究が潰れる、研究が終わりになるという趣旨で発言していることがわかっていただけると思う。

その後、関係各位のご尽力により、このプロジェクトは契約不履行とはならず、違約金の支払いが発生することなく完了することができた。

公開されている動画は、恣意的に編集がなされているほか、音声がないまま山中竹春の言動として文書で記載されている内容は、全くの事実無根であり、投稿者に強く抗議する。

 上記の反論の中には、「2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究」、「内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究」など、山中陣営では山中氏本人しか知り得ない話が多数含まれており、山中氏の現時点での供述と考えられる。

 山中氏は、公開された音声が自分の声だと認めた上で、公開された音声は、2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究で、担当者が、期日までに海外の研究機関等に必要な連絡や書面作成を行わず、突如としてプロジェクトから離脱する意思を示した、というような「職務不履行」があったために、プロジェクトの継続が危ぶまれることとなった状況下での、山中氏と担当者との会話だというのである。

 そして、『ほんと、潰れるよ』と発言したのは、「このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる」という趣旨の発言であり、音声の最後で、『終わりだ』と繰り返し述べているのは、「非常に重要なプロジェクトが頓挫し、違約金まで発生してしまう」という趣旨だそうだ。

山中氏の反論に出てくる「担当者」はフラッシュ記事の「Cさん」

 大学関係者によれば、この山中氏の反論で出てくる「内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究の非常に重要なプロジェクト」というのは、「SUNRISE-DI試験」というプロジェクトである。

上記の反論書で出てくる同プロジェクトの「担当者」というのは、上記フラッシュ記事で、山中氏のパワハラ被害者として出てくる「Cさん」に間違いない。

 被害者のCさんは、山中氏のパワハラによって、精神的に追い詰められ、「適応障害」を発症したもので、横浜市大での山中氏のパワハラの中でも特に悪質なものと認識されていた。

私の手元には複数の大学関係者から聞いた話をまとめたメモがあり、そのメモによれば、経過は以下のようなものだった。

 

2018年、山中氏は、ある臨床研究の統計解析責任者としてCさんを指名していたが、2019年1月頃に、Cさんは山中氏から

「この件は私が引き取るのでCさんはやらなくてよい」

「君はもういい」

と言われ、Cさんは、同研究の統計解析の仕事から外れたと認識していた。

ところが、当該臨床研究の共同研究者が海外から2019年3月初旬に来日することとなり、2月下旬に、山中氏はC氏に、

「やはり私は多忙でできないので解析を行うように」

と指示した。

統計解析は、通常、臨床データが固定されてから1か月程度かかることが多く、急ぎの案件でも2週間程度は必要となる。それを、およそ1週間で急遽まとめてほしいということだった。

しかし、作業の進め方に関する具体的な指示はなく、山中氏に確認してから中間結果を報告する日までは、3日間しかなかった。

その中間結果報告では、図表などは後で作成することを前提に、結果の数字をまとめて報告したが、山中氏は、

「これでは全然ダメ」

と一蹴した。

その後、山中氏からほぼ毎日、電話などでの進捗確認があり、頻繁に叱責を受けるようになった。

この頃から山中氏は、感情を荒だてることも多くなり、Cさんに、電話で

「いい加減にしろ」

「さぼるな」

などと怒号したり、

「君のためにプロジェクトが潰れる」

「君がそんなようなら私にも考えがある」

などと叱責したりされたことなどから、Cさんは精神的に追い詰められ、2019年3月、心療内科で適応障害の診断を受けた。

 適応障害の診断を受け、2週間程度休暇をとった後も、Cさんは統計解析を続け、論文投稿まで、統計解析責任者として関わっていた。

ところが、連日必死に解析をおこなったCさんは、論文の共著者から外されてしまった。しかも、論文投稿前に解析に加わった者も、同時に共著者から外されていた。フラッシュ記事で問題とされたのは、この点だった。

しかし、学内関係者の間では、Cさんが適応障害になった直接の原因は、中間報告後の電話などでの頻回の進捗確認やその際の叱責・怒号であり、そのような山中氏の言動が、重大なパワハラ問題として認識されていた。

 フラッシュ記事でその点が取り上げられていないのは、Cさん自身がフラッシュの取材に協力していなかったことと、録音等の直接の証拠がなかったことが理由だったのであろう。

山中「反論書」によって明らかになった事実

 今回、パワハラ音声の公開に対する「反論」として、山中氏は、音声が、自分自身のCさんに対する発言であることを認め、「このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる」という趣旨で「潰れるよ」と言ったと説明している。

実際の音声データの中では、

「僕は最後の行動に出るからね。君が、君がわからない知らないような。ほんとにそれでもいいんだったらー、ほんと潰れるよ」

というような恫喝的発言をしているが、そのような発言をした相手がCさんだったと認めているのである。

 上記のとおり、Cさんが、2019年3月頃、山中氏から電話で叱責された際に言われたという

「君のためにプロジェクトが潰れる」

「君がそんなようなら私にも考えがある」

などの発言をしたことを認めたものと言える。

 この点について、Cさんに話を聞こうとも考えたが、Cさんは、今回のフラッシュの記事が出たことで、報復を恐れ、山中氏の件には関わらないようにしているとのことであった。(フラッシュ記事でも「私はもう大学を離れていますし、この件には関わりたくありません」と述べている。)

 しかし、今回、山中氏が、Cさんに対して、上記のような発言をしたことを認めているのであるから、今後、山中氏からのパワハラ被害について、横浜市や市大で調査が行われる可能性があり、その場合は、調査に応じる意向を示しているとのことだ(大学関係者の話による)。

公開したパワハラ発言の相手は、「Cさん」ではない

 以上のとおり、パワハラ音声の公開によって、山中氏は、Cさんに対するパワハラ的発言を行ったことを自ら認めたのであるが、ここで、重要なことを明らかにしておかなければならない。

それは、公開したパワハラ音声を提供したA氏は、上記のCさんではなく、全然別の立場の人だということだ。

 音声の公開の時点では、情報源が特定されないよう、事案の内容は抽象化し、A氏の声などは音声データから削除した。しかし、公開された発言だけでも、上記のような露骨な脅しをかけた相手が誰であるかは覚えているはずなので、山中氏にはA氏が誰であるかはわかることも覚悟していた。

しかし、山中氏は、音声を聞き、A氏ではなく、発言の相手がCさんであるとした上、山中氏の発言は、Cさんの側の「職務不履行」が原因だったとして、パワハラ的発言を正当化しようとしている。「職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、他者に対して、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与える」というパワハラ体質を象徴するものと言える。

音声で公表したようなA氏に対して行った発言は、実は、A氏だけでなく、他の人にも、日常的に行っていたことになる。

A氏は、公開された音声について、山中氏がCさんが発言の相手方であったかのように反論していることを知り、それを否定するのに必要な情報の最低限の情報開示に同意してくれた。

A氏が山中氏から受けた「不当要求」、パワハラ発言

前のブログ【立憲民主党は、「パワハラ音声」を聞いても、山中氏推薦を維持するのか ~問われる候補者「品質保証責任」】で指摘したように、山中氏については、「外形的なパワハラ」の一つとして、「大学関係者がいる前で、教室の出入り業者や製薬企業の営業を大声で怒鳴り叱責する。」という行為があった。

音声データの提供者であるA氏は、横浜市立大学と契約を締結しようとしていた比較的小規模の企業の役員であった。学長補佐・大学院研究科長として、横浜市立大学の契約締結に大きな影響力を有していた山中氏は、同企業は同大学との契約を失うと会社が存続できないとの認識の下に、優越的地位に基づいて、「会社の役員を変更しろ」という不当な要求をしていたのである。

取引先の役員構成に口出しをするなどということは、民間企業同士の取引でも、認められるものではない。公立大学の学長補佐が、契約を締結しようとしている企業の役員選任に介入するなどということはなどということは絶対にあり得ないことである。

山中氏に対して、「そのような要求には応じられない」と拒絶し続けていたA氏は、公開した音声データに出てくる露骨な恫喝を受けることとなった。

先般、A氏から提供を受けた山中氏の音声データを一部YouTubeで公開したが、その前の部分で、以下のとおり、取引先業者であるA氏に対する露骨な「脅し」の発言をしている。

山中:だけどね僕らーと、僕とねー、こんなことになったらー、君、大学の日本の大学病院に多く入れられなくなるよ、色んな病院に。

(A:はい。)

山中:マジで商売できなくなるからね。

(A:はい。)

山中:本気だよ、俺。こんだけ俺に、ここまで恥かかせてといてー、俺もうこれで県庁のコネとかー、大学での信用とかパアだから。…

上記部分を含む音声を【山中竹春氏パワハラ発言 音声&起こし(第2弾)】と題して、YouTubeで公開する。

「ほんと潰れるよ」という言葉は、山中氏が反論書で言っているような「プロジェクトが潰れる」という意味ではなく、「会社が潰れる」という意味である。

それは、「言うことを聞かなければ、最後の行動に出て、会社を潰してやる」という脅しなのである。

大学の取引先の企業の経営者を「会社を潰す」と言って脅迫し、不当な要求をしているのであり、刑法上「強要未遂」(刑法223条3項)に該当する犯罪である。

優越的地位に基づくパワハラ言動の構図の共通性

山中氏のパワハラは、横浜市大内部でも多数の被害者を生じている。しかし、彼らは、学長補佐・研究科長として学内で絶大な権力を持っていた山中氏のパワハラを告発することなどできなかったし、市長選挙で当選し、横浜市長に就任する可能性が高まっている山中氏に対して、名前を明らかにしてパワハラ被害を公にすることなどできない。

そのような学内のパワハラと形式は異なるが、実質的には同じ構図の事象が、A氏に対する不当要求と、それに際して発せられた山中氏の恫喝的発言なのである。

そして、山中氏は、その音声を聞いて、学内者である「Cさん」に対する発言だと思ったのである。それは、山中氏のパワハラ言動が、教職員・学生等の学内者に対しても、契約関係にある学外の業者に対しても、同じように行われていたということと、それらは優越的地位に基づく恫喝的言動・強要という点で全く同じ構図であることを、端的に示している。

山中氏のパワハラの事実は、今回の「反論書」からも一層明白となった。

このようなパワハラ体質そのものの人物が横浜市長の強大な権限を握った時、どのようなことが起きるのか、想像に難くない。

8月22日の横浜市長選挙では、山中氏の優勢が伝えられているが、仮に、当選したとしても、新市長に就任する前に、「パワハラ問題」、「横浜市大学内文書発出強要問題」、「NIHリサーチフェロー経歴詐称問題」など、様々な問題がマスコミ報道で噴出し、市議会での追及の対象となることは避けられない。

「市長候補」の品質保証責任を厳しく問われることになる立憲民主党にとって、衆院選に向けての最大のリスクになりかねない。

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立憲民主党は、「パワハラ音声」を聞いても、山中氏推薦を維持するのか ~問われる候補者「品質保証責任」

横浜市長選挙の投開票日(8月22日)まで一週間を切り、マスコミ各社の情勢調査の結果が報じられているが、立憲民主党山中竹春氏が自民党系の小此木八郎氏をリードしているとする報道が相次いでいる。

先週末、市民インタビューを受けた際に聞いた話でも、街頭で、市長選の投票先を質問すると、山中氏との答が小此木氏を大きく上っており、新型コロナ感染爆発の中で、菅義偉政権のコロナ対策に対する怒りが、自民党系候補、特に、菅首相の全面支援を受ける小此木氏に対する強烈な逆風につながっているようだ。

このままの情勢が続くと、山中氏の当選という事態も現実のものとなりかねない。

しかし、山中氏については、パワハラ問題、経歴詐称問題、コロナの専門家ではないのに専門家であるように偽っている、などの多くの問題があり、市長としての適格性について重大な疑問があり、私は、立憲民主党側にもこの点についての説明責任を求めてきた(【横浜市長選、山中候補の説明責任「無視」の立憲民主党に、安倍・菅政権を批判する資格があるのか】)。しかし、これまでのところ、同党側には、説明責任を果たそうとする姿勢は全く見えない。

そこで、本稿では、山中氏のパワハラ問題について、決定的な証拠を提示し、このままでは、仮に、山中氏が、市長選挙で当選しても、重大な「品質保証責任」が問われざるを得ないことを指摘する。

山中氏のパワハラに関する情報入手

山中氏のパワハラ問題を、最初に指摘したのは、8月3日発売の週刊誌フラッシュのネット記事【横浜市長選「野党統一候補」がパワハラメール…学内から告発「この数年で15人以上辞めている」】であった。

私が、記者会見等で山中氏の「市長としての適格性」を疑問視し、ブログ(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】【私が横浜市長選にこだわり続ける3つの理由、「民意」「支配」「適格性」】)でも指摘するようになった7月下旬頃から、私の事務所には、多数の関係者から、山中氏に関する様々な情報が寄せられていた。

上記のフラッシュ記事は、そのような情報提供で私が把握していた内容に概ね沿うものだった。

しかし、一方で、山中氏が、フラッシュの報道に対して出したホームページでの反論の中で、フラッシュからの質問状を公開したことで、関係者の個人名が一時ネットにさらされ、関係者が様々な不利益を受ける事態になった。

山中氏は個人情報を黒塗りにしていたが、そのやり方が容易に関係者の個人名が判明するようなものだった。「データサイエンティスト」を標榜する山中氏が、そのことを予想しなかったとは考えにくく、被害者に対する報復の意図で個人名を晒した疑いも否定できない。意図的なものだとすると、目的のためには他者の立場を無視するパワハラ体質の表れだと言える。

このようなフラッシュ記事に対する山中氏の対応が、パワハラ被害者を、さらに心理的に追い込むことになった。パワハラ被害者は、もともとパワハラ被害を大学当局に申告することができなかった人達だ。フラッシュの取材に協力したかのように疑われたことで、山中氏から報復を受けることへの懸念は一層高まった。しかも、その山中氏が市長選挙で当選し、横浜市長になる可能性が現実のものとなっているのである。山中氏のパワハラ問題について情報提供し協力してくれた人達について、協力の事実が山中氏の側に絶対にわからないよう配慮することが必要となった。山中氏のパワハラの事実には確信をもっていたが、それを具体的に指摘することは容易ではない状況だった。

山中氏の横浜市大におけるパワハラの概要

私が把握した横浜市大での山中氏のパワハラは、概ね次のようなものであった。

  1. 外形的なパワハラ
    ・「お前なんか辞めちまえ!やめろ!」と大声で怒号。
    ・怒って話しながら机をバンバン叩く。
    ・電話の受話器(子機)やボールペンを机に向かって投げつける。
    ・教授室の冷蔵庫から製氷皿を取り出して怒りながらシンクの脇にバンバン叩きつける。
    ・大学関係者がいる前で、教室の出入り業者や製薬企業の営業を大声で怒鳴り叱責する。
     
  2. 権限を使った陰湿なパワハラ(被害者は部下の教員、秘書、事務職、大学院生等)
    ・ちょっとしたきっかけで、直接会うことをひたすら避ける。電話には出ないか、出ても聞かずに切られる。メールへの返信もない。意思疎通が殆どない状況で、疎ましく思われていると感じさせる。
    ・山中氏から解析業務を指示され実施したが、解析結果のズレなどがあると怒号。納期が近づくにつれ、電話やメールによる催促が頻繁となり、2週間程度土日や深夜構わず作業を行ったことで心身に不調をきたし、退職に追い込まれる。
    ・山中氏がデータセンターの責任者であった研究でデータ入力ミスが発覚し、山中氏から怒号を受け、その後仕事が与えられなくなり、最終的には退職となる。
    ・このような山中氏の陰湿なパワハラのために精神的に追い込まれ、適応障害等の精神症状に陥った被害者もいた。

「落選運動」の開始とA氏のパワハラ被害についての音声データ入手

8月5日に、私は、記者会見で、市長選への出馬意志を撤回し小此木・山中両候補の落選運動に転じることを明らかにした。その2日後の8月7日、郷原総合コンプライアンス法律事務所宛てに、「山中氏が横浜市長になることはコンプライアンス・ガバナンス上大変な問題を有しています」とするメールが届いた。メールを送ってくれたA氏から詳しく話を聞いたところ、A氏は山中氏のパワハラに遭い、その際のやり取りを録音した音声データも保存していることがわかった。A氏は、山中氏が市長になることは何としても阻止したい、自分の名前等が特定されない範囲で、私の「山中候補落選運動」に協力したいと言ってくれた。

A氏から聞いた山中氏との関わりの概要は以下のようなものだった(パワハラ被害者が特定されないよう、事案の内容を抽象化している)。

【概要】

山中氏は、一緒に仕事をしていたA氏に業務に関係のない不当な要求を繰り返していた。山中氏の要求はとても応じられるようなものではなく、A氏は、上司から、山中氏からの電話にでないよう指示されたので、しばらくの間、山中氏からの電話に出なかった。ところが、あまりにしつこく電話がかかってくるので、仕方なく電話に出たところ、山中氏は、「電話に出ろ!殺すぞ!」と言った後、さすがに拙いと思ったのか「殺すって言っても、社会的にな!」などと付け加えた。

その言葉を聞いて怖くなったA氏は、それ以降、山中氏からの電話を録音することした。その後も、山中氏からの不当な要求は続いた。山中氏との電話を録音した記録の一部が、以下の音声データである(被害者が特定されないよう、A氏の音声は消去し、山中氏の発言のうち、特定につながる可能性のある部分は消去している)。

[起こし] ()は消去部分

山中:だからそうやってねー、ごちゃごちゃごちゃごちゃ言ってねー、結局ねーかわすじゃないか君は。

(A:なんですか?)

山中:君はそうやってかわすじゃないか。

(A:いやいや…)

山中:こちらの要望を。それでさー、書けって言ったのにさー、書きもしないしさー。いやもう僕は最後の行動に出るからね。君が、君がわからない知らないような。ほんとにそれでもいいんだったらー、ほんと潰れるよ。

(A:先生、ですので、私は、)

山中:だから俺が言ってんのはー、いい?

(A:はい。)

山中:俺が言ってんのはー、(***)をお前に決めろなんて一言も言ってないじゃん。

(A:はい。)

山中:(***)しなければならない理由をディテールドに君が理解してるんだったらー、それを英語の文章にしてー、出せって言ってるだけじゃん。それを君ははいって言ったけどー、やらないじゃん。昨日のー、昨日中にそんな文面を送ってくる予定だったのにー、こんなん出しましたみたいなほんとかどうかわかんないようなメール出してさ。であげくの果てには(***)には言ってるとかさ。そんなやつのことなんて一言も知らないよ。

(A:前回のメールにも書きましたが、)

山中:もう終わり終わり終わり、終わりだ。もう終わり終わり終わり終わりだ。終わり終わり終わり終わりにしよ。終わりだ、もう。

 

【解説】

この山中氏とA氏のやり取りについて、A氏が特定されない範囲で、若干の解説を加えておこう。

ここで、山中氏がA氏に要求していることは、それを受け入れることはあり得ない、法的にも認められる余地のないことだ。要求自体が山中氏の明らかな権限逸脱行為だ。A氏がそれに応じないのに対して、山中氏は、「君はかわす」と言って非難している。

その要求に関して、山中氏はA氏に書面を書くことを要求していた。「書けといったのに」と言っているのは、その書面のことである。

それを拒否したA氏に対して、「もう僕は最後の行動に出るからね。君が、君がわからない知らないような」「ほんと潰れるよ」と言っているのは、山中氏が、A氏が、その先、仕事ができなくなるような手段に出る、それも、A氏がわからないところで、実行してやる、という露骨な脅迫だ。

「昨日中にそんな文面を送ってくる予定だった」というのは、山中氏側に一方的に言っているだけで、A氏が約束したことではない。それなのに、その書面を書かずに、メールで婉曲的に断ったことについて、「ほんとかどうかわかんないようなメール出して」と厳しく責めている。

そして、最後に、山中氏は、「もう終わり」と言い、「終わり」という言葉を13回も繰り返している。それは、山中氏のA氏に対する絶縁を意味する。

A氏は、結局、その要求に応じなかった。それは、もし、山中氏が、その先仕事ができなくなるような手段に出ても、A氏の側も法的な対抗手段など取りうる手段はあり、その手段に出ようと考えていたからだ。

A氏の場合は、そういう対応ができたから、山中氏に「潰される」ことはなかった。しかし、山中氏から、同じようなやり方で不当な要求を受け、対抗する方法がなければ、拒むことができず、応じてしまう人間が大部分ではないだろうか。

山中氏というのは、こういうやり方で、不当な要求を押し通していく人間なのだ。

山中氏のパワハラの事実を否定する余地は全くない

山中氏は、フラッシュの記事で報じられたパワハラの事実を全面否定しているが、上記の音声データが「山中氏のパワハラ」の何よりの証拠である。

私は、A氏の話を聞き、音声を聞き、背筋が寒くなる思いだった。不当な要求をここまで執拗に繰り返し、電話で恫喝する。少なくとも、下位、劣位の相手にそのような行為を繰り返したら、相手は、精神的に追い込まれ、メンタルを病むことにもなりかねない。その山中氏は、横浜市大の大学院研究科長、学長補佐という立場にあり、強大な権限を持っていた。そのような人物からパワハラ被害に遭った場合、報復をおそれ、大学やハラスメント委員会に申告などできないのは当然だ。たいていの被害者は、更なるパワハラから逃げるため、黙って職場を去っていくことになるのである。

フラッシュの記事が報じたパワハラの事実については関係者の話からもほぼ間違いないと確信していたが、A氏の話と音声データによって「山中氏のパワハラ」が客観的に裏付けられた以上、疑う余地は全くない。

山中氏が、横浜市大教授在職中に突然、市長選への出馬が報じられたことに関して、理事長・学長名で出された学内文書に因縁をつけ、大学当局に、山中氏の評価を含む文書を発出するよう強要し、『素晴らしい研究業績』などという山中氏を称賛する文言を含む文書を発出させた事実についても、市議会議員の関係者から情報提供を受け、文書も入手していた(【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】)。常識をわきまえた人間であればあり得ない行為、山中氏のA氏への不当要求と構図は共通していると言えよう。

「パワハラ市長」就任は、コンプライアンス崩壊を招く

15人もの大学関係者が大学を去っていくことにつながった山中氏の市大内部でのパワハラも、学内文書発出の強要も、横浜市大が被害者の保護を確約した上で内部調査を行えば、容易に判明する事実だ。

自民党や菅政権への「大逆風」を追い風にして、仮に、山中氏が市長選に当選したとしても、選挙後、ただちに上記の各点が調査の対象とされるべきは当然だ。

調査の結果、上記の事実が判明した場合、山中氏を、そのまま横浜市長に就任させ、市長の絶大な権限を握る立場に立たせてもよいのだろうか。

地方自治体のコンプライアンスにとって最も重要なことは、外部からの不当な要求に屈し、市の利益、市民の利益を損なってはならないという「不当要求の拒絶」、そして、内部的には、自治体の組織内でのパワハラによって、職員のメンタルの問題、自殺等が発生することを防止する「パワハラ防止」である。毎年度、市役所内の様々なレベルで、コンプライアンス研修を積み重ねてきた重要な目的がそこにある。

「パワハラ市長」が誕生した場合、私がコンプライアンス顧問等として長年関わってきた「横浜市のコンプライアンス」が、たちどころに崩壊することは間違いない。

A氏は、私に、こう語っていた。

「私の場合は、山中先生の要求に屈しなかったので、結果的に大きな実害を受けることはありませんでした。しかし、普通、それでは済まないと思います。私は、山中先生には何の恨みもありません。パワフルに結果を出していくという面では、大変有能な人だと思います。しかし、山中先生が、「コロナの専門家」などという耳障りのいい言葉を刷り込む選挙活動のために、市長選挙で当選し、もし市長の権力を握ってしまったら、どれだけの人がパワハラの被害に遭い、辛い思いをし、不幸になっていくか想像もつきません。横浜市立大学において山中竹春という人物と関わり、仕事をした自分は、私のもつ情報(ある側面の情報)を提供して、312万人の有権者に投票の判断を頂きたいという一存で、郷原先生の事務所の公開アドレスに連絡をしたのです。」

立憲民主党の市長選候補者についての「品質保証責任」

山中氏のパワハラ疑惑を報じるフラッシュの記事に対して、立憲民主党の国会議員や県議・市議は【菅首相が負けられないため加熱する横浜市長選 山中竹春元教授がフェイクニュース被害】と題する記事を、反論のために引用してきた。

同記事では、

「山中元教授が務めた横浜市立大学もハラスメント委員会を設けている。公立大学だから、私立に比べて、ハラスメント対策はより厳しい。」

「大学側も『ハラスメント対策は厳正に行っている』と答えている」

「ハラスメント委員会に山中元教授を告発したケースは1件もない」

などを、山中氏のハラスメントを否定する根拠であるように述べている。

上記のA氏とのやり取りの音声を聞けば、山中氏のパワハラ疑惑を「フェイク」などと言い続けることができないことは明らかだ。

山中氏が、仮に、市長選挙で当選したとしても、上記の「パワハラ問題」により、同氏の市長としての適格性に対する重大な疑問に直面することになる。同氏と推薦した立憲民主党には「品質保証責任」を問われることになる。

それが、直前に迫っている衆議院総選挙で立憲民主党に大打撃を与えることになる。

そのような事態に至らないようにするためには、「パワハラ問題」について、早急に山中氏から聴取し、山中氏を「横浜市長となるに相応しい人物」として、市長選での市民の判断に委ねることができるのか、市長選挙に向けての対応を再検討することしかない。

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横浜市長選、山中候補の説明責任「無視」の立憲民主党に、安倍・菅政権を批判する資格があるのか

新型コロナ感染爆発の下での東京五輪開催、コロナ対策の失敗等で、内閣支持率も菅内閣発足後最低を記録しており、政権崩壊すらあり得るという状況になっている。本来ならば、野党第一党の立憲民主党にとっては、政権奪取の絶好のチャンスだ。しかし、野党第一党の立憲民主党の支持率も一向に伸びない。

こうした中、8月8日、横浜市長選挙が告示された(22日投開票)。菅義偉首相のお膝元、日本最大の政令市の横浜市で行われる首長選挙は、史上最多の合計8人が立候補しており、今秋に行われる衆議院議員選挙の前哨戦とも言われて、注目を集めている。

立憲民主党は、横浜市立大学元教授の山中竹春氏の推薦を決定し、告示前から組織を挙げて支援運動を展開してきたが、この山中氏については、データサイエンティスト、コロナ対策の専門家などの触れ込みへの疑義や、学歴・経歴への疑問、横浜市大でのパワハラ疑惑など様々な問題が指摘されてきた。それらの問題について全く説明責任を果たさないまま山中氏擁立を強行した立憲民主党は、目前に迫る衆院選に向けて重大なリスクを抱え込むことになった。

横浜市、立憲民主党それぞれと私との関係

私は、2007年からコンプライアンス外部委員として、2017年からはコンプライアンス顧問として、各部局・区で生起する様々な不祥事・コンプライアンス問題について、対応を助言したり、各区局の幹部へコンプライアンス研修を行ったりして、横浜市の行政に深く関わってきた。私の持論である「組織が社会の要請に応えることとしてのコンプライアンス」を横浜市で実現すること、つまり、「横浜市の組織が、市民や地域社会の要請に応えていくこと」に向けて、私なりに全力で取り組んできた。

一方で、2009年に発足した民主党政権下では、総務省顧問・コンプライアンス室長を務めたほか、その後発足した自民党安倍政権が長期化する中で、2012年の安倍政権発足後、安倍政権及びそれを継承する菅政権と対立する野党の民主党、民進党、そして、現在の立憲民主党に、刑事実務・コンプライアンスの専門家として協力してきた。

安倍首相の側近の甘利明氏の斡旋収賄事件、森友・加計学園問題、桜を見る会問題、河井夫妻多額現金買収事件などの不祥事、事件が発生する度、安倍首相や政権側に対して厳しい批判を行い、野党側の国会での公述人・参考人陳述や、野党ヒアリングなどに応じてきた。

私としては、「安倍一強」と言われていた政治状況の下で、政権に対抗する政治勢力を少しでも高めることができればと思い、可能な限りの協力を惜しまなかった。

今回の横浜市長選挙は、市民と地域社会の要請に応える横浜市政を実現できる新市長を選ぶための極めて重要な選挙であり、私も大きな関心を持ってきたが、その市長選においても、これまで協力関係を継続してきた立憲民主党が重要な役割を果たしてくれるものと期待していた。

しかし、江田憲司氏を中心に行われた候補者選定で、6月に入って出てきた名前は、DNAベイスターズの初代社長の池田純氏、そして、山中竹春氏だった。

6月20日頃、「立憲民主党が横浜市立大学教授の山中竹春氏を、市長選挙に擁立へ」と報じられた。私は、この時以降、山中氏について多くの人から話を聞き、情報・資料を入手してきたが、山中氏は、市長に相応しい人物ではないどころか、絶対に市長にしてはならない人物であると思わざるを得ななかった。

同じ頃、自民党側では、「小此木八郎氏が現職閣僚を辞任して横浜市長選挙に出馬する意向」と報じられた。菅首相と昵懇の間柄の小此木氏が当選し、市長となることは、かねてから横浜市の幹部人事や横浜市政に大きな影響を持ってきた菅首相の関与を一層高めることになる。まさに、「菅支配の完成・盤石化」を意味する。それは、横浜市民のための市政に一層逆行することになるものと思えた。

自民党側の小此木氏に対抗する立憲民主党側が山中氏を擁立することになれば、横浜市民にとって、最悪の市長選挙となりかねない。何とか阻止しなければならないと思った。

山中氏が「市長にしてはならない人物」と確信する根拠

山中氏について、私がそこまで断言するのは、相応の根拠に基づくものだ。私の情報源は、横浜市大の内部者、医療情報の分野の専門家、医療ジャーナリスト、神奈川県内の医師、など、多岐にわたっている。

特に、横浜市大は、私が横浜市のコンプライアンス顧問在任中に発生した不祥事への対応で深く関わったことがあり、大学関係者の多くと面識があった。

その不祥事というのは、2019年8月に、横浜市大医学部で発生した「臨床研究におけるメール誤送信による患者情報の漏えい」の問題だった。

問題を把握した時点から、当時の理事長から頻繁に連絡を受け、不祥事対応の助言を行い、第三者委員会の設置に際しても、当時の市大病院長(現学長)とともに独立行政法人国立病院機構理事長を訪ねて、委員長就任をお願いした。その後、私の事務所スタッフに第三者委員会の調査を担当させ、翌年、委員会の調査報告書が公表された。

今回、山中氏の人柄、能力・資質、同氏の市長選への出馬に関して横浜市大の内部で起きていることについて、情報を入手し、様々な話を聞くことができたのは、私自身や私の事務所スタッフが横浜市大内部に豊富な人脈があったことも背景となっている。

これらの情報に基づき、私は、立憲民主党が市長選候補者として擁立しようとしている山中氏が「市長に相応しくない人物」であることに確信を持ち、立憲民主党の県連会長や党本部選対幹部など各レベルに伝え、再検討するよう求めた。しかし、「候補者選定は江田憲司氏に一任されている」とのことで、誰も口を出せないとの話だった。

その際、県連関係者が口にしていたのが、「他にいい候補がいない」という話だった。6月10日頃、江田憲司氏と電話で話したこともあったが、その際、江田氏は、「素晴らしい候補者が複数手を挙げていて調整に困っている状況だ」と言っていた。しかし、実際には、候補者の人選を江田氏がすべて自分で抱え込み、その結果、江田氏が独断で候補者を山中氏に絞り込んだものだった。

自らが市長選に出馬の意志を表明する決断

立憲民主党が山中氏を推薦し、野党統一候補にしていこうとしているのであれば、何とかして阻止しなければならない。そのためには、自分自身が出馬の意志があることを伝え、山中氏を候補として擁立しない選択肢を示すしかないと考えた。

私は、県連会長や、党本部の選対幹部などに、改めて山中氏は横浜市長にしてはならない人物であることを説明するとともに、「7月6日の横浜市のコンプライアンス委員会までは顧問職を全うしたいと考えているので、市長選挙について自ら表明することはできないが、横浜市長選出馬に向けて覚悟を固めている」ということも伝えた。

しかし、立憲民主党側では、山中氏擁立の方針を変える気配は全くなかった。

私は、7月6日のコンプライアンス委員会の終了をもって、顧問を退任し、翌日に開いた記者会見で、「解除条件付き出馬意志表明」を行った。そして、山中氏のデータサイエンスの専門性、コロナの専門性等について質問を行い、その質問状への回答によって山中氏の市長としての適格性と政策の共通性が確認できれば私は立候補の意志を撤回すると述べた。それは、逆に、山中氏の市長としての適格性が確認できないようであれば、擁立を再検討すべきとの趣旨を含んでいた。立憲民主党側が私の質問状を受け止めて、真摯に対応しようとすれば、山中氏は市長に不適格な人物だと判断されるものと確信していた。

会見の前には、事前に立憲民主党福山哲郎幹事長とも面談し、質問状も渡して、趣旨も説明していた。質問状を受け取った阿部知子県連会長からも、「必ず書面で回答させます」という丁寧なメールが届いていた。

不誠実極まりない立憲民主党側の対応

7月14日、江田氏と、青柳陽一郎県連幹事長、藤崎浩太郎横浜市議の3人が、私の六本木の法律事務所を訪れ、山中氏に代わって、回答の内容を伝えてきた。私の質問状に対して、いずれも、合理的な説明は困難とのことだった。山中氏が標榜している「データサイエンスの専門家」「コロナの専門家」には、具体的な根拠や内容はなく、単に、選挙向けに使っているに過ぎないという話だった。

その結果、私が出馬意志の「解除条件」とした、「山中氏の市長としての適格性」が確認される可能性がなくなったため、7月16日の会見で、私は、横浜市長選挙への出馬の意志を、改めて明確に示した。

7月7日、7月16日のいずれの会見も、その動画をインターネットで公開した。会見の趣旨に賛同する反応が相次いて寄せられ、山中氏の市長候補者としての適格性には重大な問題があるとする多くの人からの情報提供があった。

それらの情報から、私は、山中という人物は、絶対に市長にしてはならない、万が一にもこのような人物が市長になることは、横浜市民にとっても、横浜市の職員にとっても「災害」に近い事態になると確信した。

出馬意志表明後も、私は、山中氏が「市長に相応しい人物」ではないことについて、多くの根拠を示して、ブログ等で指摘してきた。(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】【私が横浜市長選にこだわり続ける3つの理由、「民意」「支配」「適格性」】)。私は、立憲民主党側が山中氏擁立を再考することを、諦めていなかった。

しかし、立憲民主党本部も、江田憲司代表代行に支配された神奈川県連も、私の指摘に全く耳を貸さなかった。そして、党所属国会議員・県議・市議らが、コロナ禍にもかかわらず、街頭で幟を立てたり横断幕をかざしたりして人を集め、「8月22日横浜市長選挙立候補予定者山中竹春」の名前を広める「事前運動まがいの活動」に邁進したのである。

山中氏のパワハラ疑惑

8月3日発売の週刊誌フラッシュのネット記事【横浜市長選「野党統一候補」がパワハラメール…学内から告発「この数年で15人以上辞めている」】で山中氏のパワハラ疑惑が報じられた。

私の法律事務所は、事務所名からも明らかなようにコンプライアンス専門事務所だ。

多くの企業からコンプライアンス体制の構築の依頼を受け、全従業員のアンケート調査等によるコンプライアンスの実態調査も行っている。もちろん、パワハラの問題は、最近ではあらゆる組織にとって重要なコンプライアンス問題であり、通報があった事案の調査も多数行っており、パワハラの実態については精通している。

この山中氏のパワハラ問題については、当事務所にも、情報提供・協力の申出があり、私自身が、その被害者の一人から直接聴取して事実を確認している。また、それまでに多数の学内関係者から得ていた情報からすると、同記事で書かれた内容は、多くの大学関係者の認識に沿う、疑う余地はない事実であることは明らかと判断できた。

さらに、横浜市大教授在職中に突然、市長選への出馬が報じられたことに関して、理事長・学長名で出された学内文書に因縁をつけて、山中氏の評価を含む文書を発出するよう強く求め、書き直しをさせて、『素晴らしい研究業績』などの文言を含む文書の発出を強要し、大学の自治に対する、政治的権力による侵害行為を行った事実があった。これについても、市議会議員の関係者から情報提供を受け、文書も入手した(【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】)。これも、山中氏のパワハラ体質を端的に示すものだった。

このような状況の下で何をなすべきか。

熟慮を重ねた末、私自身の立候補の意志は撤回し、「元横浜市コンプライアンス顧問」として、コンプライアンス問題について外部有識者として意見を述べる立場になることとし、一方で、市長選挙については、小此木氏・山中両氏の当選を阻止するための運動、つまり「落選運動」に方針を転換することを決意し、8月5日の記者会見で、その旨明らかにした。

こうして、私は、横浜市長選挙において、立憲民主党推薦候補に対しても「落選運動」を行うことを宣言し、初めて、民主党の流れを引く野党と正面から対立することになった。

山中氏のパワハラ疑惑への立憲民主党の対応

上記のフラッシュ記事で報じられた山中氏のパワハラ疑惑に対する立憲民主党側の対応は、信じ難いものだった。

同党神奈川県連だけでなく、同党所属の国会議員までもが、「しらべえ」というインターネットサイトの【菅首相が負けられないため加熱する横浜市長選 山中竹春元教授がフェイクニュース被害】という記事を引用して、山中氏のパワハラ疑惑がフェイクだと喧伝しているが、この記事は、パワハラの実態について基本的な知識すら欠いている。

この記事では、「山中元教授が務めた横浜市立大学もハラスメント委員会を設けている。公立大学だから、私立に比べて、ハラスメント対策はより厳しい。」「大学側も『ハラスメント対策は厳正に行っている』と答えている」「ハラスメント委員会に山中元教授を告発したケースは1件もない」などが、山中氏のハラスメントを否定する決定的な根拠であるように言っている。

そもそも、「対策を厳正に行っている組織ではハラスメントは発生しない」「ハラスメントを受けた被害者は必ず告発を行う」との前提が、全く的はずれだ。一般的には、深刻かつ重大なパワハラであればあるほど、報復を恐れて通報や告発に至らないことが多く、それが、組織のパワハラ対策の困難性の要因となっている。

パワハラには、様々な態様がある。他人の目の前で叱責するというような単純なパワハラであれば、周囲からの告発などが行われることもあり、比較的把握しやすい。しかし、フラッシュの記事で山中氏が行ったとされるパワハラは、組織内の上司がその権限を不当に行使して被害者にダメージを与える陰湿な方法によるパワハラであり、組織内で告発をしても握りつぶされたり、報復を受けたりする懸念から、告発自体が極めて行われにくいタイプのパワハラだ。ハラスメントの被害者が退職した場合も、そのまま泣き寝入りする場合が多い。

つまり、「告発がゼロ」というのは、山中氏のパワハラ疑惑を否定する根拠には全くならないのである。

実際に、山中氏の人格・性格について、大学関係者の話では、「粘着質で執念深い」という点で一致している。報復を恐れてパワハラの告発を行うことはとてもできない典型例であるし、実際に被害を伝えてきた人たちも、報復されることを非常に恐れている。

この「しらべえ」の記事の著者には、昨年、東京都知事選をめぐって、「立憲民主党の枝野幸男氏と国民民主党の玉木雄一郎氏が神津連合会長に呼び出された」と事実無根のツイートをして、すぐに全く事実ではないことが判明し、ツイートを削除したという騒ぎがあった。党の代表に関わる虚偽ツイートで迷惑をかけた前歴のある人間の、内容的にも全く噴飯物の記事を、立憲民主党の議員がこぞって山中氏のパワハラ否定のために引用するというのは、公党の対応として異常というほかない。

山中氏のパワハラ疑惑の指摘について、まず行うべきことは、パワハラ当事者の山中氏からヒアリングを行い、パワハラの具体的事実として指摘されている「干す」という言葉を使ったメールを発信した事実があるのかどうかを確認すること、それが事実なら「干す」がどういう意味で用いられたのかを山中氏自身に問い質すことだ。それが、最も容易にできるのは、山中氏推薦を決定している、立憲民主党のはずだ。

山中氏の経歴詐称疑惑

それに加え、かねてから、山中氏の学歴・経歴・データサイエンティストとしての専門性に関して、米国留学時の経歴「NIH リサーチフェロー」の詐称問題がSNS上等で指摘されていた。

これについて、私が告示日の前日に指摘したのは、山中氏が米国留学時の身分について「NIH リサーチフェロー」としていた研究経歴紹介サイト「リサーチマップ」を、出馬表明直後に削除したこと、大学院修士課程しか修了していないのに博士課程修了のように見せかけていた疑いがあること、「NIH リサーチフェロー」は博士号取得後3年経過後に得られる政府職員の有給のポストであり、山中氏が「NIH リサーチフェロー」だったとは考えにくいことだ。山中氏はこれらの疑問に答えるべきだと述べた。(【横浜市長選、山中竹春氏は「NIH リサーチフェロー」の経歴への疑問にどう答えるのか】

しかし、山中氏本人も、同氏を推薦する立憲民主党も、これらの疑問に対して何一つ正面から向き合おうとせず、経歴詐称問題について全く何の説明もしないまま立候補届出に至った。

上記のフラッシュの記事に対しては、「しらべえ」記事を引用してフェイクだと騒ぎ立てたり、フラッシュを出版社の光文社を「告訴する」などとマスコミに吹聴したりすること(実際には、告訴は凡そ受理されないと思われる)に終始し、連日、党組織を挙げての山中氏のための街宣活動を繰り広げている。

一方、「NIH リサーチフェロー」についても全く説明責任を果たさず、選挙公報には、なぜか「NIHリサーチフェロー」とは書かず、「NIH 研究員」と記載している。

立憲民主党に安倍・菅政権を批判する資格があるのか

横浜市長選挙は、4年に1度、たった一人の市長を選ぶ選挙である。その選挙において、市長に相応しい人物を、責任を持って選定し、市長としての適格性に疑念が生じたら、十分に説明責任を果たすのは、公党として当然の責務のはずである。

しかし、今回の市長選での候補者選定の経過は、凡そ上記のような責務を果たすものとは言い難い。江田憲司氏の「独断専行」を許した結果、候補者の適格性に重大な疑義が生じているにもかかわらず、説明責任を無視している状況にある。

立憲民主党も、その前身の、民主党・民進党も、森友・加計学園問題、桜を見る会問題等で、自らの権力の維持を最優先し問題に対して最低限の説明責任すら果たして来なかった安倍・菅政権を追及する中で、「説明責任を果たしていない」ということを常に批判の理由としてきた。

今回、横浜市長選挙において立憲民主党が行っていることからすると、果たして、説明責任について安倍・菅政権を批判する資格があるのかと疑問を持たざるを得ない。

党本部が、江田氏の「独断専行」を容認せざるを得ないのは、「野党第一党」の地位を守ることを最優先しているからではないのか。そのような立憲民主党執行部に、本気で菅政権を打倒し、国民の期待する政権を作ろうとする気があるのか。長年、横浜市政は、有力政治家菅義偉氏の大きな影響を受け、「菅支配」の下にあった。それを一層強固なものとする小此木氏の当選は、何が何でも阻止しなければならない。しかし、今の立憲民主党には、それを期待することは全くできない。

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横浜市長選、山中竹春氏は「NIH リサーチフェロー」の経歴への疑問にどう答えるのか

昨日(8月5日)のブログ記事【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】で、横浜市長選挙への出馬を見送り、小此木八郎、山中竹春両氏の「落選運動」に転換することを表明し、同日午後4時から記者会見を行った。

 立憲民主党の山中氏擁立を殆ど独断で決定し、山中氏の候補者としての適格性について問題が指摘されても耳を貸さず、野党統一候補としての擁立に向けて「独断専行」してきた江田憲司氏(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】)が、昨夜22:19にフェイスブックを更新し、以下のようなことを書いている。

市大というのは、文字どおり、横浜市の一組織だから、市からの天下り官僚も多く、自民党や林現職サイドが何か調べよう、圧力をかけようと思えば簡単にできることなのだろう。  

江田氏が述べていることは、山中陣営へのブーメランそのものである。

私は、昨日の記事で、

「出馬表明後に、山中氏が市議会議員とともに横浜市大当局に対してとった行動」は、まさに、大学の自治を侵害し、公選法違反の疑いが生じるだけでなく、山中氏のパワハラ的な本性を露わにしたと言える

と指摘し、この市議会議員が、山中陣営の中心人物である花上喜代志氏であることも明らかにしている。

江田氏は「横浜市大当局に、何か調べよう、圧力をかけようと思えば簡単にできる」としているが、今回、横浜市大に実際に圧力をかけたのは、「自民党や林現職サイド」ではなく、立憲民主党サイドなのである。

江田氏が、このような「妄言」をネットで発信している間に、私が昨日のブログや会見でも指摘した山中氏の経歴に関する疑問は、ますます大きくなっている。

「リサーチマップ」という、研究者が業績を管理・発信できるようにすることを目的としたデータベース型研究者総覧があり、多くの研究者が活用しているが、山中氏は、そのリサーチマップに公開していた内容を、市長選出馬の話が表面化した段階で削除している。このことは、SNS上で、「何かやましいことがあるのではないか」と指摘されていた。

山中氏が削除したリサーチマップの経歴が、グーグルのキャッシュで確認できた。それによると、

「2002年 – 2004年米国国立衛生研究所 (NIH) リサーチフェロー」

との記載がある。

ブログでも述べたように、山中氏は、学歴について

「1995年 早稲田大学政治経済学部 卒業」

「2000年 早稲田大学大学院理工学研究科 修了」

としており、それだけ見ると、政治経済学部を卒業後、大学院に5年間在籍し、修士課程・博士課程を修了したかのように見える。しかし、一方で、山中氏が2008年に出版された数学の専門書の共著書(「一般化線形モデル入門 原著第2版:2008年」)では、

「1998年 早稲田理工学部数学科卒」

とされている。実際には、大学院在学は2年であり、修士課程しか出ていないことになる。

「NIHリサーチフェロー」というのは、「博士号を取得し、期間限定で更新可能な任命を受けているNIHの有給の職員」という意味である。早稲田大学理工学研究科の修士課程しか修了しておらず、博士課程は出ていない山中氏が「NIHの職員」リサーチフェローの経歴があったとは考えにくい。(山中氏の博士号は、「大学院博士課程で取得したものではなく「論文博士」であり、2003年5月に審査を受け、同年10月に審査結果が出たものだ。)

「NIH リサーチフェロー」の職にあったとすれば、研究歴にとって極めて重要な意味を持つものであり、2014年に、横浜市大医学部教授に採用された際も、履歴書に「NIH リサーチフェロー」と記載していた可能性が高い。医学部には山中氏のような生物統計の専門家はほとんどいなかったので、採用に当たって、山中氏の経歴の中の「NIH リサーチフェロー」は決定的な意味を持ったと考えられる。

もし、山中氏が、「NIH リサーチフェロー」を詐称していたとすると、横浜市大医学部教授の採用自体にも疑義が生じることになる。

1995年の学部卒から5年間、大学院に在籍したように見せかけているのも、博士課程を出ていない「リサーチフェロー」はあり得ない、ということと関係している可能性がある。

市長選挙出馬の話が表面化した時点で、山中氏はリサーチマップを削除したのであるが、研究者の経歴を持つ人間として、その実績をアピールして市長選挙に立候補するのだから、削除することは通常あり得ない。

8月8日告示の横浜市長選挙に立候補するのであれば、山中氏は、これらの疑問について自ら説明責任を果たすべきであろう。

また、「NIH リサーチフェロー」の経歴について、山中氏自身が、即座に十分な説明を行い、疑いを晴らすのであれば別だが、そうでなければ、横浜市大及び横浜市は、【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】で指摘した「山中氏が花上市議会議員らとともに横浜市大当局に対して行った大学の自治を侵害する不当要求」の問題と併せて、山中氏の経歴について、教授採用の際に提出された履歴書等についても調査すべきである。

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「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!

*迫る横浜市長選、危機的局面に*

8月8日告示、同月22日投票の市長選挙を目前に控え、横浜市は極めて危機的な状況を迎えている。

一つは、横浜市を、事実上支配してきた有力政治家菅義偉首相との関係だ。

「横浜市の幹部人事(局長・区長)の人事案は、確定前に菅事務所に送付されて了承を得る」という、地方自治体の人事ではあり得ないやり方が、20年以上にわたって続いてきた。(実際に、稀ではあるが、人事案が菅事務所側に覆されたケースもある。)それによって、横浜市の幹部職員は、菅氏の意向に従い、或いは忖度せざるを得ず、実際に、IRの山下ふ頭への誘致が民意を無視して進められ、瀬谷の米軍通信基地跡地での花博の開催、テーマパークの建設などの事業計画が進められ、開発重視の施策がとられてきた。その一方で、子育て支援、高齢者福祉、困窮者対策などがなおざりにされ、「市民の暮らし」には十分に目が向けられてこなかった。

今回の市長選では、自民党系候補が、林文子現市長と、現職閣僚を辞任して市長選挙に立候補表明した小此木八郎氏に分裂した状況を受け、菅首相は、かねてから昵懇の関係にある小此木氏の「全面支援」を打ち出し、自ら自民党関係者に「小此木支持」を徹底して呼び掛けるなど、一自治体の首長選挙への現首相の対応としては異常とも思える対応を行っている。この選挙で小此木氏が当選することは、横浜市での「菅支配の完成・盤石化」を意味する。

一方、野党統一候補としての立候補を予定している横浜市立大学の元教授の山中竹春氏には、喧伝されている「データサイエンティスト」「コロナの専門家」などの属性自体に疑問が指摘されているほか、「パワハラ」疑惑が報じられている。そして、後述する通り「出馬表明後に、山中氏が市議会議員とともに横浜市大当局に対してとった行動」は、まさに、大学の自治を侵害し、公選法違反の疑いが生じるだけでなく、山中氏のパワハラ的な本性を露わにしたと言えるものだ。このような人物が万が一にも横浜市長に就任することは、横浜市民にとっても市職員にとっても、絶対にあってはならない事態である。

*市長選に向けての私のこれまでの対応*

私は、これまで14年間にわたって、コンプライアンス顧問等として横浜市の行政に関わってきたが、今回の市長選は、今後の横浜市政の方向性を決定づけるものであり、重大な関心を持ってきた。

私は7月7日の記者会見で、横浜市長選挙への立候補の意志を持って政治活動を行うことを表明(以下、「出馬意志表明」)した。そしてそれとともに、「立憲民主党が推薦候補として擁立している横浜市立大学元教授の山中竹春氏が、野党統一候補として横浜市長となるのに相応しい人物であることが確認でき、私が掲げた重点政策に基本的に賛同するのであれば、立候補の意思は撤回し、山中氏を全面的に応援する」と述べ、立憲民主党神奈川県連会長宛ての質問状も公開した。ところが、その後の立憲民主党側の対応によって、出馬意志の「解除条件」とした「山中氏が市長に相応しい人物であること」が充足される余地は全くないと判断せざるを得なかったので、7月16日の記者会見で、その経緯を明らかにし、改めて、明確に市長選への出馬意志を表明した。(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】

政党・団体の推薦も支援も全くない私が、全くの私費で選挙資金を賄ってまで立候補しようとしているのは、自分自身が市長になり、その権限を得たいのではない。想定される市長選の結果が、横浜市民にとって、横浜市の自治体組織にとって、最悪の結果となることを看過できないと考えたからである。このことは、7月26日の「横顔会見」の場等でも説明してきた(【7月26日横顔会見(前半)】)。

*今後の方向性についての検討*

山中氏については、かつて23年間検察官として刑事事件で様々な人間を見てきた私の経験からも、絶対に横浜市長にしてはならない人物と確信し、出馬意志表明後も、山中氏の適格性についてネット上等で指摘してきた。しかし、野党側の推薦、支持、支援は山中氏に一本化され、山中氏の立候補が強行されようとしている。

市長選をめぐる情勢は、多数の自民党市議に加えて、菅首相自身も全面支援を打ち出した小此木八郎氏、現職市長の林文子氏と立憲民主党推薦の山中氏が、「主要3候補」とされ、マスコミの報道も、次第に、3候補(或いは、それに元知事2名を加えた5候補)に集中していくものと考えられ、私が立候補しても、私の訴えが有権者の耳に届くことは期待できないと考えざるを得ない状況になっている。

一方で、後に詳述する山中氏の出馬表明に関して横浜市大で発生した事象は、同市大のみならず横浜市にとってもコンプライアンス上重大な問題である可能性があるが、私は、市長選への出馬意志を表明するに際して、横浜市コンプライアンス顧問を退任し、市長選の候補予定者となったことに伴い、横浜市に関する問題について、コンプライアンスの専門家として客観的な立場から論評する立場ではなくなっている。

そこで、このような横浜市にとっての重大局面において、私自身が何をなすべきか熟慮を重ねた末、私自身の立候補の意志は撤回し、「元横浜市コンプライアンス顧問」として、コンプライアンス問題について外部有識者として意見を述べる立場になることとした。一方で、市長選挙については、小此木氏・山中両氏の当選を阻止するための運動、つまり「落選運動」に方針を転換することを決意した。(IR推進を掲げる現職市長の林氏の当選も阻止すべきと考えているが、林文子氏の支持基盤であった自民党の支持状況から、当選に必要な有効投票の25%を獲得する可能性は極めて低いと考えている。その前提が変われば、落選運動の対象に加えることもあり得る。)

公職選挙法は、当選を得若しくは得しめる目的で行われる「選挙運動」と並んで、「当選を得しめない目的」で行われる「落選運動」を想定しているが(221条)、この「落選運動」については、時期・方法についての制限は規定されていない。それは、「選挙運動」が、公職に就任することによる利益が想定されるのに対して、「落選運動」は、それを行う個人に何ら利益をもたらすものではないからであろう。そのような自分の利益にならないことに労力・費用をかけようとする人間はほとんどいないのが通常だ。しかし、私は、もともと、自分自身が市長の職に就くことが目的ではなく、長く横浜市のコンプライアンスに携わってきた立場から、今回の市長選が、横浜市民や地域社会の要請に反する結果になることを阻止しようと考えて、市長選に自ら関わってきた。私にとって、可能な範囲で、私費を投じ、自分自身の時間を活用して、市長になるべきではない候補の当選阻止をめざす活動を行っていくことは、これまでの活動の延長上にあるものであり、自らの社会的責務だと考えている。

今後、もともと予定していた、ブログ、YouTubeでの発信、インターネット広告、新聞広告など、様々な手段を用いて、小此木・山中両氏の当選を阻止する活動を行っていくこととしたい。

そこで、まず、山中氏に対する「落選運動」の第一弾として、本日の会見で問題を指摘し、私の下に提供された様々な情報に基づき、山中氏の市長としての「適格性」を問題にする理由について、具体的に述べることとしたい。

なお、「菅支配」という観点からの小此木氏の当選阻止の必要性については、その概要を、昨日アップしたYouTube「郷原信郎の『横浜から日本の権力を斬る』」の【横浜市長選、小此木氏当選阻止で「菅支配」からの脱却を!】で、既に明らかにしている。

*山中氏のデータサイエンスの専門性や学歴についての疑問*

山中氏については、ネット上で、学歴、研究歴、データサイエンスについての専門性がないこと、コロナの専門家ではないこと、大阪府吉村知事の「イソジン会見」で、データ解析者として名前が出ていたこと、公立大学教授であるのに製薬会社から多額の謝礼を受領していたことなどが指摘されている。

公表されている山中氏の経歴にも、以下のような疑問があった。

「1995年 早稲田大学政治経済学部 卒業」「2000年 早稲田大学大学院理工学研究科 修了」とされており、それだけ見ると、政治経済学部を卒業後、大学院に5年間在籍し、修士課程、博士課程を修了したかのように見える。しかし、一方で、2008年に出版された数学の専門書の共著書(「一般化線形モデル入門 原著第2版:2008年」)では、「1998年 早稲田理工学部数学科卒」とされている。

立憲民主党の衆院議員中谷一馬との対談(ビジネスジャーナル)では、

「いったんは政治経済学部というところに行ったのですが、最初は実はアルバイトばっかりやっていたのです。」

「アルバイトをやりすぎて結構大学の単位を落としちゃったんですね。」

「留年したらまずいなと思いまして、そこから勉強し始めたんです。それで、勉強し始めたら、経済学というよりも経済、政治、社会の現場から生まれるデータを分析して、それに基づいて意思決定をするという方法論が面白くて。そうしたら、今度は、分析手法の理解を深めたいなと思い、数学科に潜り込んで数学や統計学の授業聞いてたんですね。」

などと述べている。

数学科の授業に「もぐりこんで」とあるので、いかにも数学科は卒業していないような印象を受ける。「学部(政経学科)のときに数学科に潜り込んだ」というのが、「理工学部数学科に入り直した」というのあれば、そう言えばいいはずだ。山中氏は、なぜか、現在の経歴の中で「数学科卒」を隠していることになる。なぜ、「数学科卒」を敢えて隠すのか、実際には大学院には2年間の修士課程に在籍しただけなのに、5年間在籍し、修士課程、博士課程を修了したかのように見せかけることが目的なのか。

中谷議員との対談からすると、山中氏は、早稲田の政経学部在学中に、「データサイエンス」に興味を持ち、そこから独自にデータサイエンティストとしての専門性を深めていったように見える。しかし、そうではなく、実際には、早稲田大学の学部や大学院在学中に、データサイエンスに関連する教育を受けてはいないのではないかとの疑問が生じた。

*横浜市大関係者からの文書*

そうしたところ、7月中旬に、私の事務所の公開メールアドレスに、山中氏のことをよく知る人達からと思える匿名の文書を添付したメールが送られてきた。

そこには、以下のようなことが書かれていた(これらについては、公表資料に基づく具体的かつ詳細な説明も記載されている)。

(1)山中氏は、データサイエンス分野で、統計学や情報学の学術貢献が含まれる研究論文はほとんどなく、データサイエンティストと言える専門性に乏しい。

(2)共著者(他の研究者が主導した研究における共同研究者の一人)の論文を含めると200本以上の論文があるが、これらの研究論文は主として他人の研究成果であり、筆頭著者(主導した研究)は10本未満であり、この中には統計学、データサイエンスに関するものはほぼないこと。

(3)感染症・免疫学の専門家ではなく、西浦博氏や尾身茂氏のように、感染症の実務研究をしてきた人と違い、感染症対策の実務も研究業績もない。研究者間で認められていない中和抗体の測定方法を用い、中和抗体に関する研究をマスコミで喧伝したが、そもそも中和抗体の測定自体も別の研究者や業者が行ったものである。

(4)山中氏は部下や事務職員に対してパワハラやアカハラと捉える事案が頻発していた。中には適応障害の診断を受けて、辞めた教員もいた。

(5)学長補佐やデータサイエンス研究科長の要職にあったが、2021年より週3回国立がんセンターと兼業になり、横浜市立大学には週2回の勤務。学長補佐、大学院研究科長、医学部教授という立場にありながら実質職務放棄の状態が続いていた。

文書の内容からすると、山中氏の実像を世の中に明らかにしたいという純粋な思いから私宛に送付してきたものと思えた。

この文書のとおりだとすると、山中氏は、データサイエンティスト、コロナの専門家を売りにして市長選に立候補することを表明しているが、それらはすべて「虚飾」で、実際には、専門性も業績もないのに、あるように見せかけて自分のポストを得てきた人物だということになる。私は、同分野の専門家を含む知人や関係者に話を聞き、情報を収集するなどして、上記匿名文書の信憑性を確認した。結果、指摘されていることは信憑性が高いと考えられた。

*山中氏のパワハラ・アカハラ*

 そうしたところ、8月3日発売の週刊誌フラッシュと、ネット記事【横浜市長選「野党統一候補」がパワハラメール…学内から告発「この数年で15人以上辞めている」】で、上記(4)のパワハラ・アカハラに関する事実が報じられた。

 なお、山中氏は、同報道に対して釈明するために、ホームページで反論を出している(https://takeharu-yamanaka.yokohama/news_00.html)。

ところが、この際、個人情報を黒塗りにしていたが、実際には不完全で、個人情報が流出するという事態を招いている。このような個人情報の取扱いの杜撰さも、山中氏のデータサイエンティストとしての専門性の疑わしさ(或いは、目的のためには他者の立場を無視するパワハラ体質)を示すものと言えるだろう。

*山中氏に関する「横浜市大理事長・学長名の学内文書」*

山中氏については、上記のように、データサイエンス、コロナの専門家を標ぼうしていることへの重大な疑義に加え、重大なパワハラ疑惑が報じられているが、それに加え、横浜市立大学教授(学長補佐、研究科長)等に在職中に横浜市長選に出馬を表明したことに関して、横浜市大においても重大なコンプライアンス・ガバナンス問題が発生している。

発端は、今年6月16日、「立憲民主党、横浜市長選に、横浜市立大学の山中竹春教授を擁立へ」と報じられた直後に、理事長・学長名で、大学の全教職員に宛てて発出した以下の文書だ。(以下「6.16文書」)

        今朝(6月16日)の新聞報道について

今朝、新聞各紙(神奈川新聞、読売新聞、毎日新聞)に、横浜市長選に横浜市立大学山中竹春教授が擁立される件が大きく報道されました。

この件につきまして、御本人への連絡がつかない状況が続いていますが、現在も連絡を続けており、意思確認に努めております。

皆様もたいへん驚かれ、また、動揺されている方も多いと思いますので、本学のスタンスをお伝えいたします。

横浜市の設置する公立大学法人として教職員の選挙活動及び政治活動へ関与することはありません。

いずれにせよ、本大学は、コロナ禍の中で教育・研究・診療等に注力している中、冷静な対応をお願いするとともに、引き続き業務に専心ください。

そして、7月26日、以下の文書が、同じく理事長・学長名で全教職員に宛てて発出された(以下「7.26文書」)。

  「今朝(6月16日)の新聞報道について」の記述について(お詫び)

表題の文書につきましては、山中元教授の市長選出馬に関する新聞報道に教職員が動揺しないように、という配慮で送付しましたが、結果的に、設置主体である横浜市の  林市長に対して配慮した内容である、というご指摘を受けました。

また、本人と連絡がつかない、という事実と異なる内容を記載してしまった点について、心よりお詫び申し上げます。

私共の配慮が不足しており、教職員の皆様、ならびに学部生・大学院生の皆様に誤解を生じさせてしまい、たいへん申し訳ございませんでした。

山中先生ご本人に確認も行わぬまま、記事が発出された数時間後に全教職員宛にメールを送信するという行為は、法人の管理者として極めて拙速とも言える行為でした。

山中先生には大事な時期に大変ご迷惑をおかけしてしまいました。ご本人には深い謝罪の意をお伝えしました。

山中先生におかれましては、これまで素晴らしい研究成果や学内のご実績により、横浜市立大学のプレゼンスを高めてくださりました。今後も感謝の意を学内外へ伝えて参る所存です。

これらの文書は、山中氏に同席して、大学側に文書発出を要求した市議会議員の関係者から入手したものだ。

このような2通の文書が、横浜市大の理事長・学長名で全職員に向けて発出されたことには、重大な問題がある。

*公立大学の政治的中立性の問題*

第一に、公立大学の政治的中立性に関する問題である。

「6.16文書」では、「横浜市の設置する公立大学法人として教職員の選挙活動及び政治活動へ関与することはありません。」と述べて、公立大学としての政治的中立の姿勢を明確に述べている。ところが、「7.26文書」では、市長選挙に出馬表明している山中氏に「感謝の意を学内外に伝えること」を大学の方針として示すなど、立候補予定者の山中氏への支援を表明するかのような内容となっている。

「7.26文書」では、「6.16文書」について「結果的に、設置主体である横浜市の林市長に対して配慮した内容である、というご指摘を受けました」と述べている。「林市長」の市長選への立候補を前提とする指摘を受けたということであり、それを敢えて記載することで、「6.16文書」について、政治的意図が問題とされていることを認めた上、末尾で、山中氏の研究業績と大学への貢献を礼賛した上、山中氏への「感謝の意を学内外への伝える」と宣言している。全職員に、山中氏の「素晴らしい研究成果や学内のご実績」を、学内だけでなく、学外にもアピールしていくことを呼び掛けるものであり、「6.16文書」について政治的意図の指摘を受けていることとの関係から、逆の政治的意図、つまり、「山中氏を市長選挙で支援する趣旨」と受け取られかねない内容となっている。

このような文書を、公立大学の理事長・学長名で発出することは、みなし公務員としての地位を利用するものであり、公務員等の地位利用による選挙運動の禁止(公職選挙法 第136条の2第1項)の趣旨に反する疑いがある

 

*大学の自治・ガバナンスへの介入*

 もう一つは、大学の自治、公立大学のガバナンスに関する問題だ。

上記のとおり、「6.16文書」では、「公立大学法人として教職員の選挙活動及び政治活動へ関与することはありません」と述べていたのが、「7.26文書」では、山中氏を礼賛し、「感謝の意を学内外に伝える」などと市長選の立候補予定者の山中氏を支援するような政治的対応を示唆する内容になっている。特に、後の文書では、山中氏を「素晴らしい研究業績や学内での実績」と書かれているが、上記の匿名の文書によれば、学内の専門的見地からの評価はそれとは逆で、研究業績は実質的には評価に値するものではなく、むしろ、パワハラ体質教授と認識されていた。出馬表明後、SNS上でも、データサイエンティストとしての専門性がないことや、学歴、研究歴の疑問が指摘されていた。どうしてこのような文書が理事長・学長名で出されたのか。

山中氏や立憲民主党の市議会議員が、山中氏の専門性、研究業績等に関する上記のような消極的評価を意識して、『素晴らしい研究業績』という評価を含む理事長・学長名の文書を発出するよう強く求め、書き直しをさせて、そのような文言を含む文書を発出させたとすると、まさに大学の自治に対する、政治的権力による侵害行為だと言える。

関係者の話によると、同文書は、山中氏本人と立憲民主党の花上喜代志市議会議員らが、大学当局に「6.16文書」の訂正・謝罪と、山中氏に有利になる記述を加えた文書の発出を強く求め、何回も書き直させた上、最終的に上記の文面になったとのことだ。(「花上氏自身が、それを周囲に吹聴している」との話を複数の関係者から聞いている。)

「7.26文書」で「設置主体である横浜市の林市長に対して配慮した内容である、というご指摘を受けました」と記載されているが、この「指摘」は、山中氏や花上氏らによる大学当局への抗議、訂正・謝罪要求を意味するものと考えられる。しかも、6月16日の時点では、現職の林市長は市長選への出馬は不明であり、むしろ【(6.11朝日)横浜市長選、現職・林市長を支援せず 自民市連が方針】など、出馬に否定的な報道も行われていたのであり、「林市長に対して配慮した内容」という指摘自体が、全くの言いがかりとも思える。

*山中陣営は、なぜ「7.26文書」を出させたのか*

その背景には、山中氏の出馬表明後、SNS上でも、データサイエンティストとしての専門性や、学歴、研究歴についての疑問が指摘されていたことから、そのような疑問や指摘に対する反論のために、大学当局に対して、山中氏に対する積極的評価を含む文書の発出を求めた可能性がある。

大学当局としては、「6.16文書」に記載されたとおり、山中氏の市長選への立候補には関与しない方針だったはずだ。それにもかかわらず、「7.26文書」のような書面を発出したのは、市長選挙の立候補予定者と市議会議員の政治的圧力によって強く要求されたからである。

「7.26文書」の発出は、市大当局にとって「義務のないこと」であり、「生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して脅迫」した事実があれば、強要罪に該当することになる。

また、山中氏や市議会議員の花上氏らが、「『素晴らしい研究業績』という研究業績の評価を含む理事長・学長名の文書を発出するよう強く求めた行為」は、強要罪の成否を問わず、まさに大学の自治に対する、政治的権力による侵害行為だと言える。

 

 上記の問題について、大学の自治の問題に詳しい明治学院大学社会学部の石原俊教授に事案の内容をご説明したところ、以下のコメントを頂いた。

           【石原俊教授コメント】

公立大学法人の設置者側(自治体首長・自治体議会議員・自治体幹部職員など)は、公立大学の運営や改革のあり方について、大局的な見地から要望を行うことは、一定の範囲で認められている。しかし、設置者側に属する人物が、公立大学の教育・研究や研究者人事に関わる具体的な事項について、指示や要請を行うことは、戦後日本においては、憲法23条や関連法令が保障する大学の自治の観点から、一切認められていない。教育・研究や研究者人事に関わる具体的事項については、専門家である研究者(教員)による相互審査・相互評価(ピア・レビュー)の結果が尊重されなければ、大学が政治や行政の道具と化してしまうからである。

すでに横浜市立大学の教員職を辞職し、複数の政党が推薦する市長候補者つまり政治家の立場に事実上転じている山中氏や、それを支持する政党に属する市議会議員が、山中氏の専門性や研究業績に関する評価を含む公文書の発出を、大学側に要求したことが事実であるならば、本件は明白な大学の自治の侵害に当たる。

*学内文書発出の強要で露わになった山中氏の「パワハラ体質」*

 山中氏が、前記のフラッシュの記事にいかに反論しようと、抗議しようと、なりふり構わず、相手の立場の心情への配慮を欠く「パワハラ体質」であることは、上記の2つの理事長。学長名の文書の発出の経過、内容の比較から明らかであろう。

 このような人物が万が一横浜市長になったりすれば、横浜市のコンプライアンスの崩壊、と横浜市職員に塗炭の苦しみを与え、横浜市民や地域社会の要請に応える上で著しい支障が生じることは明らかだ。

 私は、「菅支配」の完成・盤石化につながる「小此木市長」を阻止するとともに、「山中市長」を阻止する活動に全力を挙げていこうと思う。

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