「籠池氏は詐欺を働く人間。昭恵も騙された。」は、“首相失格の暴言”

昨夜(10月11日)のテレビ朝日「報道ステーション」の党首討論で、安倍首相が、「籠池さんは詐欺を働く人間。昭恵も騙された。」と発言した。内閣の長である総理大臣として、絶対に許せない発言だ。

籠池氏は、森友学園が受給していた国土交通省の「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」の不正受給の事実についての詐欺罪で逮捕され、起訴された。しかし、刑事事件については、「推定無罪の原則」が働く。しかも、籠池氏は、その容疑事実については、完全黙秘を貫いていると報じられている。その籠池氏の公判も始まっておらず、本人に言い分を述べる機会は全く与えられていないのに、行政の長である総理大臣が、起訴事実が「確定的な事実」であるように発言する。しかも、安倍首相は、憲法の趣旨にも反する、不当極まりない解散(【“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」】)を、総理大臣として自ら行った。それによる衆議院選挙が告示された直後に、自分の選挙を有利にする目的で行ったのが昨夜の放送での発言なのである。安倍首相は「丁寧な説明をする」と言っていたが、それは、籠池氏が詐欺を働いたと決めつけることなのか。

法務大臣には、個別の刑事事件に関しても、検事総長に対する指揮権がある(検察庁法14条但し書き)。その法務大臣に対して、閣僚の任免権に基づき、指揮を行うことができるのが総理大臣だ。そのような「行政の最高責任者」が、司法の場で裁かれ、判断されるべき籠池氏の詐欺の事件について、「籠池さんは、詐欺を働いた」などとテレビの総選挙に関する党首討論で、言い放ったのである。法治国家においては、絶対に許せない「首相失格の暴言」だ。

加計学園問題は、安倍首相が「国家戦略特区諮問会議の議長」という立場にあるのに、首相のお友達が経営する加計学園が獣医学部の新設で優遇された疑いが問題となった。今回の「籠池氏の詐欺」についての発言は、自らが、準司法機関である検察を含む「行政の長」なのに、司法判断の介入になりかねない発言である。いずれも、その立場にあることを認識していればあり得ない発言であり、認識した上で、意図的に言っているのだとすれば論外である。

しかも、この籠池夫妻逮捕に関しては、逮捕された直後にも、ブログ【検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか】で指摘したように、「補助金適正化法違反で告発受理した事件」について、「詐欺罪」で逮捕するというのは、従来の検察実務の常識に反する。この点については、さらに検討した上、籠池氏の勾留満期直前に、【検察は籠池氏を詐欺罪で起訴してはならない】で、詐欺罪での起訴はあり得ないこと、詐欺罪で起訴すべきではないことを指摘したが、大阪地検は、なぜか無理やり「詐欺罪での起訴」を行った。

それに続いて、大阪地検は、籠池氏を、森友学園の幼稚園が「大阪府」から受給していた、障害で支援が必要な園児数に応じた「特別支援教育費補助金」等の不正受給で再逮捕し、起訴した。この「地方自治体」からの補助金の詐欺については、「補助金適正化法」の適用がないので、「詐欺罪」を適用することに問題はない。

しかし、これらの事件について、そもそも刑事事件にするような問題であるか否かに重大な疑問がある。このような社会福祉、雇用等に関連する補助金、助成金については、かねてから、巨額の不正受給が指摘されている。厚労省の発表によると、「2009~2013年度に1265社、191億円の不正受給があったことが厚生労働省のまとめでわかった。」(2014.9.22朝日)、「雇用安定のため企業に厚生労働省が支給している助成金制度が悪用され、平成25年度までの2年間で計約94億円を不正受給されていたことがわかった。厚労省は企業に返還を求めるが、倒産などで回収できない可能性もある。」(同日付け産経)とのことである。このような膨大な数の不正受給は、いずれも形式的には詐欺罪に該当し、検察がその気になれば「詐欺罪」で逮捕・起訴することが可能である。しかし、実際には、そのような助成金の不正受給が詐欺罪で告発された例はほとんどない。

さらに問題なのは、補助金適正化法違反による「告発」を大阪地検が受理した際、NHKを始めとするマスコミが「大阪地検が、籠池氏に対する補助金適正化法違反での告発を受理した」と大々的に報じた経過だ。その報道が、明らかに検察サイドの情報を基に行われたこと、そして、その情報は、何らかの政治的な意図があって、東京の法務・検察の側が流したもので、それによって「籠池氏の告発受理」が大々的に報道されることになったとしか考えられないことを【籠池氏「告発」をめぐる“二つの重大な謎”】で指摘した。

安倍首相が、党首討論で持ち出した「籠池さんの詐欺」は、検察の逮捕・起訴も、それに至る告発受理の経過も「疑惑だらけ」である。それを、裁判が始まってもいないのに、有罪であるかのように決めつける発言を「選挙に関して」行ったのである。

しかも、安倍首相は、自分の妻である安倍昭恵氏が、その籠池氏に「騙された」と言うのである。それは、どういう意味なのだろうか。「詐欺師の籠池氏に騙されて森友学園の小学校の名誉校長になった」という意味だろうか。それとも、「騙されて100万円を寄付させられた」という意味だろうか。

私は、これまで、森友学園、加計学園の問題での安倍首相や内閣、政府の対応に関して、様々な問題を指摘し、批判してきた。この国の行政を担っている安倍内閣が、もう少しまともな対応をして、国民に信頼されるようになってもらいたいと思ったからだ。しかし、安倍内閣の対応は、改善するどころか、失態に次ぐ失態を繰り返している。

そして、「森友、加計疑惑隠し」と批判される解散を強行し、選挙が公示されるや、今回の、信じ難い「暴言」だ。

このような首相発言が許されるとすれば、もはや今、日本は法治国家ではない。

 

 

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日産、神戸製鋼、相次ぐ不祥事が示す「カビ型」行為の恐ろしさ

9月29日、日産自動車が、新車の完成検査を無資格の従業員に行わせていたこと、それらの検査を、提出書類上は有資格者である従業員が担当したかのように偽装していたことを公表したのに続いて、10月8日には、神戸製鋼所が、アルミニウムや銅製品の一部で、顧客企業との契約上の仕様を満たしているかのように強度や寸法などの性能データを改ざんして出荷していたことを公表した。

日産自動車の問題では、110万台のリコールを実施する方針が明らかにされ、神戸製鋼の問題では、対象品の納入先であるトヨタ自動車(一部車種のボンネットやバックドアの周辺部)や三菱重工業グループ(開発中の国産初のジェット旅客機MRJ)、JR東海(東海道新幹線の車両の台車部分)などにまで影響が波及するなど、重大な社会問題にも発展しかねない状況となっている。

日産の問題は、新車を出荷する際の完成検査に関わる問題だ。完成検査とは、自動車メーカーが、ハンドルやブレーキ、ライトなど、安全性に関わる性能を出荷前にチェックする検査のことをいう。道路運送車両法上、あらかじめ国土交通大臣の型式指定(75条)を受けた自動車については、国が行う新規検査(58条)に代えて、メーカー自らが完成検査を行うことができるが、この完成検査は、同法に基づく国交省の通達によって、社内で認定を受けた検査員が担当するよう定められている。ところが、日産では、国内の6工場全てにおいて、社内資格を有していない「補助検査員」も検査に携わっていた。

そして、無資格者が関わった検査であっても、書類上は、有資格者の氏名を記載し、有資格者名の印鑑を押して、正しい検査を行ったかのように偽装して提出していた。ほぼ全ての工場で、偽装用の印鑑を複数用意し、帳簿で管理した上で無資格者に貸し出すという仕組みができており、偽装工作が常態化していたと見られている。

こうした無資格者による検査実施と、提出書類の偽装工作は、3年以上前から横行していた可能性が高いとされている。日産の西川社長が10月2日の会見で、安全性には影響はなく、あくまで手続きの問題であることを強調し、「検査の工程そのものの意味が現場で十分に認識されていなかった」と述べた。

神戸製鋼の問題では、強度などを示す検査証明書のデータを、顧客から求められた製品仕様に適合するように書き換えるなどして、顧客の基準に合わない製品を出荷していたことが明らかになっている。データの改ざんは、主要4工場で行われ、対象製品は、神戸製鋼の年間出荷量の4%にあたり、出荷先は約200社にものぼる。改ざんは、約10年前から行われていたことが判明している。梅原副社長は、管理職を含めて数十人が関わるなど、日常的かつ組織的に行われていたことを認めており、不正の背景について、納期を守るというプレッシャーの中で続けられてきたと説明している。

これらの問題に共通するのは、問題が単発的ではなく、長期間にわたって継続しているという「時間的な拡がり」と、組織内の多数の人間が関わっているという「人的な拡がり」である。

私は、かねてから、そのような行為を“カビ型問題行為”と呼び、“日本の企業不祥事の特質”として指摘してきた。「個人の利益のために、個人の意思で行われる単発的な問題行為」である“ムシ型問題行為”とは対極にある。

「カビ型行為」こそが企業不祥事の「問題の核心」】(日経BizGate「郷原弁護士のコンプライアンス指南塾」)では、鉄鋼メーカーが水圧試験のデータを偽装していたことが発覚した“ステンレス鋼管データ捏造事件”や、マンション建設の際の杭打ち工事のデータ偽装が業界全体に蔓延していたことが明らかになった“マンションくい打ちデータ改ざん事件”などの重大な不祥事事例を「カビ型行為」として紹介し、通常のコンプライアンス対応による発見が困難であること、組織内での自主的な自浄作用を働かせることが難しいことなど、カビ型行為の「恐ろしさ」を指摘した。

今回の日産の問題も、神戸製鋼の問題も、まさに、「カビ型行為」の典型だと考えられる。

「カビ型行為」には、不正が始まった時点においては、何らかの構造的な要因がある場合が多い。法律、規則の内容が実態に反していて、形式的には不正であっても、実質的には大きな問題はないと当事者が認識していることが背景になる。今回の日産自動車、神戸製鋼の不正も、「安全性には影響がない」と認識されていたようであり、当事者側には、法令による規制が過剰だという認識、客先の仕様・要求が過剰だという認識が、問題行為を正当化する要因になっていた可能性がある。

データの「改ざん」や書類の「偽装」などは、「形式上の不正」にとどまる限り、昔は、それ程問題にされなかった。しかし、「コンプライアンスの徹底」が強調される昨今の日本社会の趨勢からは、「形式上の不正」であってもそれ自体が許容されないことになる。そうなると、過去に行われていた「改ざん」「偽装」が発見されないよう、「隠ぺい」という新たな不正が行われることになる。そして、その後は、「改ざん」「偽装」だけでなく、それを「隠ぺい」していることも巧妙に「隠ぺい」しなければならなくなる。そのようにして、不正行為は潜在化し、「カビ」として企業組織の末端ではびこることになる。

このような形で潜在化した不正は、長期間にわたって継続的に行われていることが多いが、会社幹部が把握できない場合がほとんどだ。それが、監督官庁やマスコミへの内部告発という形で表面化すると、企業に重大かつ深刻なダメージを与えることになる。

一般的には、組織内で行われている問題行為を把握するための仕組みとして、内部監査と内部通報制度の二つがある。しかし、実際には、この二つは「カビ型」の問題行為を発見・把握する機能を十分に果たしているとは言えない。

内部監査は、多くの場合、手法自体が、組織内で「意図的に」隠ぺいされた行為を発見しうるものにはなっていない。長期間にわたって行われる間に、「改ざん」の手法も、「隠ぺい」のやり方も進化する場合が多く、企業内の一部門に過ぎない内部監査担当部門が問題を発見し指摘することは容易ではない。

2015年に免震ゴム事業で大規模なデータ改ざんの不正が明らかになり、社長辞任に追い込まれた東洋ゴム工業も、その問題を受けて、同種の行為が行われていないか全部門で徹底した監査を行ったはずだったのに、その3ヶ月後の10月、防振ゴム事業で、今回の神戸製鋼所の不正と同様の「客先の要求・仕様に適合しないデータの改ざん」の不正が明らかになった。内部監査の限界を示す事例と言えよう。

内部通報制度は、2006年に公益通報者保護法が施行されたことを受け、ほとんどの大企業で何らかの形で導入されている。しかし、内部通報窓口への通報によって、業務に関する重大な問題が把握できたという話はほとんど聞かない。それは、内部通報というのが、あくまで「社員個人の自発的なアクション」だからである。通常、上司への不満や同僚への妬みなどの個人的動機によって行われるものが大部分であり、申告内容の多くは、軽微なセクハラ、パワハラ、服務規律違反などである。

業務に関する問題行為で、しかも、多数の人間がかかわっている「カビ型」の問題行為は、行為者個人の問題ではなく、組織的な問題であり、個人的な動機による申告にはなじみにくい。逆に、そのような申告によって重大な問題が会社幹部の知るところになった場合、職場内で、通報の「犯人探し」が行われることもあり得る。そういった理由から、不正行為に堪えられない社員の行動は、告発者の秘匿が保障されるマスコミや監督官庁など、社外への「内部告発」という形で表面化することが多いのである。

「カビ型行為」は、通常のコンプライアンス対応による発見が困難であり、組織内での自主的な自浄作用を働かせることが難しく、ひとたび内部告発などによって表面化すると深刻な問題に発展する。そのように企業内で潜在化している「カビ型問題行為」を把握し、問題解決する最も有効な方法は、「問題発掘型アンケート調査」である。その詳細については【「カビ型行為」対策の切り札、”問題発掘型アンケート調査”】(日経BizGate「郷原弁護士のコンプライアンス指南塾」)で述べているが、実際に、「問題発掘型アンケート調査」で、企業内で潜在化していた重大な問題を把握できたケースは多数ある。(今回の神戸製鋼所の問題や東洋ゴムの防振ゴム問題と同様の、客先の仕様・要求に適合しないデータの改ざんが、アンケート調査で明らかになった事例もある。)

私は、かつて、日本の公共調達に蔓延していた「非公式システム」としての談合を「カビ型行為」の典型として指摘して以来、「カビ型行為」という視点から様々な企業不祥事の実態をとらえ、それをいかに把握し、いかに解決していくのかの検討を続けてきた。

今回、重大な不祥事が業界のトップクラスの大企業で相次いで表面化したことによって、「日本企業のガバナンスが問われる」という話になるのは当然ではある。しかし、これらは、まさに、その「カビ型行為」の典型であり、単なる「ガバナンス」では解決困難な問題である。このような大変厄介な「カビ型」の問題行為は、日本の企業社会においては、いまだに蔓延しているというのが現状だと考えられる。それをどのように把握し、正しく対応し、問題を解決していくのか、今、まさに、企業のコンプライアンスの真価が問われている。

 

 

 

 

 

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リオ五輪招致をめぐるBOC会長逮捕の容疑は、東京五輪招致疑惑と“全く同じ構図”

昨年、開催されたリオデジャネイロオリンピックの招致をめぐって、ブラジルの捜査当局は、5日、開催都市を決める投票権を持つ委員の票の買収に関与した疑いが強まったとして、ブラジル・オリンピック委員会(BOC)のカルロス・ヌズマン会長を逮捕したことが、マスコミで報じられている。

NHKのニュースによると、ブラジルの捜査当局は、先月、リオデジャネイロへの招致が決まった2009年のIOC(国際オリンピック委員会)の総会の直前に、IOCの当時の委員で開催都市を決める投票権を持つセネガル出身のラミン・ディアク氏の息子の会社と息子名義の2つの口座に、ブラジル人の有力な実業家の関連会社から合わせて200万ドルが振り込まれていたと発表していた。捜査当局は、ヌズマン会長が、「贈賄側のブラジル人実業家と収賄側のディアク氏との仲介役を担っていた」として、自宅を捜索するなど捜査を進めてきた結果、2009年のIOC総会の直後、ディアク氏の息子からヌズマン会長に対して、銀行口座に金を振り込むよう催促する電子メールが送られていたことなどから、票の買収に関与した疑いが強まったとして、5日、逮捕したとのことだ。

これを受けて、「IOCは捜査に全面的に協力を申し出ている。新たな事実がわかれば暫定的な措置も検討する」との声明を発表した。IOCの倫理委員会は、疑惑が報じられた昨年からフランス検察当局の捜査に協力し、さらに内部調査を継続していると強調。ブラジル当局にも情報提供を求めていることを改めて説明した(毎日)。

この「ラミン・ディアク氏の息子の会社」については、昨年(2016年)5月、フランス検察当局が、“日本の銀行から2013年7月と10月に、国際陸上競技連盟(IAAF)前会長のラミン・ディアク氏の息子に関係するシンガポールの銀行口座に、「東京2020年五輪招致」という名目で約2億2300万円の送金があったことを把握した”との声明を発表し、日本でも、東京オリンピック招致をめぐる疑惑が国会で取り上げられ、日本オリンピック委員会(JOC)竹田会長が参考人招致されるなど重大な問題となった。

この問題については、私は、ブログ記事【東京五輪招致をめぐる不正支払疑惑、政府・JOCの対応への重大な疑問】で詳しく述べている。フランス検察当局の声明によれば、“送金は2020年五輪開催地を決定する時期にあまりに近いタイミングであることから、開催地決定に関して権限・影響力を持つIOC委員を買収する目的で行われた不正な支払いだった疑いがある”とのことであり、JOC側に、そのような不正な支払いの意図があったのに、それが秘匿されていたのだとすれば、JOCが組織的に開催地決定をめぐる不正を行ったことになり、東京五輪招致をめぐって、極めて深刻かつ重大な事態となる。

この問題に関しては、その後、JOCが、第三者による外部調査チームを設置し、昨年9月1日に、「招致委員会側の対応に問題はなかった」とする調査報告書が公表されたが、それが、根拠もない「お墨付き」を与えるだけのものであることは、日経BizGate【第三者委員会が果たすべき役割と世の中の「誤解」】で、以下のように指摘した。

フランスで捜査が進行中であり、今後起訴される可能性があるという段階で、国内で行える調査だけで結論を示したということになるが、その調査はあまりに不十分で、根拠となる客観的な資料もほとんど示されていない。

この報告書では、「招致委員会がコンサルタントに対して支払った金額には妥当性があるため、不正な支払いとは認められない」と述べているが、そもそも金額の妥当性に関する客観的な資料は何ら示されていない。世界陸上北京大会を実現させた実績を持つ有能なコンサルタントだというが、果たして本当に彼の働きによって同大会が実現したのかという点について全く裏が取れていない。

また、招致が成功した理由や原因、コンサルティング契約に当たって半分以上の金額を成功報酬に回した理由も、何1つ具体的に示されていない。そのような契約が「適正だった」と判断することなど、現時点ではできないはずだ。

結局のところ、疑惑に対して納得のいく説明を行えるだけの客観的な資料が全くない状態で、専門家だとか中立的な第三者などによる何らかのお墨付きを得ることで、説明を可能にしようとした、ということでしかない。

今回、BOC会長が逮捕された容疑は、リオオリンピック招致をめぐって、「IOCの当時の委員で開催都市を決める投票権を持つセネガル出身のラミン・ディアク氏の息子の会社と息子名義の口座に、約200万ドルが振り込まれていた」というもので、東京オリンピック招致をめぐる疑惑と全く同じ構図で、金額までほぼ同じだ。

IOCの倫理委員会は、「疑惑が報じられた昨年からフランス検察当局の捜査に協力し、さらに内部調査を継続している」としているが、その調査は、当然、東京オリンピックをめぐる疑惑にも向けられているだろうし、IOCの声明の「新たな事実がわかれば暫定的な措置も検討する」の中の「暫定的な措置」には、東京オリンピックについての措置も含まれる可能性があるだろう。

JOCは、「その場しのぎ」的に、第三者委員会を設置し、その報告書による根拠もない「お墨付き」を得て問題を先送りした。それが、今後の展開如何では、開催まで3年を切った現時点で、“本当に東京オリンピックを開催してよいのか”という深刻な問題に直面することにつながる可能性がある。

今後のBOC会長逮捕をめぐるブラジル当局の動き、オリンピック招致疑惑をめぐるIOCと倫理委員会の動きには注目する必要がある。

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大島衆議院議長は、内閣不信任案「採決動議」にどう対応するのか

安倍首相が、明日、臨時国会冒頭で行うことを明言した衆議院解散について、ジャーナリストのまさのあつこ氏が、【野党は臨時国会冒頭に、内閣不信任案を提出できるのか?】という大変興味深い分析を行っている。

まさの氏は、「臨時国会冒頭での内閣不信任案採決の動議」が出された場合の展開について、以下のように述べている。

臨時国会冒頭に、天皇の書く「解散詔書」を内閣総務官が国会まで持ってくる。

それを菅義偉官房長官に渡し、官房長官がそれを向大野新治事務総長に渡し、事務総長がそれを大島理森衆議院議長に渡して、議長が読み上げると「解散」となる、という流れが予想される。

この読み上げの前に、野党が内閣不信任決議案を提出し、読み上げの最中に、「内閣不信任案を採決する」動議を出した場合、「議場内交渉」となり、議院運営委員会の場で議論される。

内閣不信任案が採決にかれば与党はそれを否決するしかなく、内閣が信任されれば解散はできなくなって困るので、与野党の交渉が難航したり、議場が騒然としたりしても、最終的には、与党側の「数の力」採決に至らない可能性が高い。

また、内閣不信任案を採決する動議が出され、それが採決されないまま、議長が衆議院解散の詔書を読み上げて解散になった場合は、そのことが、衆議院の議事録に残ることになる。

その上で、まさの氏は、以下の指摘を行っている。

今回の解散は、

1)憲法第53条(いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない)に基づいて6月22日から求められていた臨時国会を、安倍内閣が開こうとせず、

2)その安倍内閣総理大臣が、「森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など、様々な問題が指摘され、国民の皆様から大きな不信を招く結果」を「深く反省」すると8月3日に会見をして、

3)その脈略とは関係がない「仕事師内閣」というネーミングで内閣改造を行い、

4)3カ月も放置した臨時国会を開催するかと思えば、会見を開いて、「消費税の使い道」と「緊迫する北朝鮮情勢」という、本来は「解散」「選挙」を経ずに対応できることを理由に解散すると説明した。

5)しかも、所信表明演説の要求にも、予算委員会や党首討論の要求にも応じていない。

 そのような経緯を辿った解散について、

議運や国会対策委員会が、所信表明の要求や内閣不信任案の提出を認めないのであれば、少なくとも、大島衆議院議長は、それらの動議の提出を受け止め、実現する度量を見せるべきではないか。

というのが、まさの氏の意見である。

臨時国会冒頭解散が既定方針とされている中で、内閣不信任案採決の動議がどの段階で、どのような形で出せるのか、仮に不信任案が採決に持ち込まれ否決された場合に、7条解散についても、「信任されれば解散できない」ということになるのか、など疑問な点はあるが、いずれにしても、7条によって不当極まりない解散が行われることへの対抗策として、意味のある方法だと思われる。

私は、直近のブログ記事(【“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」~河野外相、野田総務相は閣議で賛成するのか】)で、今回、安倍首相が行おうとしていると報じられた解散は、本来、憲法69条に基づく場合にのみ認めるのが憲法の趣旨であるのに、7条の国事行為として行うことが既成事実化していることに乗じて、「大義」が存在しないどころか、国会での疑惑追及を回避し、野党側の選挙準備の遅れを衝いて国民の政治選択の機会を奪い、それによって、北朝鮮情勢緊迫化の下での政治的空白を生じさせるなど、まさに「不義のかたまり」というべき解散であり、憲法が内閣に認めている解散権を大きく逸脱した「最低・最悪の解散」だと批判した。

そして、9月25日の記者会見で安倍首相自身が明らかにした解散の理由は、「消費税増税の使途の変更」「北朝鮮問題への対応」ということだったが、2年も先の消費税増税について、今、国民に意見を聞いても、そもそも、最終的に消費税増税を判断するのは1年以上先であり、その時点で、そもそも消費税増税ができる経済状況かどうかもわからない(これまでも、安倍首相は、経済状況を理由に消費税増税延期を繰り返してきたこととも矛盾する。)。北朝鮮への対応についても、国会での議論は全く行われていない。

今回安倍首相が挙げたような点は、まず、国会で議論を行い、その議論において対立があって、国民に信を問う必要がある場合に、初めて国民の意見を聞くことが問題になる話だ。臨時国会の冒頭での解散というのは、そのような国会での議論をすべて回避して、直接国民に判断してもらおうという「直接民主制」のような考え方であり、議院内閣制をとる我が国において凡そ解散の理由になるものではない。

これに対する対抗策として、野党が内閣不信任案を提出するのであれば、「憲法の規定に反して、国会での疑惑追及を回避し、野党側の選挙準備の遅れを衝いて国民の政治選択の機会を奪い、それによって、北朝鮮情勢緊迫化の下での政治的空白を生じさせる解散を強行しようとしている内閣は信任できない」という理由にすべきであろう。

このような不信任案提出、臨時国会冒頭での解散詔書読み上げ時の不信任案採決の動議が出される事態になった場合、内閣不信任案が可決された場合の解散を明文で規定する「憲法69条による解散」と、「7条の国事行為による解散」のどちらが優先するかが問題になる。

戦後、既成事実化してきた「7条解散」については、「苫米地事件」で最高裁が意見審査を回避したこともあり、69条解散との関係に関する判断に直面することがなかったが、上記の事態になれば、採決を求める動議は、「69条による解散」に結びつく可能性のある内閣不信任案を棚上げにして、7条による解散を強行して良いのか、という憲法問題を提起することになる。本会議での動議の取扱いを判断するのは、大島衆議院議長である。

安倍首相の何ら「大義」のない「最低・最悪の解散」による政治の混乱に乗じて、小池百合子東京都知事は、その解散表明直前に、それまで「小池新党の先兵」のように立ちまわっていた若狭勝、細野豪志両氏の面子を潰す形で、突然の「新党代表就任表明」を行い、与野党の国会議員は大混乱に陥っている。崩壊寸前の民進党議員だけではなく、小池氏を中心に反自民勢力が結集した場合に、総選挙で戦死する恐れが現実化してきた与党議員にまで混乱は拡大し、国会全体が騒然とした状態になりつつある。

東京都知事として、豊洲市場への移転問題で都民に大きな損失を生じさせ、オリンピックの準備も停滞させるなど、「東京大改革」どころか、「都政大混乱」を生じさせただけの小池氏が、また空虚な「希望」イメージだけの新党代表宣言を行ったことで、国政までもが混乱状態に陥っている政治状況は、北朝鮮情勢が一層深刻化する中、国民にとって不幸なことである。しかし、このような状況のきっかけを作ったのは、紛れもなく、「大義」もなく弊害だらけの身勝手な解散を仕掛けた安倍首相である。

「最低・最悪の衆議院解散」を、敢えて行って政権を維持しようとしたのが安倍首相であるが、「臨時国会冒頭での内閣不信任案採決の動議提出」という事態になった場合に、大島理森衆議院議長が、7条による解散詔書読み上げを強行すれば、憲法69条が定める解散の手続に違反する「違憲の解散」を強行した、「最低・最悪の衆議院議長」という汚名を、自ら憲政史に残すことになるのである。

一方、大島議長の判断で、不信任案採決の動議が議論されることになれば、現行憲法の枠組みに関する極めて重要な問題を国会で議論する決断をした衆議院議長として、「憲政史上初めて実質的に重要な判断をした議長」としての名を歴史に残すことになる。

衆議院議長は、参議院議長とともに立法府を司る三権の長であり、立法機関の長として内閣総理大臣(行政)、最高裁判所長官(司法)と並ぶ三権の長の一角である。与党第一党議員から選出されるが、その地位は党派を超えたものでなければならないことから、会派を離脱し、無所属となって議長を務めるのが慣例となっている。

もし、野党から内閣不信任案が出された場合には、大島衆議院議長は、三権の長の一角として地位の重さを自覚し、適切な対応を行うべきである。

 

 

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“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」~河野外相、野田総務相は閣議で賛成するのか

安倍晋三首相が、9月28日の臨時国会冒頭にも衆院を解散する方針を固めたと報じられている。国会審議で、森友問題、加計問題で厳しい追及を受けるのが必至であり、民進党に離党者が相次ぐなど混乱が続いている状況で、小池百合子東京都知事の側近らによる新党結成の動きや選挙準備が進まないうちに解散するのが得策と判断したとのことだ。

2014年11月の解散の際にも、ブログ【現時点での衆議院解散は憲法上重大な問題】で、以下のように指摘した。

①憲法45条が衆議院の任期は4年と定め、69条がその例外としての内閣不信任案可決に対抗する衆議院解散を認めているのであるから、解散は69条の場合に限定され、7条の国事行為としての衆議院解散は、単に、解散の手続を定めているだけというのが素直な解釈である。

②1952年の第2回目の衆議院解散が、初めて69条によらず天皇の国事行為を定めた7条によって行われ、解散の違憲性が争われた苫米地訴訟では、最高裁判所は、いわゆる「統治行為論」を採用して、違憲審査を回避した。

③先進諸外国では、内閣に無制約の解散権を認めている国はほとんどなく、日本と同じ議院内閣制のドイツでも、内閣による解散は、議会で不信任案が可決された場合に限られている。法制度上は内閣に自由な解散権が認められているイギリスにおいても、2011年に「議会任期固定法」が成立し、「下院の3分の2以上の多数の賛成」が必要とされ、首相による解散権の行使が制約されている(イギリスで今年4月にメイ首相が行った下院の解散は、首相の判断はほとんど全会一致(賛成522票、反対13票)で承認された。)。

④議院内閣制の下では、「内閣」は「議会(国会)」の信任によって存立しているのであるから、自らの信任の根拠である「議会」を、内閣不信任の意思を表明していないのに解散させるのは、自らの存在基盤を失わせる行為に等しい。

⑤69条の場合以外に、憲法7条に基づく衆議院解散が認められる理由とされたのは、重大な政治的課題が新たに生じた場合や、政府・与党が基本政策を根本的に変更しようとする場合など、民意を問う特別の必要がある場合があり得るということであり、内閣による無制限の解散が認められると解されてきたわけではない。

このような、現行憲法上の内閣の解散権の解釈と従来の運用からすると、安倍首相が、「臨時国会冒頭解散」を行うことは、憲法が内閣に認めている解散権を大きく逸脱したものと言わざるを得ない。

それに加え、安倍首相は、通常国会閉会時に、加計学園問題で「丁寧に説明する」と約束したにもかかわらず、憲法53条の「衆参いずれかの4分の1以上の議員から臨時国会召集の要求があれば内閣はその召集を決定しなければならない」との規定に基づく野党の臨時国会の召集要求を無視し、8月3日に内閣を改造し、第3次安倍内閣を発足させた。これも、憲法の趣旨に著しく反するものである。

その内閣改造では、「仕事人内閣」と称して、河野太郎氏の外相、野田聖子氏の総務大臣など、自民党内では安倍首相には批判的とも思える議員を起用したことで、内閣支持率は何とか回復基調に転じたのである。それらの閣僚に、ほとんど「仕事」をさせることもなく、北朝鮮が核実験やミサイル発射を繰り返して軍事的緊張が高まっている時期に、敢えて衆議院解散・総選挙を行って「政治的空白」を生じさせるというのである。

安倍首相は、「集団的自衛権」を認める安全保障関連法を強引な国会審議で成立させたが、まさに、北朝鮮情勢が緊迫化し、同法制に基づく自衛権行使の是非を議論すべき状況になる現実的危険が生じている中で、自衛隊派遣を承認する国会を無機能化させるというのは、「国民に対する裏切り」以外の何物でもない。

解散には「大義」が必要だと言われるが、今回、もし、解散が行われるとすれば、「大義」が存在しないどころか、国会での疑惑追及を回避し、野党側の選挙準備の遅れを衝いて国民の政治選択の機会を奪い、それによって、北朝鮮情勢緊迫化の下での政治的空白を生じさせるなど、まさに「不義のかたまり」というべき解散である。

政府は、北朝鮮のミサイル発射のたびに、日本の領空の遥か上空を通過することがわかっていても、早朝からJアラートを発動し、国民の警戒心を煽っているが、安倍首相が衆議院を解散して政治的空白を生じさせた場合、これに乗じて、北朝鮮が、領空ぎりぎりにミサイルを飛ばして、日本政府の対応を試すような事態も考えられないわけではない。

総選挙態勢に突入した政府・官邸が、果たして北朝鮮の巧みな戦術に適切に対応できるのであろうか。

国連の北朝鮮制裁決議等で外交努力を懸命に行っているはずの日本の安倍政権が、このような状況で、先進国では殆ど考えられない国会解散を行ったということになると、国際社会の日本政府を見る目も変わってきてしまうのではなかろうか。

一部では、麻生副総理が、安倍首相に、「解散は首相の専権」だと言って解散を勧めたことが早期解散の決断につながったなどと報じられているが、誤解してはならないのは、解散は「内閣」の権限であって、「首相の専権」ではないということだ。「憲法7条の天皇の国事行為による解散」が許されるとしても、その「助言と承認」を行うのは「内閣」であり、「内閣総理大臣」ではない。閣僚全員による「閣議決定」があって初めて、「国事行為としての解散」を天皇に助言・承認することが可能となる。

小泉純一郎首相が、突然の解散を表明した2005年の「郵政解散」においても、解散を決定する閣議で、島村宜伸農水相、麻生太郎総務相、中川昭一経産相、村上誠一郎行政改革担当相の4閣僚が解散に反対する意見を述べ、小泉首相が個別に説得をしたが、島村農水相だけは最後まで解散詔書に関する閣議決定文書への署名を拒否して辞表を提出。小泉首相は辞表を受理せず、島村農水相を罷免、首相自身が農水相を兼務して解散詔書を閣議決定した。この郵政解散には、「国民に郵政民営化の是非を問う」という「大義」はあり、閣議での対立も、郵政民営化の是非をめぐる「政治的意見の相違」だったので、最後まで抵抗した島村農水相の罷免による強行突破が可能だった。

今回、もし、安倍首相が臨時国会冒頭の解散を強行しようとした場合、閣僚全員が賛成するとは到底思えない。特に、安倍首相ともともと距離があった河野外相、野田総務相は、このまま解散ということになれば、安倍内閣支持率回復のための「客寄せパンダ」に使われただけで、大臣としての仕事をまともに行う前に使い捨てられることになる。ましてや、その解散には全く「大義」はない。少なくとも、この二人の閣僚は、解散詔書の閣議決定に賛成するとは思えないし、説得の余地もないはずだ。

もし、河野、野田両大臣が妥協して安倍首相に従い、違憲の疑いすらある、「大義」の全くない解散に、閣僚として賛成したとすれば、二人の「政治家としての将来」にも重大なマイナスになる。

安倍首相としては、反対を押し切って解散を閣議決定するには、郵政解散における島村農水相と同様に、「閣僚の罷免」しかない。しかし、農水相であれば、総選挙までの期間、総理大臣兼任というのも不可能ではないが、現在の緊迫化する北朝鮮情勢の下で、総理大臣が外相を兼任することはあり得ない。どう考えても、今回の解散は「無理筋」である。

もし、安倍首相が解散を強行すれば、“憲政史上最低・最悪の解散”を行った首相として歴史に名を残すことになるだろう。このような時期の解散でしか、政権を維持できないとすると、それ自体が安倍政権が完全に行き詰まっていることを示していると言えよう。

安倍首相が行うべきことは、解散の強行ではなく、潔く自らその職を辞することである。

 

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都民ファーストの会は「秘密結社」か

小池百合子知事による「小池都政」に対しては、昨年来、【「小池劇場」で演じられる「コンプライアンス都政」の危うさ】【「拙速で無理な懲戒処分」に表れた「小池劇場」の“行き詰まり”】【「小池劇場」の”暴走”が招く「地方自治の危機」】などで徹底的に批判を続けてきた。

その小池氏が「都民ファーストの会」の代表に就任して臨んだ東京都議会議員選挙で圧勝した直後に、代表を辞任し、議員でもない小池氏の元秘書の野田数氏が代表に就任したことについては、【“自民歴史的惨敗”の副産物「小池王国」の重大な危険 ~代表辞任は「都民への裏切り」】で厳しく批判した。選挙後に代表を辞任する予定であったのに、敢えてその事実を秘し、選挙後も自らが代表を務める都民ファーストの公認候補ないし推薦候補であるように偽っていたとすると、その「公認・推薦」というのは、実質的には事実ではなかったに等しく、「候補者に対する人・政党その他の団体の推薦・支持に関し虚偽の事項を公にする行為」を「虚偽事項公表罪」として罰する公職選挙法の趣旨にも反する許し難い行為である。

そして、何と、その野田数氏は、9月11日に、就任後僅か2ヶ月余で代表を辞任し、後任には、同じ小池氏の元秘書の荒木千陽氏が就任したとのことだ。

荒木氏の代表選任は、「代表は選考委員会で選ぶ」と定める党規約に基づいて、幹事長、政調会長と特別顧問の小池知事の3人からなる「選考委員会」で決定したとのことだが、その「党規約」は公開されておらず、党員である都議会議員も内容を知ることはできないという。

小池知事に関しても、都民ファーストに関しても、全く評価していないので、多少のことでは驚かないが、都議会議員選挙で公認候補として当選した55人の議員を擁する「公党」でありながら、党の組織にとって最も重要な代表選任の方法、代表の権限等を定める規約が公開されていないというのは、一体どういうことなのだろうか。政党として届けられているのであれば、選挙管理委員会には党規約が提出されているはずだ。党員は議員であっても、情報公開請求で選管に開示を求めないと、その内容を知ることができない、ということなのであろうか。「都民ファーストの会」というのは、小池都知事のための「秘密結社」なのか。

我々都民は、その「秘密結社」のような組織が最大会派である都議会と、それを背後で操る都知事の小池氏に、二元代表制の都政を委ねている。しかも、そのような「政治勢力」が、「第三極」などとマスコミに囃し立てられ、民進党の崩壊寸前の惨状の間隙を縫って、国政への進出を目論んでいるのである。民主主義への重大な脅威にもなりかねない事態に対して、我々は、最大の警戒を持って臨むべきであろう。

 

 

 

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WDの東芝半導体子会社売却への介入・株式取得は独禁法違反の疑い

迷走に次ぐ迷走を重ねてきた東芝の半導体メモリー事業の売却をめぐって、協業先の米ウェスタンデジタル(WD)の陣営に独占交渉権を与える方向で調整に入ったと、8月30日の日経新聞一面で大きく報じられた。そして、このような動きについて、世耕弘成経済産業大臣は、29日の閣議後の記者会見で、「東芝とWDが前向きな形でコミュニケーションを取っているとすれば、一定の評価はしたい」と述べ、歓迎する意向を示したとのことだ。

東芝は、6月に、韓国の半導体大手SKハイニックスや米ファンドからなる「日米韓連合」を優先交渉先に選んだが、WDが反発して法的措置に出たことから、交渉が行き詰まっていた。東芝の方針が二転三転し混乱を重ねている原因について、経産省の意向に振り回されているとの指摘もある(【経産省に振り回される東芝…再建の命綱・半導体事業売却が頓挫の可能性、国のいいなり経営】)。

今回、東芝が、WDの陣営に独占交渉権を与える方向で調整に入ったと報じられた途端、経産大臣が、すぐ様、その動きに対して「一定の評価」を明言したことは、経産省が、自らの意向で東芝を「振り回してきたこと」を、大臣が図らずも自白したということだ。

しかし、東芝がWDの陣営に独占交渉権を与えるなどということは、全く論外である。

そもそも、WDは、半導体メモリー事業に関して東芝と競争関係にある。そのような競争業者が、東芝がその事業に関して行おうとしている決定に介入してくること自体が、日本の独占禁止法に違反する。

独占禁止法2条9項で、「この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう」とされ、6号で、

六 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの。

ヘ 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し、又は当該事業者が会社である場合において、その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をするように、不当に誘引し、唆し、若しくは強制すること

と規定されている。

そして、公正取引委員会告示(一般指定)15項では、「競争会社に対する内部干渉」について

自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある会社の株主又は役員に対し、株主権の行使、株式の譲渡、秘密の漏えいその他いかなる方法をもつてするかを問わずその会社の不利益となる行為をするように、不当に誘引し、そそのかし、又は強制すること

と定めている。

WDは、フラッシュメモリーをめぐって、東芝と競争関係にある。そのWDが、東芝との契約に基づいて、半導体子会社を他社に売却しないように要求することは、「その会社の不利益となる行為」を「強制すること」に該当し、しかも、それによって、東芝の事業に著しい支障が生じかねない状況になっているのであるから、「競争会社に対する不当な内部干渉」に該当し、公正な競争を阻害する恐れがある。

東芝は、WD社の行為が「不公正な取引方法」に該当し、違法だとして、公正取引委員会に申告を行い、併せて、それによって著しい損害を受け,又は受けるおそれがあるとして、裁判所に,WDの行為の差止めを請求することも可能だ。

そもそも、WDが、競争関係にある東芝の事業の意思決定に「横やり」を入れてくることが、「公正な競争」という観点から問題があるということは、独禁法の規定を具体的に知っていなくても、まともな法的センスがあればわかる問題だ。

ところが、世耕経産大臣は、そのような違法な介入を行ってくるWDに東芝独占交渉権を与えようとしていることを「評価する」というのだ。

しかも、上記の日経新聞の記事によれば、

WDは、議決権のない新株予約権付社債(CB)や優先株の引き受けにより約1500億円を拠出する。CBの転換後に約15%の株式を持つ見通し

とのことだ。

もし、東芝とWDとの間で、そのような内容を含む合意が行われたとしたら、新たな独禁法違反の問題が生じる。「不公正な取引方法により他の会社の株式を取得し、又は所有してはならない」との規定(独禁法10条)に違反する疑いだ。

フラッシュメモリーをめぐって、東芝と競争関係にあるWDが、半導体子会社を他社に売却しないように要求していることは「競争会社に対する不当な内部干渉」であり、「不公正な取引方法」に該当するので、それによって東芝の株式を取得することは、独禁法10条に違反する疑いがある。

この問題は、東芝が半導体子会社の売却先の決定を急いでいる最大の理由とされている「(中国等)の独禁法当局の審査」に時間がかかるという「手続上の問題」とは異なる。日本の独禁法に「違反する疑い」という問題だ。もちろん、もし、東芝がWD陣営と合意した場合には、そのよう独禁法違反の疑いが、日本の公正取引委員会の審査においても、重大な問題とされることになる。

「東芝と競争関係にあるWDが、半導体子会社を他社に売却しないように要求しているのは日本の独禁法に違反するので、それを主張して法的措置をとるべき」との指摘は、定時株主総会直前の今年の6月末、知人を通じて(東芝を徹底批判してきた私の名前は伏せて)、東芝の社外取締役の一人に伝えている。「貴重なご提言を頂戴し、是非参考にさせていただきます」との反応だったと聞いているが、その後の東芝はWDに対して法的措置をもって対抗するどころか、WDとの妥協を図り、独占交渉権まで与えようとしているというのは全く不可解だ。

経産省が、東芝に対して、WDと合意する方向での解決を強く求め、東芝はそれに従わざるを得ない状況になっているということなのかしれない。

いずれにしても、東芝は、WD陣営に半導体子会社を売却する方向で交渉すべきではない。むしろ、最近になって、アップルも加わったスキームを提示したと報じられている「日米韓連合」との交渉を優先すべきである。

日本の法律に違反する疑いのある東芝・WD間の交渉を「評価する」などと公言する経産大臣には、東芝の問題に口を出してもらいたくない。

 

 

 

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