音声公開への「反論書」で一層明白になった、横浜市長選山中竹春候補の「パワハラ体質」

8月22日に投開票が行われる横浜市長選挙の立憲民主党推薦で立候補している山中竹春氏(元横浜市立大学学長補佐・大学院研究科長)のパワハラ疑惑を指摘した週刊誌フラッシュの記事について、同党神奈川県連や同党所属の国会議員などが「フェイク」だと喧伝するのに使っていたのが「しらべえ」というネットサイトの記事【菅首相が負けられないため加熱する横浜市長選 山中竹春元教授がフェイクニュース被害】だった。

その「しらべえ」に、前のブログ記事【立憲民主党は、「パワハラ音声」を聞いても、山中氏推薦を維持するのか ~問われる候補者「品質保証責任」】で公開した山中氏の「パワハラ音声」に対する山中陣営の反論書が掲載されている。(【過熱する横浜市長選で山中竹春元教授の音声データが公開 陣営に直撃した】

これは、山中陣営で山中氏から聞き取った内容をまとめたものとのことである。

《「しらべえ」に掲載された「山中氏の反論」》

今般、インターネットの動画投稿サイトにおいて、『山中竹春パワハラ音声』といった音声録音が字幕入りで流されていた。これは、約 2年前の会話が無断で録音されたものであり、この時期にインターネット上で流布されていることについて、大きな問題を感じる。

この会話は、切り取って掲載した人物の意図と全く違う状況でかわされたものである。2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究を横浜市立大学で行なっており、内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究の非常に重要なプロジェクトだった。

この音声は、当該研究の担当者が期日までに海外の研究機関等に必要な連絡や書面作成を行わなかったことが明らかになり、また、突如としてプロジェクトから離脱する意思を示したことから、プロジェクトの継続が危ぶまれることとなった状況下で当該人物と山中竹春とで行なった会話の一部である。

この人物による職務不履行はこれまでにもあり、納期のある研究等において支障をきたす状況が続いていた。

動画では、『ほんと、潰れるよ』と発言したことがクローズアップされているが、これは『このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる』という趣旨で発言をされたものである。

また、音声の最後において、『終わりだ』と繰り返し述べているのは、非常に重要なプロジェクトが頓挫し、違約金まで発生してしまうことへの焦燥感から出た発言である。

この前提で、音声データを聞いて頂ければ、相手に対してではなく、研究が潰れる、研究が終わりになるという趣旨で発言していることがわかっていただけると思う。

その後、関係各位のご尽力により、このプロジェクトは契約不履行とはならず、違約金の支払いが発生することなく完了することができた。

公開されている動画は、恣意的に編集がなされているほか、音声がないまま山中竹春の言動として文書で記載されている内容は、全くの事実無根であり、投稿者に強く抗議する。

 上記の反論の中には、「2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究」、「内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究」など、山中陣営では山中氏本人しか知り得ない話が多数含まれており、山中氏の現時点での供述と考えられる。

 山中氏は、公開された音声が自分の声だと認めた上で、公開された音声は、2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究で、担当者が、期日までに海外の研究機関等に必要な連絡や書面作成を行わず、突如としてプロジェクトから離脱する意思を示した、というような「職務不履行」があったために、プロジェクトの継続が危ぶまれることとなった状況下での、山中氏と担当者との会話だというのである。

 そして、『ほんと、潰れるよ』と発言したのは、「このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる」という趣旨の発言であり、音声の最後で、『終わりだ』と繰り返し述べているのは、「非常に重要なプロジェクトが頓挫し、違約金まで発生してしまう」という趣旨だそうだ。

山中氏の反論に出てくる「担当者」はフラッシュ記事の「Cさん」

 大学関係者によれば、この山中氏の反論で出てくる「内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究の非常に重要なプロジェクト」というのは、「SUNRISE-DI試験」というプロジェクトである。

上記の反論書で出てくる同プロジェクトの「担当者」というのは、上記フラッシュ記事で、山中氏のパワハラ被害者として出てくる「Cさん」に間違いない。

 被害者のCさんは、山中氏のパワハラによって、精神的に追い詰められ、「適応障害」を発症したもので、横浜市大での山中氏のパワハラの中でも特に悪質なものと認識されていた。

私の手元には複数の大学関係者から聞いた話をまとめたメモがあり、そのメモによれば、経過は以下のようなものだった。

 

2018年、山中氏は、ある臨床研究の統計解析責任者としてCさんを指名していたが、2019年1月頃に、Cさんは山中氏から

「この件は私が引き取るのでCさんはやらなくてよい」

「君はもういい」

と言われ、Cさんは、同研究の統計解析の仕事から外れたと認識していた。

ところが、当該臨床研究の共同研究者が海外から2019年3月初旬に来日することとなり、2月下旬に、山中氏はC氏に、

「やはり私は多忙でできないので解析を行うように」

と指示した。

統計解析は、通常、臨床データが固定されてから1か月程度かかることが多く、急ぎの案件でも2週間程度は必要となる。それを、およそ1週間で急遽まとめてほしいということだった。

しかし、作業の進め方に関する具体的な指示はなく、山中氏に確認してから中間結果を報告する日までは、3日間しかなかった。

その中間結果報告では、図表などは後で作成することを前提に、結果の数字をまとめて報告したが、山中氏は、

「これでは全然ダメ」

と一蹴した。

その後、山中氏からほぼ毎日、電話などでの進捗確認があり、頻繁に叱責を受けるようになった。

この頃から山中氏は、感情を荒だてることも多くなり、Cさんに、電話で

「いい加減にしろ」

「さぼるな」

などと怒号したり、

「君のためにプロジェクトが潰れる」

「君がそんなようなら私にも考えがある」

などと叱責したりされたことなどから、Cさんは精神的に追い詰められ、2019年3月、心療内科で適応障害の診断を受けた。

 適応障害の診断を受け、2週間程度休暇をとった後も、Cさんは統計解析を続け、論文投稿まで、統計解析責任者として関わっていた。

ところが、連日必死に解析をおこなったCさんは、論文の共著者から外されてしまった。しかも、論文投稿前に解析に加わった者も、同時に共著者から外されていた。フラッシュ記事で問題とされたのは、この点だった。

しかし、学内関係者の間では、Cさんが適応障害になった直接の原因は、中間報告後の電話などでの頻回の進捗確認やその際の叱責・怒号であり、そのような山中氏の言動が、重大なパワハラ問題として認識されていた。

 フラッシュ記事でその点が取り上げられていないのは、Cさん自身がフラッシュの取材に協力していなかったことと、録音等の直接の証拠がなかったことが理由だったのであろう。

山中「反論書」によって明らかになった事実

 今回、パワハラ音声の公開に対する「反論」として、山中氏は、音声が、自分自身のCさんに対する発言であることを認め、「このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる」という趣旨で「潰れるよ」と言ったと説明している。

実際の音声データの中では、

「僕は最後の行動に出るからね。君が、君がわからない知らないような。ほんとにそれでもいいんだったらー、ほんと潰れるよ」

というような恫喝的発言をしているが、そのような発言をした相手がCさんだったと認めているのである。

 上記のとおり、Cさんが、2019年3月頃、山中氏から電話で叱責された際に言われたという

「君のためにプロジェクトが潰れる」

「君がそんなようなら私にも考えがある」

などの発言をしたことを認めたものと言える。

 この点について、Cさんに話を聞こうとも考えたが、Cさんは、今回のフラッシュの記事が出たことで、報復を恐れ、山中氏の件には関わらないようにしているとのことであった。(フラッシュ記事でも「私はもう大学を離れていますし、この件には関わりたくありません」と述べている。)

 しかし、今回、山中氏が、Cさんに対して、上記のような発言をしたことを認めているのであるから、今後、山中氏からのパワハラ被害について、横浜市や市大で調査が行われる可能性があり、その場合は、調査に応じる意向を示しているとのことだ(大学関係者の話による)。

公開したパワハラ発言の相手は、「Cさん」ではない

 以上のとおり、パワハラ音声の公開によって、山中氏は、Cさんに対するパワハラ的発言を行ったことを自ら認めたのであるが、ここで、重要なことを明らかにしておかなければならない。

それは、公開したパワハラ音声を提供したA氏は、上記のCさんではなく、全然別の立場の人だということだ。

 音声の公開の時点では、情報源が特定されないよう、事案の内容は抽象化し、A氏の声などは音声データから削除した。しかし、公開された発言だけでも、上記のような露骨な脅しをかけた相手が誰であるかは覚えているはずなので、山中氏にはA氏が誰であるかはわかることも覚悟していた。

しかし、山中氏は、音声を聞き、A氏ではなく、発言の相手がCさんであるとした上、山中氏の発言は、Cさんの側の「職務不履行」が原因だったとして、パワハラ的発言を正当化しようとしている。「職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、他者に対して、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与える」というパワハラ体質を象徴するものと言える。

音声で公表したようなA氏に対して行った発言は、実は、A氏だけでなく、他の人にも、日常的に行っていたことになる。

A氏は、公開された音声について、山中氏がCさんが発言の相手方であったかのように反論していることを知り、それを否定するのに必要な情報の最低限の情報開示に同意してくれた。

A氏が山中氏から受けた「不当要求」、パワハラ発言

前のブログ【立憲民主党は、「パワハラ音声」を聞いても、山中氏推薦を維持するのか ~問われる候補者「品質保証責任」】で指摘したように、山中氏については、「外形的なパワハラ」の一つとして、「大学関係者がいる前で、教室の出入り業者や製薬企業の営業を大声で怒鳴り叱責する。」という行為があった。

音声データの提供者であるA氏は、横浜市立大学と契約を締結しようとしていた比較的小規模の企業の役員であった。学長補佐・大学院研究科長として、横浜市立大学の契約締結に大きな影響力を有していた山中氏は、同企業は同大学との契約を失うと会社が存続できないとの認識の下に、優越的地位に基づいて、「会社の役員を変更しろ」という不当な要求をしていたのである。

取引先の役員構成に口出しをするなどということは、民間企業同士の取引でも、認められるものではない。公立大学の学長補佐が、契約を締結しようとしている企業の役員選任に介入するなどということはなどということは絶対にあり得ないことである。

山中氏に対して、「そのような要求には応じられない」と拒絶し続けていたA氏は、公開した音声データに出てくる露骨な恫喝を受けることとなった。

先般、A氏から提供を受けた山中氏の音声データを一部YouTubeで公開したが、その前の部分で、以下のとおり、取引先業者であるA氏に対する露骨な「脅し」の発言をしている。

山中:だけどね僕らーと、僕とねー、こんなことになったらー、君、大学の日本の大学病院に多く入れられなくなるよ、色んな病院に。

(A:はい。)

山中:マジで商売できなくなるからね。

(A:はい。)

山中:本気だよ、俺。こんだけ俺に、ここまで恥かかせてといてー、俺もうこれで県庁のコネとかー、大学での信用とかパアだから。…

上記部分を含む音声を【山中竹春氏パワハラ発言 音声&起こし(第2弾)】と題して、YouTubeで公開する。

「ほんと潰れるよ」という言葉は、山中氏が反論書で言っているような「プロジェクトが潰れる」という意味ではなく、「会社が潰れる」という意味である。

それは、「言うことを聞かなければ、最後の行動に出て、会社を潰してやる」という脅しなのである。

大学の取引先の企業の経営者を「会社を潰す」と言って脅迫し、不当な要求をしているのであり、刑法上「強要未遂」(刑法223条3項)に該当する犯罪である。

優越的地位に基づくパワハラ言動の構図の共通性

山中氏のパワハラは、横浜市大内部でも多数の被害者を生じている。しかし、彼らは、学長補佐・研究科長として学内で絶大な権力を持っていた山中氏のパワハラを告発することなどできなかったし、市長選挙で当選し、横浜市長に就任する可能性が高まっている山中氏に対して、名前を明らかにしてパワハラ被害を公にすることなどできない。

そのような学内のパワハラと形式は異なるが、実質的には同じ構図の事象が、A氏に対する不当要求と、それに際して発せられた山中氏の恫喝的発言なのである。

そして、山中氏は、その音声を聞いて、学内者である「Cさん」に対する発言だと思ったのである。それは、山中氏のパワハラ言動が、教職員・学生等の学内者に対しても、契約関係にある学外の業者に対しても、同じように行われていたということと、それらは優越的地位に基づく恫喝的言動・強要という点で全く同じ構図であることを、端的に示している。

山中氏のパワハラの事実は、今回の「反論書」からも一層明白となった。

このようなパワハラ体質そのものの人物が横浜市長の強大な権限を握った時、どのようなことが起きるのか、想像に難くない。

8月22日の横浜市長選挙では、山中氏の優勢が伝えられているが、仮に、当選したとしても、新市長に就任する前に、「パワハラ問題」、「横浜市大学内文書発出強要問題」、「NIHリサーチフェロー経歴詐称問題」など、様々な問題がマスコミ報道で噴出し、市議会での追及の対象となることは避けられない。

「市長候補」の品質保証責任を厳しく問われることになる立憲民主党にとって、衆院選に向けての最大のリスクになりかねない。

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立憲民主党は、「パワハラ音声」を聞いても、山中氏推薦を維持するのか ~問われる候補者「品質保証責任」

横浜市長選挙の投開票日(8月22日)まで一週間を切り、マスコミ各社の情勢調査の結果が報じられているが、立憲民主党山中竹春氏が自民党系の小此木八郎氏をリードしているとする報道が相次いでいる。

先週末、市民インタビューを受けた際に聞いた話でも、街頭で、市長選の投票先を質問すると、山中氏との答が小此木氏を大きく上っており、新型コロナ感染爆発の中で、菅義偉政権のコロナ対策に対する怒りが、自民党系候補、特に、菅首相の全面支援を受ける小此木氏に対する強烈な逆風につながっているようだ。

このままの情勢が続くと、山中氏の当選という事態も現実のものとなりかねない。

しかし、山中氏については、パワハラ問題、経歴詐称問題、コロナの専門家ではないのに専門家であるように偽っている、などの多くの問題があり、市長としての適格性について重大な疑問があり、私は、立憲民主党側にもこの点についての説明責任を求めてきた(【横浜市長選、山中候補の説明責任「無視」の立憲民主党に、安倍・菅政権を批判する資格があるのか】)。しかし、これまでのところ、同党側には、説明責任を果たそうとする姿勢は全く見えない。

そこで、本稿では、山中氏のパワハラ問題について、決定的な証拠を提示し、このままでは、仮に、山中氏が、市長選挙で当選しても、重大な「品質保証責任」が問われざるを得ないことを指摘する。

山中氏のパワハラに関する情報入手

山中氏のパワハラ問題を、最初に指摘したのは、8月3日発売の週刊誌フラッシュのネット記事【横浜市長選「野党統一候補」がパワハラメール…学内から告発「この数年で15人以上辞めている」】であった。

私が、記者会見等で山中氏の「市長としての適格性」を疑問視し、ブログ(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】【私が横浜市長選にこだわり続ける3つの理由、「民意」「支配」「適格性」】)でも指摘するようになった7月下旬頃から、私の事務所には、多数の関係者から、山中氏に関する様々な情報が寄せられていた。

上記のフラッシュ記事は、そのような情報提供で私が把握していた内容に概ね沿うものだった。

しかし、一方で、山中氏が、フラッシュの報道に対して出したホームページでの反論の中で、フラッシュからの質問状を公開したことで、関係者の個人名が一時ネットにさらされ、関係者が様々な不利益を受ける事態になった。

山中氏は個人情報を黒塗りにしていたが、そのやり方が容易に関係者の個人名が判明するようなものだった。「データサイエンティスト」を標榜する山中氏が、そのことを予想しなかったとは考えにくく、被害者に対する報復の意図で個人名を晒した疑いも否定できない。意図的なものだとすると、目的のためには他者の立場を無視するパワハラ体質の表れだと言える。

このようなフラッシュ記事に対する山中氏の対応が、パワハラ被害者を、さらに心理的に追い込むことになった。パワハラ被害者は、もともとパワハラ被害を大学当局に申告することができなかった人達だ。フラッシュの取材に協力したかのように疑われたことで、山中氏から報復を受けることへの懸念は一層高まった。しかも、その山中氏が市長選挙で当選し、横浜市長になる可能性が現実のものとなっているのである。山中氏のパワハラ問題について情報提供し協力してくれた人達について、協力の事実が山中氏の側に絶対にわからないよう配慮することが必要となった。山中氏のパワハラの事実には確信をもっていたが、それを具体的に指摘することは容易ではない状況だった。

山中氏の横浜市大におけるパワハラの概要

私が把握した横浜市大での山中氏のパワハラは、概ね次のようなものであった。

  1. 外形的なパワハラ
    ・「お前なんか辞めちまえ!やめろ!」と大声で怒号。
    ・怒って話しながら机をバンバン叩く。
    ・電話の受話器(子機)やボールペンを机に向かって投げつける。
    ・教授室の冷蔵庫から製氷皿を取り出して怒りながらシンクの脇にバンバン叩きつける。
    ・大学関係者がいる前で、教室の出入り業者や製薬企業の営業を大声で怒鳴り叱責する。
     
  2. 権限を使った陰湿なパワハラ(被害者は部下の教員、秘書、事務職、大学院生等)
    ・ちょっとしたきっかけで、直接会うことをひたすら避ける。電話には出ないか、出ても聞かずに切られる。メールへの返信もない。意思疎通が殆どない状況で、疎ましく思われていると感じさせる。
    ・山中氏から解析業務を指示され実施したが、解析結果のズレなどがあると怒号。納期が近づくにつれ、電話やメールによる催促が頻繁となり、2週間程度土日や深夜構わず作業を行ったことで心身に不調をきたし、退職に追い込まれる。
    ・山中氏がデータセンターの責任者であった研究でデータ入力ミスが発覚し、山中氏から怒号を受け、その後仕事が与えられなくなり、最終的には退職となる。
    ・このような山中氏の陰湿なパワハラのために精神的に追い込まれ、適応障害等の精神症状に陥った被害者もいた。

「落選運動」の開始とA氏のパワハラ被害についての音声データ入手

8月5日に、私は、記者会見で、市長選への出馬意志を撤回し小此木・山中両候補の落選運動に転じることを明らかにした。その2日後の8月7日、郷原総合コンプライアンス法律事務所宛てに、「山中氏が横浜市長になることはコンプライアンス・ガバナンス上大変な問題を有しています」とするメールが届いた。メールを送ってくれたA氏から詳しく話を聞いたところ、A氏は山中氏のパワハラに遭い、その際のやり取りを録音した音声データも保存していることがわかった。A氏は、山中氏が市長になることは何としても阻止したい、自分の名前等が特定されない範囲で、私の「山中候補落選運動」に協力したいと言ってくれた。

A氏から聞いた山中氏との関わりの概要は以下のようなものだった(パワハラ被害者が特定されないよう、事案の内容を抽象化している)。

【概要】

山中氏は、一緒に仕事をしていたA氏に業務に関係のない不当な要求を繰り返していた。山中氏の要求はとても応じられるようなものではなく、A氏は、上司から、山中氏からの電話にでないよう指示されたので、しばらくの間、山中氏からの電話に出なかった。ところが、あまりにしつこく電話がかかってくるので、仕方なく電話に出たところ、山中氏は、「電話に出ろ!殺すぞ!」と言った後、さすがに拙いと思ったのか「殺すって言っても、社会的にな!」などと付け加えた。

その言葉を聞いて怖くなったA氏は、それ以降、山中氏からの電話を録音することした。その後も、山中氏からの不当な要求は続いた。山中氏との電話を録音した記録の一部が、以下の音声データである(被害者が特定されないよう、A氏の音声は消去し、山中氏の発言のうち、特定につながる可能性のある部分は消去している)。

[起こし] ()は消去部分

山中:だからそうやってねー、ごちゃごちゃごちゃごちゃ言ってねー、結局ねーかわすじゃないか君は。

(A:なんですか?)

山中:君はそうやってかわすじゃないか。

(A:いやいや…)

山中:こちらの要望を。それでさー、書けって言ったのにさー、書きもしないしさー。いやもう僕は最後の行動に出るからね。君が、君がわからない知らないような。ほんとにそれでもいいんだったらー、ほんと潰れるよ。

(A:先生、ですので、私は、)

山中:だから俺が言ってんのはー、いい?

(A:はい。)

山中:俺が言ってんのはー、(***)をお前に決めろなんて一言も言ってないじゃん。

(A:はい。)

山中:(***)しなければならない理由をディテールドに君が理解してるんだったらー、それを英語の文章にしてー、出せって言ってるだけじゃん。それを君ははいって言ったけどー、やらないじゃん。昨日のー、昨日中にそんな文面を送ってくる予定だったのにー、こんなん出しましたみたいなほんとかどうかわかんないようなメール出してさ。であげくの果てには(***)には言ってるとかさ。そんなやつのことなんて一言も知らないよ。

(A:前回のメールにも書きましたが、)

山中:もう終わり終わり終わり、終わりだ。もう終わり終わり終わり終わりだ。終わり終わり終わり終わりにしよ。終わりだ、もう。

 

【解説】

この山中氏とA氏のやり取りについて、A氏が特定されない範囲で、若干の解説を加えておこう。

ここで、山中氏がA氏に要求していることは、それを受け入れることはあり得ない、法的にも認められる余地のないことだ。要求自体が山中氏の明らかな権限逸脱行為だ。A氏がそれに応じないのに対して、山中氏は、「君はかわす」と言って非難している。

その要求に関して、山中氏はA氏に書面を書くことを要求していた。「書けといったのに」と言っているのは、その書面のことである。

それを拒否したA氏に対して、「もう僕は最後の行動に出るからね。君が、君がわからない知らないような」「ほんと潰れるよ」と言っているのは、山中氏が、A氏が、その先、仕事ができなくなるような手段に出る、それも、A氏がわからないところで、実行してやる、という露骨な脅迫だ。

「昨日中にそんな文面を送ってくる予定だった」というのは、山中氏側に一方的に言っているだけで、A氏が約束したことではない。それなのに、その書面を書かずに、メールで婉曲的に断ったことについて、「ほんとかどうかわかんないようなメール出して」と厳しく責めている。

そして、最後に、山中氏は、「もう終わり」と言い、「終わり」という言葉を13回も繰り返している。それは、山中氏のA氏に対する絶縁を意味する。

A氏は、結局、その要求に応じなかった。それは、もし、山中氏が、その先仕事ができなくなるような手段に出ても、A氏の側も法的な対抗手段など取りうる手段はあり、その手段に出ようと考えていたからだ。

A氏の場合は、そういう対応ができたから、山中氏に「潰される」ことはなかった。しかし、山中氏から、同じようなやり方で不当な要求を受け、対抗する方法がなければ、拒むことができず、応じてしまう人間が大部分ではないだろうか。

山中氏というのは、こういうやり方で、不当な要求を押し通していく人間なのだ。

山中氏のパワハラの事実を否定する余地は全くない

山中氏は、フラッシュの記事で報じられたパワハラの事実を全面否定しているが、上記の音声データが「山中氏のパワハラ」の何よりの証拠である。

私は、A氏の話を聞き、音声を聞き、背筋が寒くなる思いだった。不当な要求をここまで執拗に繰り返し、電話で恫喝する。少なくとも、下位、劣位の相手にそのような行為を繰り返したら、相手は、精神的に追い込まれ、メンタルを病むことにもなりかねない。その山中氏は、横浜市大の大学院研究科長、学長補佐という立場にあり、強大な権限を持っていた。そのような人物からパワハラ被害に遭った場合、報復をおそれ、大学やハラスメント委員会に申告などできないのは当然だ。たいていの被害者は、更なるパワハラから逃げるため、黙って職場を去っていくことになるのである。

フラッシュの記事が報じたパワハラの事実については関係者の話からもほぼ間違いないと確信していたが、A氏の話と音声データによって「山中氏のパワハラ」が客観的に裏付けられた以上、疑う余地は全くない。

山中氏が、横浜市大教授在職中に突然、市長選への出馬が報じられたことに関して、理事長・学長名で出された学内文書に因縁をつけ、大学当局に、山中氏の評価を含む文書を発出するよう強要し、『素晴らしい研究業績』などという山中氏を称賛する文言を含む文書を発出させた事実についても、市議会議員の関係者から情報提供を受け、文書も入手していた(【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】)。常識をわきまえた人間であればあり得ない行為、山中氏のA氏への不当要求と構図は共通していると言えよう。

「パワハラ市長」就任は、コンプライアンス崩壊を招く

15人もの大学関係者が大学を去っていくことにつながった山中氏の市大内部でのパワハラも、学内文書発出の強要も、横浜市大が被害者の保護を確約した上で内部調査を行えば、容易に判明する事実だ。

自民党や菅政権への「大逆風」を追い風にして、仮に、山中氏が市長選に当選したとしても、選挙後、ただちに上記の各点が調査の対象とされるべきは当然だ。

調査の結果、上記の事実が判明した場合、山中氏を、そのまま横浜市長に就任させ、市長の絶大な権限を握る立場に立たせてもよいのだろうか。

地方自治体のコンプライアンスにとって最も重要なことは、外部からの不当な要求に屈し、市の利益、市民の利益を損なってはならないという「不当要求の拒絶」、そして、内部的には、自治体の組織内でのパワハラによって、職員のメンタルの問題、自殺等が発生することを防止する「パワハラ防止」である。毎年度、市役所内の様々なレベルで、コンプライアンス研修を積み重ねてきた重要な目的がそこにある。

「パワハラ市長」が誕生した場合、私がコンプライアンス顧問等として長年関わってきた「横浜市のコンプライアンス」が、たちどころに崩壊することは間違いない。

A氏は、私に、こう語っていた。

「私の場合は、山中先生の要求に屈しなかったので、結果的に大きな実害を受けることはありませんでした。しかし、普通、それでは済まないと思います。私は、山中先生には何の恨みもありません。パワフルに結果を出していくという面では、大変有能な人だと思います。しかし、山中先生が、「コロナの専門家」などという耳障りのいい言葉を刷り込む選挙活動のために、市長選挙で当選し、もし市長の権力を握ってしまったら、どれだけの人がパワハラの被害に遭い、辛い思いをし、不幸になっていくか想像もつきません。横浜市立大学において山中竹春という人物と関わり、仕事をした自分は、私のもつ情報(ある側面の情報)を提供して、312万人の有権者に投票の判断を頂きたいという一存で、郷原先生の事務所の公開アドレスに連絡をしたのです。」

立憲民主党の市長選候補者についての「品質保証責任」

山中氏のパワハラ疑惑を報じるフラッシュの記事に対して、立憲民主党の国会議員や県議・市議は【菅首相が負けられないため加熱する横浜市長選 山中竹春元教授がフェイクニュース被害】と題する記事を、反論のために引用してきた。

同記事では、

「山中元教授が務めた横浜市立大学もハラスメント委員会を設けている。公立大学だから、私立に比べて、ハラスメント対策はより厳しい。」

「大学側も『ハラスメント対策は厳正に行っている』と答えている」

「ハラスメント委員会に山中元教授を告発したケースは1件もない」

などを、山中氏のハラスメントを否定する根拠であるように述べている。

上記のA氏とのやり取りの音声を聞けば、山中氏のパワハラ疑惑を「フェイク」などと言い続けることができないことは明らかだ。

山中氏が、仮に、市長選挙で当選したとしても、上記の「パワハラ問題」により、同氏の市長としての適格性に対する重大な疑問に直面することになる。同氏と推薦した立憲民主党には「品質保証責任」を問われることになる。

それが、直前に迫っている衆議院総選挙で立憲民主党に大打撃を与えることになる。

そのような事態に至らないようにするためには、「パワハラ問題」について、早急に山中氏から聴取し、山中氏を「横浜市長となるに相応しい人物」として、市長選での市民の判断に委ねることができるのか、市長選挙に向けての対応を再検討することしかない。

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横浜市長選、山中候補の説明責任「無視」の立憲民主党に、安倍・菅政権を批判する資格があるのか

新型コロナ感染爆発の下での東京五輪開催、コロナ対策の失敗等で、内閣支持率も菅内閣発足後最低を記録しており、政権崩壊すらあり得るという状況になっている。本来ならば、野党第一党の立憲民主党にとっては、政権奪取の絶好のチャンスだ。しかし、野党第一党の立憲民主党の支持率も一向に伸びない。

こうした中、8月8日、横浜市長選挙が告示された(22日投開票)。菅義偉首相のお膝元、日本最大の政令市の横浜市で行われる首長選挙は、史上最多の合計8人が立候補しており、今秋に行われる衆議院議員選挙の前哨戦とも言われて、注目を集めている。

立憲民主党は、横浜市立大学元教授の山中竹春氏の推薦を決定し、告示前から組織を挙げて支援運動を展開してきたが、この山中氏については、データサイエンティスト、コロナ対策の専門家などの触れ込みへの疑義や、学歴・経歴への疑問、横浜市大でのパワハラ疑惑など様々な問題が指摘されてきた。それらの問題について全く説明責任を果たさないまま山中氏擁立を強行した立憲民主党は、目前に迫る衆院選に向けて重大なリスクを抱え込むことになった。

横浜市、立憲民主党それぞれと私との関係

私は、2007年からコンプライアンス外部委員として、2017年からはコンプライアンス顧問として、各部局・区で生起する様々な不祥事・コンプライアンス問題について、対応を助言したり、各区局の幹部へコンプライアンス研修を行ったりして、横浜市の行政に深く関わってきた。私の持論である「組織が社会の要請に応えることとしてのコンプライアンス」を横浜市で実現すること、つまり、「横浜市の組織が、市民や地域社会の要請に応えていくこと」に向けて、私なりに全力で取り組んできた。

一方で、2009年に発足した民主党政権下では、総務省顧問・コンプライアンス室長を務めたほか、その後発足した自民党安倍政権が長期化する中で、2012年の安倍政権発足後、安倍政権及びそれを継承する菅政権と対立する野党の民主党、民進党、そして、現在の立憲民主党に、刑事実務・コンプライアンスの専門家として協力してきた。

安倍首相の側近の甘利明氏の斡旋収賄事件、森友・加計学園問題、桜を見る会問題、河井夫妻多額現金買収事件などの不祥事、事件が発生する度、安倍首相や政権側に対して厳しい批判を行い、野党側の国会での公述人・参考人陳述や、野党ヒアリングなどに応じてきた。

私としては、「安倍一強」と言われていた政治状況の下で、政権に対抗する政治勢力を少しでも高めることができればと思い、可能な限りの協力を惜しまなかった。

今回の横浜市長選挙は、市民と地域社会の要請に応える横浜市政を実現できる新市長を選ぶための極めて重要な選挙であり、私も大きな関心を持ってきたが、その市長選においても、これまで協力関係を継続してきた立憲民主党が重要な役割を果たしてくれるものと期待していた。

しかし、江田憲司氏を中心に行われた候補者選定で、6月に入って出てきた名前は、DNAベイスターズの初代社長の池田純氏、そして、山中竹春氏だった。

6月20日頃、「立憲民主党が横浜市立大学教授の山中竹春氏を、市長選挙に擁立へ」と報じられた。私は、この時以降、山中氏について多くの人から話を聞き、情報・資料を入手してきたが、山中氏は、市長に相応しい人物ではないどころか、絶対に市長にしてはならない人物であると思わざるを得ななかった。

同じ頃、自民党側では、「小此木八郎氏が現職閣僚を辞任して横浜市長選挙に出馬する意向」と報じられた。菅首相と昵懇の間柄の小此木氏が当選し、市長となることは、かねてから横浜市の幹部人事や横浜市政に大きな影響を持ってきた菅首相の関与を一層高めることになる。まさに、「菅支配の完成・盤石化」を意味する。それは、横浜市民のための市政に一層逆行することになるものと思えた。

自民党側の小此木氏に対抗する立憲民主党側が山中氏を擁立することになれば、横浜市民にとって、最悪の市長選挙となりかねない。何とか阻止しなければならないと思った。

山中氏が「市長にしてはならない人物」と確信する根拠

山中氏について、私がそこまで断言するのは、相応の根拠に基づくものだ。私の情報源は、横浜市大の内部者、医療情報の分野の専門家、医療ジャーナリスト、神奈川県内の医師、など、多岐にわたっている。

特に、横浜市大は、私が横浜市のコンプライアンス顧問在任中に発生した不祥事への対応で深く関わったことがあり、大学関係者の多くと面識があった。

その不祥事というのは、2019年8月に、横浜市大医学部で発生した「臨床研究におけるメール誤送信による患者情報の漏えい」の問題だった。

問題を把握した時点から、当時の理事長から頻繁に連絡を受け、不祥事対応の助言を行い、第三者委員会の設置に際しても、当時の市大病院長(現学長)とともに独立行政法人国立病院機構理事長を訪ねて、委員長就任をお願いした。その後、私の事務所スタッフに第三者委員会の調査を担当させ、翌年、委員会の調査報告書が公表された。

今回、山中氏の人柄、能力・資質、同氏の市長選への出馬に関して横浜市大の内部で起きていることについて、情報を入手し、様々な話を聞くことができたのは、私自身や私の事務所スタッフが横浜市大内部に豊富な人脈があったことも背景となっている。

これらの情報に基づき、私は、立憲民主党が市長選候補者として擁立しようとしている山中氏が「市長に相応しくない人物」であることに確信を持ち、立憲民主党の県連会長や党本部選対幹部など各レベルに伝え、再検討するよう求めた。しかし、「候補者選定は江田憲司氏に一任されている」とのことで、誰も口を出せないとの話だった。

その際、県連関係者が口にしていたのが、「他にいい候補がいない」という話だった。6月10日頃、江田憲司氏と電話で話したこともあったが、その際、江田氏は、「素晴らしい候補者が複数手を挙げていて調整に困っている状況だ」と言っていた。しかし、実際には、候補者の人選を江田氏がすべて自分で抱え込み、その結果、江田氏が独断で候補者を山中氏に絞り込んだものだった。

自らが市長選に出馬の意志を表明する決断

立憲民主党が山中氏を推薦し、野党統一候補にしていこうとしているのであれば、何とかして阻止しなければならない。そのためには、自分自身が出馬の意志があることを伝え、山中氏を候補として擁立しない選択肢を示すしかないと考えた。

私は、県連会長や、党本部の選対幹部などに、改めて山中氏は横浜市長にしてはならない人物であることを説明するとともに、「7月6日の横浜市のコンプライアンス委員会までは顧問職を全うしたいと考えているので、市長選挙について自ら表明することはできないが、横浜市長選出馬に向けて覚悟を固めている」ということも伝えた。

しかし、立憲民主党側では、山中氏擁立の方針を変える気配は全くなかった。

私は、7月6日のコンプライアンス委員会の終了をもって、顧問を退任し、翌日に開いた記者会見で、「解除条件付き出馬意志表明」を行った。そして、山中氏のデータサイエンスの専門性、コロナの専門性等について質問を行い、その質問状への回答によって山中氏の市長としての適格性と政策の共通性が確認できれば私は立候補の意志を撤回すると述べた。それは、逆に、山中氏の市長としての適格性が確認できないようであれば、擁立を再検討すべきとの趣旨を含んでいた。立憲民主党側が私の質問状を受け止めて、真摯に対応しようとすれば、山中氏は市長に不適格な人物だと判断されるものと確信していた。

会見の前には、事前に立憲民主党福山哲郎幹事長とも面談し、質問状も渡して、趣旨も説明していた。質問状を受け取った阿部知子県連会長からも、「必ず書面で回答させます」という丁寧なメールが届いていた。

不誠実極まりない立憲民主党側の対応

7月14日、江田氏と、青柳陽一郎県連幹事長、藤崎浩太郎横浜市議の3人が、私の六本木の法律事務所を訪れ、山中氏に代わって、回答の内容を伝えてきた。私の質問状に対して、いずれも、合理的な説明は困難とのことだった。山中氏が標榜している「データサイエンスの専門家」「コロナの専門家」には、具体的な根拠や内容はなく、単に、選挙向けに使っているに過ぎないという話だった。

その結果、私が出馬意志の「解除条件」とした、「山中氏の市長としての適格性」が確認される可能性がなくなったため、7月16日の会見で、私は、横浜市長選挙への出馬の意志を、改めて明確に示した。

7月7日、7月16日のいずれの会見も、その動画をインターネットで公開した。会見の趣旨に賛同する反応が相次いて寄せられ、山中氏の市長候補者としての適格性には重大な問題があるとする多くの人からの情報提供があった。

それらの情報から、私は、山中という人物は、絶対に市長にしてはならない、万が一にもこのような人物が市長になることは、横浜市民にとっても、横浜市の職員にとっても「災害」に近い事態になると確信した。

出馬意志表明後も、私は、山中氏が「市長に相応しい人物」ではないことについて、多くの根拠を示して、ブログ等で指摘してきた。(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】【私が横浜市長選にこだわり続ける3つの理由、「民意」「支配」「適格性」】)。私は、立憲民主党側が山中氏擁立を再考することを、諦めていなかった。

しかし、立憲民主党本部も、江田憲司代表代行に支配された神奈川県連も、私の指摘に全く耳を貸さなかった。そして、党所属国会議員・県議・市議らが、コロナ禍にもかかわらず、街頭で幟を立てたり横断幕をかざしたりして人を集め、「8月22日横浜市長選挙立候補予定者山中竹春」の名前を広める「事前運動まがいの活動」に邁進したのである。

山中氏のパワハラ疑惑

8月3日発売の週刊誌フラッシュのネット記事【横浜市長選「野党統一候補」がパワハラメール…学内から告発「この数年で15人以上辞めている」】で山中氏のパワハラ疑惑が報じられた。

私の法律事務所は、事務所名からも明らかなようにコンプライアンス専門事務所だ。

多くの企業からコンプライアンス体制の構築の依頼を受け、全従業員のアンケート調査等によるコンプライアンスの実態調査も行っている。もちろん、パワハラの問題は、最近ではあらゆる組織にとって重要なコンプライアンス問題であり、通報があった事案の調査も多数行っており、パワハラの実態については精通している。

この山中氏のパワハラ問題については、当事務所にも、情報提供・協力の申出があり、私自身が、その被害者の一人から直接聴取して事実を確認している。また、それまでに多数の学内関係者から得ていた情報からすると、同記事で書かれた内容は、多くの大学関係者の認識に沿う、疑う余地はない事実であることは明らかと判断できた。

さらに、横浜市大教授在職中に突然、市長選への出馬が報じられたことに関して、理事長・学長名で出された学内文書に因縁をつけて、山中氏の評価を含む文書を発出するよう強く求め、書き直しをさせて、『素晴らしい研究業績』などの文言を含む文書の発出を強要し、大学の自治に対する、政治的権力による侵害行為を行った事実があった。これについても、市議会議員の関係者から情報提供を受け、文書も入手した(【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】)。これも、山中氏のパワハラ体質を端的に示すものだった。

このような状況の下で何をなすべきか。

熟慮を重ねた末、私自身の立候補の意志は撤回し、「元横浜市コンプライアンス顧問」として、コンプライアンス問題について外部有識者として意見を述べる立場になることとし、一方で、市長選挙については、小此木氏・山中両氏の当選を阻止するための運動、つまり「落選運動」に方針を転換することを決意し、8月5日の記者会見で、その旨明らかにした。

こうして、私は、横浜市長選挙において、立憲民主党推薦候補に対しても「落選運動」を行うことを宣言し、初めて、民主党の流れを引く野党と正面から対立することになった。

山中氏のパワハラ疑惑への立憲民主党の対応

上記のフラッシュ記事で報じられた山中氏のパワハラ疑惑に対する立憲民主党側の対応は、信じ難いものだった。

同党神奈川県連だけでなく、同党所属の国会議員までもが、「しらべえ」というインターネットサイトの【菅首相が負けられないため加熱する横浜市長選 山中竹春元教授がフェイクニュース被害】という記事を引用して、山中氏のパワハラ疑惑がフェイクだと喧伝しているが、この記事は、パワハラの実態について基本的な知識すら欠いている。

この記事では、「山中元教授が務めた横浜市立大学もハラスメント委員会を設けている。公立大学だから、私立に比べて、ハラスメント対策はより厳しい。」「大学側も『ハラスメント対策は厳正に行っている』と答えている」「ハラスメント委員会に山中元教授を告発したケースは1件もない」などが、山中氏のハラスメントを否定する決定的な根拠であるように言っている。

そもそも、「対策を厳正に行っている組織ではハラスメントは発生しない」「ハラスメントを受けた被害者は必ず告発を行う」との前提が、全く的はずれだ。一般的には、深刻かつ重大なパワハラであればあるほど、報復を恐れて通報や告発に至らないことが多く、それが、組織のパワハラ対策の困難性の要因となっている。

パワハラには、様々な態様がある。他人の目の前で叱責するというような単純なパワハラであれば、周囲からの告発などが行われることもあり、比較的把握しやすい。しかし、フラッシュの記事で山中氏が行ったとされるパワハラは、組織内の上司がその権限を不当に行使して被害者にダメージを与える陰湿な方法によるパワハラであり、組織内で告発をしても握りつぶされたり、報復を受けたりする懸念から、告発自体が極めて行われにくいタイプのパワハラだ。ハラスメントの被害者が退職した場合も、そのまま泣き寝入りする場合が多い。

つまり、「告発がゼロ」というのは、山中氏のパワハラ疑惑を否定する根拠には全くならないのである。

実際に、山中氏の人格・性格について、大学関係者の話では、「粘着質で執念深い」という点で一致している。報復を恐れてパワハラの告発を行うことはとてもできない典型例であるし、実際に被害を伝えてきた人たちも、報復されることを非常に恐れている。

この「しらべえ」の記事の著者には、昨年、東京都知事選をめぐって、「立憲民主党の枝野幸男氏と国民民主党の玉木雄一郎氏が神津連合会長に呼び出された」と事実無根のツイートをして、すぐに全く事実ではないことが判明し、ツイートを削除したという騒ぎがあった。党の代表に関わる虚偽ツイートで迷惑をかけた前歴のある人間の、内容的にも全く噴飯物の記事を、立憲民主党の議員がこぞって山中氏のパワハラ否定のために引用するというのは、公党の対応として異常というほかない。

山中氏のパワハラ疑惑の指摘について、まず行うべきことは、パワハラ当事者の山中氏からヒアリングを行い、パワハラの具体的事実として指摘されている「干す」という言葉を使ったメールを発信した事実があるのかどうかを確認すること、それが事実なら「干す」がどういう意味で用いられたのかを山中氏自身に問い質すことだ。それが、最も容易にできるのは、山中氏推薦を決定している、立憲民主党のはずだ。

山中氏の経歴詐称疑惑

それに加え、かねてから、山中氏の学歴・経歴・データサイエンティストとしての専門性に関して、米国留学時の経歴「NIH リサーチフェロー」の詐称問題がSNS上等で指摘されていた。

これについて、私が告示日の前日に指摘したのは、山中氏が米国留学時の身分について「NIH リサーチフェロー」としていた研究経歴紹介サイト「リサーチマップ」を、出馬表明直後に削除したこと、大学院修士課程しか修了していないのに博士課程修了のように見せかけていた疑いがあること、「NIH リサーチフェロー」は博士号取得後3年経過後に得られる政府職員の有給のポストであり、山中氏が「NIH リサーチフェロー」だったとは考えにくいことだ。山中氏はこれらの疑問に答えるべきだと述べた。(【横浜市長選、山中竹春氏は「NIH リサーチフェロー」の経歴への疑問にどう答えるのか】

しかし、山中氏本人も、同氏を推薦する立憲民主党も、これらの疑問に対して何一つ正面から向き合おうとせず、経歴詐称問題について全く何の説明もしないまま立候補届出に至った。

上記のフラッシュの記事に対しては、「しらべえ」記事を引用してフェイクだと騒ぎ立てたり、フラッシュを出版社の光文社を「告訴する」などとマスコミに吹聴したりすること(実際には、告訴は凡そ受理されないと思われる)に終始し、連日、党組織を挙げての山中氏のための街宣活動を繰り広げている。

一方、「NIH リサーチフェロー」についても全く説明責任を果たさず、選挙公報には、なぜか「NIHリサーチフェロー」とは書かず、「NIH 研究員」と記載している。

立憲民主党に安倍・菅政権を批判する資格があるのか

横浜市長選挙は、4年に1度、たった一人の市長を選ぶ選挙である。その選挙において、市長に相応しい人物を、責任を持って選定し、市長としての適格性に疑念が生じたら、十分に説明責任を果たすのは、公党として当然の責務のはずである。

しかし、今回の市長選での候補者選定の経過は、凡そ上記のような責務を果たすものとは言い難い。江田憲司氏の「独断専行」を許した結果、候補者の適格性に重大な疑義が生じているにもかかわらず、説明責任を無視している状況にある。

立憲民主党も、その前身の、民主党・民進党も、森友・加計学園問題、桜を見る会問題等で、自らの権力の維持を最優先し問題に対して最低限の説明責任すら果たして来なかった安倍・菅政権を追及する中で、「説明責任を果たしていない」ということを常に批判の理由としてきた。

今回、横浜市長選挙において立憲民主党が行っていることからすると、果たして、説明責任について安倍・菅政権を批判する資格があるのかと疑問を持たざるを得ない。

党本部が、江田氏の「独断専行」を容認せざるを得ないのは、「野党第一党」の地位を守ることを最優先しているからではないのか。そのような立憲民主党執行部に、本気で菅政権を打倒し、国民の期待する政権を作ろうとする気があるのか。長年、横浜市政は、有力政治家菅義偉氏の大きな影響を受け、「菅支配」の下にあった。それを一層強固なものとする小此木氏の当選は、何が何でも阻止しなければならない。しかし、今の立憲民主党には、それを期待することは全くできない。

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横浜市長選、山中竹春氏は「NIH リサーチフェロー」の経歴への疑問にどう答えるのか

昨日(8月5日)のブログ記事【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】で、横浜市長選挙への出馬を見送り、小此木八郎、山中竹春両氏の「落選運動」に転換することを表明し、同日午後4時から記者会見を行った。

 立憲民主党の山中氏擁立を殆ど独断で決定し、山中氏の候補者としての適格性について問題が指摘されても耳を貸さず、野党統一候補としての擁立に向けて「独断専行」してきた江田憲司氏(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】)が、昨夜22:19にフェイスブックを更新し、以下のようなことを書いている。

市大というのは、文字どおり、横浜市の一組織だから、市からの天下り官僚も多く、自民党や林現職サイドが何か調べよう、圧力をかけようと思えば簡単にできることなのだろう。  

江田氏が述べていることは、山中陣営へのブーメランそのものである。

私は、昨日の記事で、

「出馬表明後に、山中氏が市議会議員とともに横浜市大当局に対してとった行動」は、まさに、大学の自治を侵害し、公選法違反の疑いが生じるだけでなく、山中氏のパワハラ的な本性を露わにしたと言える

と指摘し、この市議会議員が、山中陣営の中心人物である花上喜代志氏であることも明らかにしている。

江田氏は「横浜市大当局に、何か調べよう、圧力をかけようと思えば簡単にできる」としているが、今回、横浜市大に実際に圧力をかけたのは、「自民党や林現職サイド」ではなく、立憲民主党サイドなのである。

江田氏が、このような「妄言」をネットで発信している間に、私が昨日のブログや会見でも指摘した山中氏の経歴に関する疑問は、ますます大きくなっている。

「リサーチマップ」という、研究者が業績を管理・発信できるようにすることを目的としたデータベース型研究者総覧があり、多くの研究者が活用しているが、山中氏は、そのリサーチマップに公開していた内容を、市長選出馬の話が表面化した段階で削除している。このことは、SNS上で、「何かやましいことがあるのではないか」と指摘されていた。

山中氏が削除したリサーチマップの経歴が、グーグルのキャッシュで確認できた。それによると、

「2002年 – 2004年米国国立衛生研究所 (NIH) リサーチフェロー」

との記載がある。

ブログでも述べたように、山中氏は、学歴について

「1995年 早稲田大学政治経済学部 卒業」

「2000年 早稲田大学大学院理工学研究科 修了」

としており、それだけ見ると、政治経済学部を卒業後、大学院に5年間在籍し、修士課程・博士課程を修了したかのように見える。しかし、一方で、山中氏が2008年に出版された数学の専門書の共著書(「一般化線形モデル入門 原著第2版:2008年」)では、

「1998年 早稲田理工学部数学科卒」

とされている。実際には、大学院在学は2年であり、修士課程しか出ていないことになる。

「NIHリサーチフェロー」というのは、「博士号を取得し、期間限定で更新可能な任命を受けているNIHの有給の職員」という意味である。早稲田大学理工学研究科の修士課程しか修了しておらず、博士課程は出ていない山中氏が「NIHの職員」リサーチフェローの経歴があったとは考えにくい。(山中氏の博士号は、「大学院博士課程で取得したものではなく「論文博士」であり、2003年5月に審査を受け、同年10月に審査結果が出たものだ。)

「NIH リサーチフェロー」の職にあったとすれば、研究歴にとって極めて重要な意味を持つものであり、2014年に、横浜市大医学部教授に採用された際も、履歴書に「NIH リサーチフェロー」と記載していた可能性が高い。医学部には山中氏のような生物統計の専門家はほとんどいなかったので、採用に当たって、山中氏の経歴の中の「NIH リサーチフェロー」は決定的な意味を持ったと考えられる。

もし、山中氏が、「NIH リサーチフェロー」を詐称していたとすると、横浜市大医学部教授の採用自体にも疑義が生じることになる。

1995年の学部卒から5年間、大学院に在籍したように見せかけているのも、博士課程を出ていない「リサーチフェロー」はあり得ない、ということと関係している可能性がある。

市長選挙出馬の話が表面化した時点で、山中氏はリサーチマップを削除したのであるが、研究者の経歴を持つ人間として、その実績をアピールして市長選挙に立候補するのだから、削除することは通常あり得ない。

8月8日告示の横浜市長選挙に立候補するのであれば、山中氏は、これらの疑問について自ら説明責任を果たすべきであろう。

また、「NIH リサーチフェロー」の経歴について、山中氏自身が、即座に十分な説明を行い、疑いを晴らすのであれば別だが、そうでなければ、横浜市大及び横浜市は、【「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!】で指摘した「山中氏が花上市議会議員らとともに横浜市大当局に対して行った大学の自治を侵害する不当要求」の問題と併せて、山中氏の経歴について、教授採用の際に提出された履歴書等についても調査すべきである。

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「小此木・山中候補落選運動」で “菅支配の完成”と“パワハラ市長”を阻止する!

*迫る横浜市長選、危機的局面に*

8月8日告示、同月22日投票の市長選挙を目前に控え、横浜市は極めて危機的な状況を迎えている。

一つは、横浜市を、事実上支配してきた有力政治家菅義偉首相との関係だ。

「横浜市の幹部人事(局長・区長)の人事案は、確定前に菅事務所に送付されて了承を得る」という、地方自治体の人事ではあり得ないやり方が、20年以上にわたって続いてきた。(実際に、稀ではあるが、人事案が菅事務所側に覆されたケースもある。)それによって、横浜市の幹部職員は、菅氏の意向に従い、或いは忖度せざるを得ず、実際に、IRの山下ふ頭への誘致が民意を無視して進められ、瀬谷の米軍通信基地跡地での花博の開催、テーマパークの建設などの事業計画が進められ、開発重視の施策がとられてきた。その一方で、子育て支援、高齢者福祉、困窮者対策などがなおざりにされ、「市民の暮らし」には十分に目が向けられてこなかった。

今回の市長選では、自民党系候補が、林文子現市長と、現職閣僚を辞任して市長選挙に立候補表明した小此木八郎氏に分裂した状況を受け、菅首相は、かねてから昵懇の関係にある小此木氏の「全面支援」を打ち出し、自ら自民党関係者に「小此木支持」を徹底して呼び掛けるなど、一自治体の首長選挙への現首相の対応としては異常とも思える対応を行っている。この選挙で小此木氏が当選することは、横浜市での「菅支配の完成・盤石化」を意味する。

一方、野党統一候補としての立候補を予定している横浜市立大学の元教授の山中竹春氏には、喧伝されている「データサイエンティスト」「コロナの専門家」などの属性自体に疑問が指摘されているほか、「パワハラ」疑惑が報じられている。そして、後述する通り「出馬表明後に、山中氏が市議会議員とともに横浜市大当局に対してとった行動」は、まさに、大学の自治を侵害し、公選法違反の疑いが生じるだけでなく、山中氏のパワハラ的な本性を露わにしたと言えるものだ。このような人物が万が一にも横浜市長に就任することは、横浜市民にとっても市職員にとっても、絶対にあってはならない事態である。

*市長選に向けての私のこれまでの対応*

私は、これまで14年間にわたって、コンプライアンス顧問等として横浜市の行政に関わってきたが、今回の市長選は、今後の横浜市政の方向性を決定づけるものであり、重大な関心を持ってきた。

私は7月7日の記者会見で、横浜市長選挙への立候補の意志を持って政治活動を行うことを表明(以下、「出馬意志表明」)した。そしてそれとともに、「立憲民主党が推薦候補として擁立している横浜市立大学元教授の山中竹春氏が、野党統一候補として横浜市長となるのに相応しい人物であることが確認でき、私が掲げた重点政策に基本的に賛同するのであれば、立候補の意思は撤回し、山中氏を全面的に応援する」と述べ、立憲民主党神奈川県連会長宛ての質問状も公開した。ところが、その後の立憲民主党側の対応によって、出馬意志の「解除条件」とした「山中氏が市長に相応しい人物であること」が充足される余地は全くないと判断せざるを得なかったので、7月16日の記者会見で、その経緯を明らかにし、改めて、明確に市長選への出馬意志を表明した。(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】

政党・団体の推薦も支援も全くない私が、全くの私費で選挙資金を賄ってまで立候補しようとしているのは、自分自身が市長になり、その権限を得たいのではない。想定される市長選の結果が、横浜市民にとって、横浜市の自治体組織にとって、最悪の結果となることを看過できないと考えたからである。このことは、7月26日の「横顔会見」の場等でも説明してきた(【7月26日横顔会見(前半)】)。

*今後の方向性についての検討*

山中氏については、かつて23年間検察官として刑事事件で様々な人間を見てきた私の経験からも、絶対に横浜市長にしてはならない人物と確信し、出馬意志表明後も、山中氏の適格性についてネット上等で指摘してきた。しかし、野党側の推薦、支持、支援は山中氏に一本化され、山中氏の立候補が強行されようとしている。

市長選をめぐる情勢は、多数の自民党市議に加えて、菅首相自身も全面支援を打ち出した小此木八郎氏、現職市長の林文子氏と立憲民主党推薦の山中氏が、「主要3候補」とされ、マスコミの報道も、次第に、3候補(或いは、それに元知事2名を加えた5候補)に集中していくものと考えられ、私が立候補しても、私の訴えが有権者の耳に届くことは期待できないと考えざるを得ない状況になっている。

一方で、後に詳述する山中氏の出馬表明に関して横浜市大で発生した事象は、同市大のみならず横浜市にとってもコンプライアンス上重大な問題である可能性があるが、私は、市長選への出馬意志を表明するに際して、横浜市コンプライアンス顧問を退任し、市長選の候補予定者となったことに伴い、横浜市に関する問題について、コンプライアンスの専門家として客観的な立場から論評する立場ではなくなっている。

そこで、このような横浜市にとっての重大局面において、私自身が何をなすべきか熟慮を重ねた末、私自身の立候補の意志は撤回し、「元横浜市コンプライアンス顧問」として、コンプライアンス問題について外部有識者として意見を述べる立場になることとした。一方で、市長選挙については、小此木氏・山中両氏の当選を阻止するための運動、つまり「落選運動」に方針を転換することを決意した。(IR推進を掲げる現職市長の林氏の当選も阻止すべきと考えているが、林文子氏の支持基盤であった自民党の支持状況から、当選に必要な有効投票の25%を獲得する可能性は極めて低いと考えている。その前提が変われば、落選運動の対象に加えることもあり得る。)

公職選挙法は、当選を得若しくは得しめる目的で行われる「選挙運動」と並んで、「当選を得しめない目的」で行われる「落選運動」を想定しているが(221条)、この「落選運動」については、時期・方法についての制限は規定されていない。それは、「選挙運動」が、公職に就任することによる利益が想定されるのに対して、「落選運動」は、それを行う個人に何ら利益をもたらすものではないからであろう。そのような自分の利益にならないことに労力・費用をかけようとする人間はほとんどいないのが通常だ。しかし、私は、もともと、自分自身が市長の職に就くことが目的ではなく、長く横浜市のコンプライアンスに携わってきた立場から、今回の市長選が、横浜市民や地域社会の要請に反する結果になることを阻止しようと考えて、市長選に自ら関わってきた。私にとって、可能な範囲で、私費を投じ、自分自身の時間を活用して、市長になるべきではない候補の当選阻止をめざす活動を行っていくことは、これまでの活動の延長上にあるものであり、自らの社会的責務だと考えている。

今後、もともと予定していた、ブログ、YouTubeでの発信、インターネット広告、新聞広告など、様々な手段を用いて、小此木・山中両氏の当選を阻止する活動を行っていくこととしたい。

そこで、まず、山中氏に対する「落選運動」の第一弾として、本日の会見で問題を指摘し、私の下に提供された様々な情報に基づき、山中氏の市長としての「適格性」を問題にする理由について、具体的に述べることとしたい。

なお、「菅支配」という観点からの小此木氏の当選阻止の必要性については、その概要を、昨日アップしたYouTube「郷原信郎の『横浜から日本の権力を斬る』」の【横浜市長選、小此木氏当選阻止で「菅支配」からの脱却を!】で、既に明らかにしている。

*山中氏のデータサイエンスの専門性や学歴についての疑問*

山中氏については、ネット上で、学歴、研究歴、データサイエンスについての専門性がないこと、コロナの専門家ではないこと、大阪府吉村知事の「イソジン会見」で、データ解析者として名前が出ていたこと、公立大学教授であるのに製薬会社から多額の謝礼を受領していたことなどが指摘されている。

公表されている山中氏の経歴にも、以下のような疑問があった。

「1995年 早稲田大学政治経済学部 卒業」「2000年 早稲田大学大学院理工学研究科 修了」とされており、それだけ見ると、政治経済学部を卒業後、大学院に5年間在籍し、修士課程、博士課程を修了したかのように見える。しかし、一方で、2008年に出版された数学の専門書の共著書(「一般化線形モデル入門 原著第2版:2008年」)では、「1998年 早稲田理工学部数学科卒」とされている。

立憲民主党の衆院議員中谷一馬との対談(ビジネスジャーナル)では、

「いったんは政治経済学部というところに行ったのですが、最初は実はアルバイトばっかりやっていたのです。」

「アルバイトをやりすぎて結構大学の単位を落としちゃったんですね。」

「留年したらまずいなと思いまして、そこから勉強し始めたんです。それで、勉強し始めたら、経済学というよりも経済、政治、社会の現場から生まれるデータを分析して、それに基づいて意思決定をするという方法論が面白くて。そうしたら、今度は、分析手法の理解を深めたいなと思い、数学科に潜り込んで数学や統計学の授業聞いてたんですね。」

などと述べている。

数学科の授業に「もぐりこんで」とあるので、いかにも数学科は卒業していないような印象を受ける。「学部(政経学科)のときに数学科に潜り込んだ」というのが、「理工学部数学科に入り直した」というのあれば、そう言えばいいはずだ。山中氏は、なぜか、現在の経歴の中で「数学科卒」を隠していることになる。なぜ、「数学科卒」を敢えて隠すのか、実際には大学院には2年間の修士課程に在籍しただけなのに、5年間在籍し、修士課程、博士課程を修了したかのように見せかけることが目的なのか。

中谷議員との対談からすると、山中氏は、早稲田の政経学部在学中に、「データサイエンス」に興味を持ち、そこから独自にデータサイエンティストとしての専門性を深めていったように見える。しかし、そうではなく、実際には、早稲田大学の学部や大学院在学中に、データサイエンスに関連する教育を受けてはいないのではないかとの疑問が生じた。

*横浜市大関係者からの文書*

そうしたところ、7月中旬に、私の事務所の公開メールアドレスに、山中氏のことをよく知る人達からと思える匿名の文書を添付したメールが送られてきた。

そこには、以下のようなことが書かれていた(これらについては、公表資料に基づく具体的かつ詳細な説明も記載されている)。

(1)山中氏は、データサイエンス分野で、統計学や情報学の学術貢献が含まれる研究論文はほとんどなく、データサイエンティストと言える専門性に乏しい。

(2)共著者(他の研究者が主導した研究における共同研究者の一人)の論文を含めると200本以上の論文があるが、これらの研究論文は主として他人の研究成果であり、筆頭著者(主導した研究)は10本未満であり、この中には統計学、データサイエンスに関するものはほぼないこと。

(3)感染症・免疫学の専門家ではなく、西浦博氏や尾身茂氏のように、感染症の実務研究をしてきた人と違い、感染症対策の実務も研究業績もない。研究者間で認められていない中和抗体の測定方法を用い、中和抗体に関する研究をマスコミで喧伝したが、そもそも中和抗体の測定自体も別の研究者や業者が行ったものである。

(4)山中氏は部下や事務職員に対してパワハラやアカハラと捉える事案が頻発していた。中には適応障害の診断を受けて、辞めた教員もいた。

(5)学長補佐やデータサイエンス研究科長の要職にあったが、2021年より週3回国立がんセンターと兼業になり、横浜市立大学には週2回の勤務。学長補佐、大学院研究科長、医学部教授という立場にありながら実質職務放棄の状態が続いていた。

文書の内容からすると、山中氏の実像を世の中に明らかにしたいという純粋な思いから私宛に送付してきたものと思えた。

この文書のとおりだとすると、山中氏は、データサイエンティスト、コロナの専門家を売りにして市長選に立候補することを表明しているが、それらはすべて「虚飾」で、実際には、専門性も業績もないのに、あるように見せかけて自分のポストを得てきた人物だということになる。私は、同分野の専門家を含む知人や関係者に話を聞き、情報を収集するなどして、上記匿名文書の信憑性を確認した。結果、指摘されていることは信憑性が高いと考えられた。

*山中氏のパワハラ・アカハラ*

 そうしたところ、8月3日発売の週刊誌フラッシュと、ネット記事【横浜市長選「野党統一候補」がパワハラメール…学内から告発「この数年で15人以上辞めている」】で、上記(4)のパワハラ・アカハラに関する事実が報じられた。

 なお、山中氏は、同報道に対して釈明するために、ホームページで反論を出している(https://takeharu-yamanaka.yokohama/news_00.html)。

ところが、この際、個人情報を黒塗りにしていたが、実際には不完全で、個人情報が流出するという事態を招いている。このような個人情報の取扱いの杜撰さも、山中氏のデータサイエンティストとしての専門性の疑わしさ(或いは、目的のためには他者の立場を無視するパワハラ体質)を示すものと言えるだろう。

*山中氏に関する「横浜市大理事長・学長名の学内文書」*

山中氏については、上記のように、データサイエンス、コロナの専門家を標ぼうしていることへの重大な疑義に加え、重大なパワハラ疑惑が報じられているが、それに加え、横浜市立大学教授(学長補佐、研究科長)等に在職中に横浜市長選に出馬を表明したことに関して、横浜市大においても重大なコンプライアンス・ガバナンス問題が発生している。

発端は、今年6月16日、「立憲民主党、横浜市長選に、横浜市立大学の山中竹春教授を擁立へ」と報じられた直後に、理事長・学長名で、大学の全教職員に宛てて発出した以下の文書だ。(以下「6.16文書」)

        今朝(6月16日)の新聞報道について

今朝、新聞各紙(神奈川新聞、読売新聞、毎日新聞)に、横浜市長選に横浜市立大学山中竹春教授が擁立される件が大きく報道されました。

この件につきまして、御本人への連絡がつかない状況が続いていますが、現在も連絡を続けており、意思確認に努めております。

皆様もたいへん驚かれ、また、動揺されている方も多いと思いますので、本学のスタンスをお伝えいたします。

横浜市の設置する公立大学法人として教職員の選挙活動及び政治活動へ関与することはありません。

いずれにせよ、本大学は、コロナ禍の中で教育・研究・診療等に注力している中、冷静な対応をお願いするとともに、引き続き業務に専心ください。

そして、7月26日、以下の文書が、同じく理事長・学長名で全教職員に宛てて発出された(以下「7.26文書」)。

  「今朝(6月16日)の新聞報道について」の記述について(お詫び)

表題の文書につきましては、山中元教授の市長選出馬に関する新聞報道に教職員が動揺しないように、という配慮で送付しましたが、結果的に、設置主体である横浜市の  林市長に対して配慮した内容である、というご指摘を受けました。

また、本人と連絡がつかない、という事実と異なる内容を記載してしまった点について、心よりお詫び申し上げます。

私共の配慮が不足しており、教職員の皆様、ならびに学部生・大学院生の皆様に誤解を生じさせてしまい、たいへん申し訳ございませんでした。

山中先生ご本人に確認も行わぬまま、記事が発出された数時間後に全教職員宛にメールを送信するという行為は、法人の管理者として極めて拙速とも言える行為でした。

山中先生には大事な時期に大変ご迷惑をおかけしてしまいました。ご本人には深い謝罪の意をお伝えしました。

山中先生におかれましては、これまで素晴らしい研究成果や学内のご実績により、横浜市立大学のプレゼンスを高めてくださりました。今後も感謝の意を学内外へ伝えて参る所存です。

これらの文書は、山中氏に同席して、大学側に文書発出を要求した市議会議員の関係者から入手したものだ。

このような2通の文書が、横浜市大の理事長・学長名で全職員に向けて発出されたことには、重大な問題がある。

*公立大学の政治的中立性の問題*

第一に、公立大学の政治的中立性に関する問題である。

「6.16文書」では、「横浜市の設置する公立大学法人として教職員の選挙活動及び政治活動へ関与することはありません。」と述べて、公立大学としての政治的中立の姿勢を明確に述べている。ところが、「7.26文書」では、市長選挙に出馬表明している山中氏に「感謝の意を学内外に伝えること」を大学の方針として示すなど、立候補予定者の山中氏への支援を表明するかのような内容となっている。

「7.26文書」では、「6.16文書」について「結果的に、設置主体である横浜市の林市長に対して配慮した内容である、というご指摘を受けました」と述べている。「林市長」の市長選への立候補を前提とする指摘を受けたということであり、それを敢えて記載することで、「6.16文書」について、政治的意図が問題とされていることを認めた上、末尾で、山中氏の研究業績と大学への貢献を礼賛した上、山中氏への「感謝の意を学内外への伝える」と宣言している。全職員に、山中氏の「素晴らしい研究成果や学内のご実績」を、学内だけでなく、学外にもアピールしていくことを呼び掛けるものであり、「6.16文書」について政治的意図の指摘を受けていることとの関係から、逆の政治的意図、つまり、「山中氏を市長選挙で支援する趣旨」と受け取られかねない内容となっている。

このような文書を、公立大学の理事長・学長名で発出することは、みなし公務員としての地位を利用するものであり、公務員等の地位利用による選挙運動の禁止(公職選挙法 第136条の2第1項)の趣旨に反する疑いがある

 

*大学の自治・ガバナンスへの介入*

 もう一つは、大学の自治、公立大学のガバナンスに関する問題だ。

上記のとおり、「6.16文書」では、「公立大学法人として教職員の選挙活動及び政治活動へ関与することはありません」と述べていたのが、「7.26文書」では、山中氏を礼賛し、「感謝の意を学内外に伝える」などと市長選の立候補予定者の山中氏を支援するような政治的対応を示唆する内容になっている。特に、後の文書では、山中氏を「素晴らしい研究業績や学内での実績」と書かれているが、上記の匿名の文書によれば、学内の専門的見地からの評価はそれとは逆で、研究業績は実質的には評価に値するものではなく、むしろ、パワハラ体質教授と認識されていた。出馬表明後、SNS上でも、データサイエンティストとしての専門性がないことや、学歴、研究歴の疑問が指摘されていた。どうしてこのような文書が理事長・学長名で出されたのか。

山中氏や立憲民主党の市議会議員が、山中氏の専門性、研究業績等に関する上記のような消極的評価を意識して、『素晴らしい研究業績』という評価を含む理事長・学長名の文書を発出するよう強く求め、書き直しをさせて、そのような文言を含む文書を発出させたとすると、まさに大学の自治に対する、政治的権力による侵害行為だと言える。

関係者の話によると、同文書は、山中氏本人と立憲民主党の花上喜代志市議会議員らが、大学当局に「6.16文書」の訂正・謝罪と、山中氏に有利になる記述を加えた文書の発出を強く求め、何回も書き直させた上、最終的に上記の文面になったとのことだ。(「花上氏自身が、それを周囲に吹聴している」との話を複数の関係者から聞いている。)

「7.26文書」で「設置主体である横浜市の林市長に対して配慮した内容である、というご指摘を受けました」と記載されているが、この「指摘」は、山中氏や花上氏らによる大学当局への抗議、訂正・謝罪要求を意味するものと考えられる。しかも、6月16日の時点では、現職の林市長は市長選への出馬は不明であり、むしろ【(6.11朝日)横浜市長選、現職・林市長を支援せず 自民市連が方針】など、出馬に否定的な報道も行われていたのであり、「林市長に対して配慮した内容」という指摘自体が、全くの言いがかりとも思える。

*山中陣営は、なぜ「7.26文書」を出させたのか*

その背景には、山中氏の出馬表明後、SNS上でも、データサイエンティストとしての専門性や、学歴、研究歴についての疑問が指摘されていたことから、そのような疑問や指摘に対する反論のために、大学当局に対して、山中氏に対する積極的評価を含む文書の発出を求めた可能性がある。

大学当局としては、「6.16文書」に記載されたとおり、山中氏の市長選への立候補には関与しない方針だったはずだ。それにもかかわらず、「7.26文書」のような書面を発出したのは、市長選挙の立候補予定者と市議会議員の政治的圧力によって強く要求されたからである。

「7.26文書」の発出は、市大当局にとって「義務のないこと」であり、「生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して脅迫」した事実があれば、強要罪に該当することになる。

また、山中氏や市議会議員の花上氏らが、「『素晴らしい研究業績』という研究業績の評価を含む理事長・学長名の文書を発出するよう強く求めた行為」は、強要罪の成否を問わず、まさに大学の自治に対する、政治的権力による侵害行為だと言える。

 

 上記の問題について、大学の自治の問題に詳しい明治学院大学社会学部の石原俊教授に事案の内容をご説明したところ、以下のコメントを頂いた。

           【石原俊教授コメント】

公立大学法人の設置者側(自治体首長・自治体議会議員・自治体幹部職員など)は、公立大学の運営や改革のあり方について、大局的な見地から要望を行うことは、一定の範囲で認められている。しかし、設置者側に属する人物が、公立大学の教育・研究や研究者人事に関わる具体的な事項について、指示や要請を行うことは、戦後日本においては、憲法23条や関連法令が保障する大学の自治の観点から、一切認められていない。教育・研究や研究者人事に関わる具体的事項については、専門家である研究者(教員)による相互審査・相互評価(ピア・レビュー)の結果が尊重されなければ、大学が政治や行政の道具と化してしまうからである。

すでに横浜市立大学の教員職を辞職し、複数の政党が推薦する市長候補者つまり政治家の立場に事実上転じている山中氏や、それを支持する政党に属する市議会議員が、山中氏の専門性や研究業績に関する評価を含む公文書の発出を、大学側に要求したことが事実であるならば、本件は明白な大学の自治の侵害に当たる。

*学内文書発出の強要で露わになった山中氏の「パワハラ体質」*

 山中氏が、前記のフラッシュの記事にいかに反論しようと、抗議しようと、なりふり構わず、相手の立場の心情への配慮を欠く「パワハラ体質」であることは、上記の2つの理事長。学長名の文書の発出の経過、内容の比較から明らかであろう。

 このような人物が万が一横浜市長になったりすれば、横浜市のコンプライアンスの崩壊、と横浜市職員に塗炭の苦しみを与え、横浜市民や地域社会の要請に応える上で著しい支障が生じることは明らかだ。

 私は、「菅支配」の完成・盤石化につながる「小此木市長」を阻止するとともに、「山中市長」を阻止する活動に全力を挙げていこうと思う。

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私が横浜市長選にこだわり続ける3つの理由、「民意」「支配」「適格性」

8月8日告示、22日投票予定の横浜市長選挙は、10人が出馬表明する(一人は撤回)という大混戦になっている。今年7月6日まで、横浜市コンプライアンス顧問を務めていた私も、既に記者会見で、立候補の意志を持って政治活動を行うことを表明している。

しかし、告示が近づくにつれ、多くの立候補予定者の中から「主要候補」が次第に絞り込まれつつある。マスコミでは、現職の林文子市長、自民党市議の大部分が支持する小此木八郎前国家公安委員長、立憲民主党が推薦し共産党も支援する山中竹春元横浜市立大学医学部教授の3人が主要候補として扱われ、他の立候補予定者の中でも、田中康夫元長野県知事・元衆院議員、松沢成文参議院議員(元神奈川県知事)などとは異なり、公職選挙に初めて挑戦することになる私については、そもそも、政党・団体の推薦も支援も全くないのに、どうやって選挙戦に臨むのか、と思われているようだ。

こうした中、7月26日に、横浜市役所の会見室で、市政クラブによる私の「横顔会見」が行われた。

立候補予定者個人のプロフィールを中心に質問する場とのことだったが、私の場合、「主要候補」と扱われているわけでもないので、むしろ、政党・団体の推薦も支援も全くないのに、私が、なぜ、全くの私費で選挙資金を賄ってまで、立候補しようとしているのか、なぜ、それ程までに、横浜市長選挙にこだわるのか、という点を、最初に話しておいた方がよいと考えた。以下は、その点についての私の冒頭発言と、それに関する記者の質問に答えたものだ。

なぜ横浜市長選に戦いを挑もうとしているのか

私が、なぜ現時点においても横浜市長選に戦いを挑もうとしているのか、理由は、概ね三つに集約されてきたと思いますので、その点についてお話をしたいと思います。

まず、第一に「民意」、第二に「支配」、第三に「適格性」、この三つが、私が自ら挑まなければならないと考えた理由です。

市民に意見を問うこと、「民意」を確認することが不可欠

まず第一の「民意」の点ですが、今回の市長選は横浜へのIR誘致の是非が最大の争点になると言われてきました。この問題について、私はすでに私の考えをYahoo!ニュースなどでも書いていますが、一貫して言ってきたことは、IRを誘致すべきかどうかという議論に関して民意を問うということが決定的に欠落しているということです。

地方自治は基本的には市民から選ばれた「市長」そして「市議会」両方の二元代表制によって市政が営まれていく、これが原則です。しかし、市民の暮らしに、そして市の将来に重大な影響を与えるような事項については、その最大のステークホルダーである市民に意見を問うこと、「民意」を確認することが私は不可欠だと考えています。

IR誘致の問題、カジノ付きの巨大施設を横浜に誘致するかどうかの問題は、まさに「民意」を問うべき問題です。ところが19万筆を超える署名を提出して直接請求が行われたにもかかわらず、住民投票条例は否決され、住民投票はまったく実施されないまま、横浜市ではIR誘致に向かって手続きが進められ、既にその最終段階に近いところに至っているわけです。

私はこの市長選においても、IRの誘致について「民意」を問うことの是非が最大の争点とされるべきだと思っています。市長選でIR賛成か反対か、どちらを掲げた候補が当選するかで一刀両断的に事を決めるべきではないということは、私がずっと言ってきたところです。しかし、殆どの候補が市長選で、IR誘致への賛否を問おうとしている。

市長選後に住民投票条例を市議会に提出して、なんとか可決成立に持ち込んで住民投票を実施すべきだと言っているのは私だけです。この点において、私は、自分自身が市長選後の住民投票を掲げて市長選に立候補することが不可欠だと判断しています。

「菅支配」から横浜市政を市民の手に取り戻す

そして、二番目に「支配」、これは重点政策の中でも掲げた、横浜市に対する政治的支配の問題です。ひとことで言えば「菅支配」です。

横浜における最大の政治権力者である、現在の総理大臣でもある菅義偉氏という政治家に、これまで横浜市の市政行政は非常に大きな影響を受け、事実上「菅支配」とも言える状況が続いてきた。重要な意思決定は基本的に菅氏の意向に従う形で行われてきた。

私はコンプライアンス外部委員、コンプライアンス顧問として14年間横浜市の行政に関わってきました。その中では、直接横浜市の事業などの意思決定に関わったり、それについて相談を受けたりしてきたわけではないので、具体的にどのように菅支配の状況が生じているのかということは、私自身が直接体験したことではありません。

しかし、実際にそういう状況にあるということは、私はこれまでにも様々な人から話を聞いていますし、その点はおそらく間違いないだろうと思います。今回のこのIRの問題もそうです。そして、2027年に瀬谷地区で行われようとしている花博の問題も、私は、「菅支配」が事実上方向を決定づけているという問題だと思っていますし、そのことが、横浜市民を置き去りにして横浜市の市政行政が行われてきた、これまでの実態を象徴していると考えています。

そういう「菅支配」から横浜市政を市民の手に取り戻すためには、市長自身がまさに盾になってそういう政治権力に対抗しなければならない。おそらく、それができるのは今の候補者の顔ぶれの中では、私だけではないかと考えています。

このまま山中丈春氏が野党側の有力候補になることを放置していいのか

三番目に「適格性」の問題です。

これについては、これまでの出馬表明の記者会見のなかでもお話をしてきました。私は野党第一党、最大野党である立憲民主党が推薦をしている山中竹春氏が市長に相応しい人物なのであれば、そして政策面でも一致するのであれば、候補者が重複して自民党側を利することがないように、私自身は身を引くということは申し上げてきました。

しかし、残念ながら立憲民主党側、山中氏側の対応、私の公開質問状に対する回答の内容、対応をみると、凡そ山中氏が市長に相応しい人物だとは思えない。そういうことを理由に、私はやはり立候補の意思を固めざるを得ないということはこの場でも申し上げましたし、他の手段でも発信をしてきました。

そういった私の方に、山中氏はこういう人物だ、ということについて様々な情報が寄せられています。私はかつて23年間検察官として刑事事件で様々な人間を見てきました。詐欺事件も捜査公判に携わってきました。そういった経験に照らして考えたとき、私はこの出馬意思を固めたときよりも、むしろ明確に、山中氏は横浜市長に相応しくない人間であるということを言えると思います。

そのことを立憲民主党サイドには再三申し上げてきたし、ブログでも書きました。多くの人が、そこで書いた立憲民主党の候補者選定の経過に呆れ果てています。しかし、それにも関わらず、野党側の支持支援、推薦は山中氏の方に一本化されつつあり、連日街頭での活動が続けられて気勢を上げているという状態です。

私は本当にこのまま山中氏が有力候補になっていく、野党側の有力候補になっていくということを放置していていいのか、ということを真剣に考えています。

具体的に言いますと、まず、山中氏が立候補にあたって、自分が市長を目指す理由に関して、「データサイエンティスト」だと言っていますが、私はこれは事実上、嘘だと思います。彼にはデータサイエンティストとしての特別の素養、専門性があるとは思えません。それは彼が自分自身の経歴について、非常に曖昧な言い方をしているということにも関係します。彼にデータサイエンティストとしての専門性があるのかどうかということについても、私は直接情報を得ています。

二番目に、山中氏はIRの問題について、「カジノによるギャンブル依存症の増加、そして治安の悪化というのはデータから明らかだ」と明言しましたが、そのデータが、データ上の根拠が何もないということは公開質問状に対する対応、回答から明らかになりました。

IRを誘致すべきでないということに関して、彼が明確な根拠として述べられることは全くないと思います。ですから彼が仮に市長に就任したとしても、なぜIRを誘致してはならないのか、これまで進めてきたIRの誘致をなぜこの最終段階においてひっくり返さなければいけないのかということについて、明確な根拠を市議会で説明することは困難だと思います。

当然のことながら、IRを推進してきた市の執行部には、誘致すべきということの根拠しかありません。山中氏をサポートすることは極めて困難だと思います。

そして三番目、もう一つの山中氏の売りとして、自分はコロナの専門家だと言っています。これも嘘です。彼にはコロナという感染症に関する専門性は何もありません。

中和抗体について、ワクチンを打った人が1年後も中和抗体が持続しているという研究成果を発表した、それが唯一のコロナ対策に関する売りなのですが、この中和抗体に関する研究を行ったのは別の教授です。彼はそれを統計的に纏めて、広報活動をしたに過ぎません。コロナの専門家だというのは事実に反します。

ということで、今山中氏に関しては市民に、有権者に対してアピールしている内容と実体が著しく異なります。

私は今までコンプライアンスの専門家として、そして元々は検察官の経験に基づいて、様々な意見を言ってきました。様々な視点をしてきました。そういう私にとって、このような山中氏という人物が野党の有力候補として、今市民に市長選で選択される可能性がある状況を放っておくことはできないと考えた次第です。

以上述べたように、「民意」、「支配」、「適格性」、この三つが私が市長選に拘り続ける理由です。私の方からは以上です。

記者との質疑応答

(記者からの質問)

選挙戦にあたっては手足のない郷原さんはどうやって戦っていくのか。

(回答)

私としては、私が言っていることの独自性、私しか言っていないことをどれだけメディアのみなさんが取り上げてくれるのか、ということに注目しています。

たとえば、市長選後の住民投票というのは殆どまだマスコミのみなさんあまり重要な争点として取り上げていないのではないですか。

ご存知のように、藤木幸夫さんが会長の未来構想会議の候補者討論会が本来行われるはずだったのが取りやめになりましたね。取りやめになって基調講演二つと斉藤勁さんの提言の説明があって、その中で二番目の基調講演では市長選後の住民投票について、成蹊大学の武田真一郎成蹊大学法科大学院教授が話をされて、斉藤勁さんが五つの提言の前に、未来構想会議としては住民投票条例を市議会に提出するということを提言として市長候補に求めたいと、それについての意見も聞きたい、それだけではなく、もしIRに反対をしているのに住民投票はやらないというならば、どうやってIRを取りやめるのか、中止するのか、そこのやり方についても聞きたいと明言されています。

有力な団体の事務局長がそのように言われている。ところが全然そのことが報道されていないし、取り上げられてもいない。

私が散々ブログなどにも書いているように、IRの誘致の是非ではなく、住民投票をやるかどうか、やらないならばどういう方向でやらないのか、ということの方が最大の争点だと思っています。そうなると私がこれまでに言ってきたことそのものなのです。そういうことが取り上げられれば、当然私も議論の土俵に乗って来ざるを得ないのではないかと思っています。それと、菅支配の実体、これはまだ具体的に明らかにしていません。今後具体的に明らかにしなければいけないなと思っていますが、横浜市民にとってものすごく関心が高い問題ではないですか。自分たちの横浜市で一体どうやって物事が決められているのか、という話ですから。

そういうことについても当然発信を続けていきたいと思っていますし、それをメディアのみなさんがどういうふうに取り上げるのかという問題です。

それから三番目の「適格性」の問題も、みなさん取材されればすぐわかるはずです。

是非この場に山中さんが来られた時には、今日私が指摘した三つの問題を是非訊いてもらいたいと思います。彼はどう答えるのか、彼を知る人が私に言ってきているのは、是非公開の場で討論してくださいと。直ちにわかりますと。彼の人間性と彼が言っていることが本当なのかどうかということが、直ちに分かりますと言っています。

彼は、今まで横浜市立大学でも、そういう公開の場での討論をずっと避け続けてきたらしいですね。今回もなぜ未来構想会議の討論会が中止になったのか分かりませんが、ひょっとするとそれが関係しているかもしれない。だとすると、今後も一切討論の場に出て来ない可能性がある。そうするとみなさんが質問するしかないではありませんか。

そういう当然メディアでも問題になるべきだということが問題になっていけば、私が言っていることが他の候補とは全然違うことを言っているのだということもわかってもらえるのではないか、なぜ私が横浜市長選挙にこだわるのかということも、わかって頂けるのではないかと思っています。

※会見の様子を動画でもご覧いただけます。

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横浜未来構想会議の提言で示された「横浜市長選後の住民投票」は“大きな流れ”となるか

今年8月8日告示、8月22日投票予定の横浜市長選挙に、現時点で10人が出馬を表明している。最大の争点と言われている横浜市へのIR誘致への賛否については、8人が反対、賛成は、現職の林文子主張と、福田峰之氏の2人のみである。反対の8人のうち、小此木八郎氏、山中竹春氏、田中康夫氏の3人は、当選後、ただちに中止・撤回することを打ち出している。

私は、自分自身としてはIRに反対とした上、選挙後に、住民投票条例を市議会に提出し、住民投票で市民の意見を確認した上で、IR誘致の是非を最終決定すること、すなわち「住民投票による決着」を掲げている(【横浜IR、住民投票による決着が不可欠な理由】)。

IR誘致と住民投票をめぐる議論は、新たなステージへ

7月20日に、10人目となる出馬表明を行った松沢成文参議院議員は、カジノ反対を明言した上、「カジノ禁止条例」を公約に掲げた。松沢氏も、IR誘致に反対を掲げて市長選挙で当選するだけではなく、条例案の市議会への提出と、可決成立というプロセスが必要だとする点では私と同様だが、提出する条例案が、松沢氏は「カジノ禁止条例」、私は「住民投票条例」であるところに違いがある。

このように、横浜IR誘致をめぐっては、市長選の出馬表明者の中で様々な意見がある中、横浜港湾協会前会長の藤木幸夫氏が会長を務める「横浜未来構想会議」が、昨日(7月22日)、オンラインでシンポジウムを開催した。そこでは、武田真一郎成蹊大学法科大学院教授が、「新市長はIR(カジノ)住民投票の実現を」と題して講演し、

「カジノ反対そのものを選挙公約にすることも考えられるが、横浜の住民自治の発展のためには住民投票を契機として市民がこの問題を熟慮することが望ましいと思われる。住民投票実施を公約とする候補者が市長に当選すれば、もちろん市議会は市長選で示された民意を尊重して住民投票条例を可決する政治的な義務を負うことになる。」

との見解を示した。

それを受け、シンポジウムの最後では、斎藤勁事務局長が、同会議の提言「横浜再生の基軸」に、「市長選後の、住民投票条例の市議会への提出」を追加することを同会議の役員会で決定したと説明した。

横浜市長選が、半月後に迫る中、IR誘致と住民投票をめぐる議論は、新たなステージに入ったと言うべきであろう。

反対派候補者間の意見の違いと、IR誘致を中止に追い込むことの「確実性」という観点から、議論を整理する

昨年12月、横浜の市民団体がIR誘致に反対して住民投票を求め、19万筆を超える署名を集めて議会に提出した。それを受けた今年1月の議会では、住民投票条例案は否決されたが、世論調査の結果等から、横浜市民の民意は「IRに反対」との見方が一般的だ。

しかし、林市長が2019年にIR誘致の方針を明らかにして以来、市議会での議論を経て、関連する予算が成立し、事業者の公募が開始され、資格認定も行われて、今年の夏か秋に事業者を選定して、区域実施計画を国に提出する、という段階に至っている。

IR誘致に反対する立場からは、横浜市民の民意に反するIR誘致をストップさせ、中止に追い込むことが市長選における最大の目標であることは明らかだ。

それを前提に、反対派候補者間の意見の違いと、IR誘致を中止に追い込むことの「確実性」という観点から、議論を整理しておくこととしたい。

前提として重要なことは、日本の地方自治体では、首長と議会議員を、ともに住民が直接選挙で選ぶという「二元代表制」がとられており、市長と議員の双方が民主的な基盤を持っているということだ。

市長選挙は、その一方である市長を選ぶ選挙だが、もう一方の市議会議員も、それぞれの区ごとに選挙という民主的手続きによって選ばれる。市長選の結果がどうであれ、IR誘致に対する市議会の賛否は、基本的に変わらないという状況を想定しておく必要がある。市議会の自民・公明両党が、これまで、IR誘致に反対する署名や世論調査の結果にもかかわらずIR誘致を推進してきたこと、IRを推進してきた内閣の一員だったにもかかわらず閣僚を辞任し、IR反対を掲げて出馬表明した小此木八郎氏の推薦を、市議会自民が見送り、自主投票としたことなどからも、市長選後においても、市議会が「IR誘致賛成」が多数を占める状況に、基本的に変わりはないことを想定すべきであろう。

そこでまず問題となるのが、反対派の出馬表明者8人のうち3人が掲げる、「反対派候補の当選によって、ただちにIR誘致撤回・中止を宣言し、現市長が予定していた事業者選定、区域実施計画の国への提出を行わない」という「市長選での決着」をめざすことで、IR誘致を中止に追い込む「確実性」があるのかという点だ。

IR誘致反対を掲げる候補者が乱立する状況においては、市長選挙の結果を受けての横浜市の対応が、IR誘致についての民意を反映したものにならない可能性が相当程度ある。

まず、賛成派の林文子市長が僅差で当選した場合、予定どおりIR誘致が進められることは言うまでもない。一応「IR取り止め」を掲げている小此木氏が当選した場合も、その理由は「IR誘致の環境が整っていない」ということなので、「その後、コロナ感染収束によって環境が整ってきた」などとの理由で、IR誘致を実施する方向に転じる可能性も十分にある。

「市長選での決着」を図ろうとすれば、市長選後の横浜市が、「IR誘致反対多数」の民意に反して、実施の方向に向かうリスクが相当大きなものとなることは避けられない。

また、IR反対派の候補が当選し、実際にIR誘致撤回・中止を打ち出した場合も、話は単純ではない。前述したように、これまでIR誘致を推進してきた市議会自民・公明両党の意見が変わらないとすると、市長選後の市議会では、それまで市長と市議会との間で重ねられてきたIR誘致実施の方向の議論を覆して不実施の方針に転じることの理由の説明が求められることになる。

その際、新市長は、IR誘致を実施すべきではないとする理由について、どのように述べるのであろうか。山中氏が「IR即時撤回」の理由としているのは、「ギャンブル依存症の増加、治安の悪化がデータによって明らかだ」ということであり、当選して市長に就任しても即時撤回の理由を同様に説明するのであろうが、それが根拠に基づかないものであることは、私の公開質問状への立憲民主党側の対応で明らかになっている(【横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を】)。

田中康夫氏の現時点でのIR反対の理由も、「カジノIRは設けないということでコンセンサスがとれている」という程度であり、しかも、そのコンセンサスというのは「各種世論調査」に基づくものに過ぎない。このような説明で、IR誘致推進の自民・公明両党が納得して、IR誘致撤回に同意するとは考えにくい。

通常、市議会での市長を支えるのは市の執行部の役割であり、市長の答弁案も執行部が作成する。しかし、これまで市の行政は、IR誘致推進の方向で、議論と根拠を積み上げてきた。市長選の結果を受け、新市長がIR誘致撤回の方針を打ち出したからと言って、市執行部が一転してIR誘致に反対する十分な根拠を示せるとは考えにくい。結局、市議会で新市長は孤立することになりかねない。山中氏の場合は、SNS上で、支持者の人達がアップしている講演や街頭演説を見る限り、市議会での答弁能力が十分にあるとは思えないし、その点については卓越した能力を有する田中氏については、過去の長野県知事時代の前例からすると、不退転の姿勢が、市長と市議会との対立、市政の混乱につながる可能性もある。

IR誘致反対の方向に市長・市議会が一致して向かうとすれば、どのような方法を採りうるか

そこで、市長選挙の結果を受けて、IR誘致反対の方向に市長・市議会が一致して向かうとすれば、どのような方法を採りうるかである。

その一つが、松沢氏が公約に掲げる「カジノ禁止条例」であろう。

横浜市におけるカジノ設置を禁止する条例を制定することができれば、カジノ付きIR誘致が中止になるのは当然だ。

しかし、果たして、市議会自民党・公明党が、そのような条例案に賛成するだろうか。カジノ禁止条例を定めるというのであれば、条例制定上の根拠・理由が必要となる。それが、一般的にIR反対派が理由とする「ギャンブル依存症の増加」「治安悪化」などであるなら、実質的に容認されているパチンコ・スロット等との関係が問題となる。そのような条例制定が可能だとは思えない。

条例案を市議会に提出したとしても否決される可能性が高い。そうなると、打つ手がないということになるのではないか。

これまでの横浜市の執行部と市議会で重ねられてきたIR誘致をめぐる議論は、形式上は何ら問題はなく、それによって、IR誘致に向けての手続は最終段階に近づいているのである。それを覆す理由があるとすれば、適切な手続によって確認された「民意」以外にあり得ない。だからこそ、市長選後における住民投票という手続が重要となるのである。

「住民投票条例」による住民投票の実施を

そこで、私が掲げるのが「住民投票条例」による住民投票の実施なのである。

私が、市長選挙に当選した場合には、市議会にIR誘致の賛否を問う住民投票条例案を提出する。

それを、市議会が否決する可能性は低いと考えられる。

上記のように、今年1月に19万筆を超える署名提出による住民投票条例案を、市議会は否決した。しかし、その際は、林市長が、条例案について実質的に反対に近い意見を付している。また、市議会での条例案の審議における反対意見は、「まだ事業計画が固まっておらず、住民投票で民意を問うべき段階ではない」というのが、主たる理由だった。

今回、市長選挙後に新市長が提出する住民投票条例案は、まさに、市長選挙の結果を受け、「住民投票を実施すべき」という市長の意見を付し、IR誘致の事業計画の中身も具体的に明示した上で住民投票を行うことを定めるものだ。前回の住民投票条例案とは、前提が全く異なる。

しかも、6月の神奈川新聞の世論調査では、住民投票に賛成する意見は76%と、IR反対意見の71%より多い。市議会自民党にとっても、新市長が市長選後の住民投票を公約に掲げて当選した以上、住民投票条例案に反対することは困難だと考えられる。

それでも、自民党・公明党等の反対で住民投票条例が否決された場合には、新市長として「IR誘致不実施」の決定をすることになる。

市長選でIRに反対の意見を掲げた候補が当選した場合、それまでIRを推進してきた市議会とは対立状況となる。その対立について、住民投票で民意を確認した上で慎重に決定するために住民投票条例案が提出されたのに、市議会がそれを否決するというのは、執行権限を持つ市長に決定を委ねる趣旨と解することになる。新市長は、自らの意見にしたがってIR誘致不実施を決定すればよいということになる。

IRについての区域整備計画の提出は、市長の権限で行うものだ。市長が、それを行わない以上、市執行部は何も行いようがない。市議会では、住民投票条例案を否決し、民意を問うことを否定した以上、市長の決定に異を唱えることはできないであろう。

それによって、横浜IR誘致の問題は完全に決着するのである。

以上述べたとおり、IR誘致をめぐる問題を決着させるためには、市長選後に、事業の内容を具体的に示し、その目的、それが横浜市の将来にもたらすメリット・デメリット等を示し、市民に判断材料を提供した上で、住民投票を行うことが不可欠である。

未来構想会議の提言を受けて、市長選挙でIR反対を掲げる候補は、市長選挙後の住民投票への賛否の意見を明らかにすることが求められることになるだろう。

IR反対を掲げる候補のうち、小此木氏は、出馬会見で、IRを取りやめることの理由としたのは「IR誘致に市民の理解を得られていない」ということであり、「市民の理解の程度」を住民投票によって確認することに反対する理由はない。

松沢氏も、今年2月に「民主的プロセスを経ていない形でIRを強行するのは反対だ」と述べていたものであり、上記のとおり「カジノ禁止条例」が無理筋であることがわかれば、民主的プロセスを経る方法としての住民投票に反対する理由はないと思われる。

また、山中竹春氏は、出馬会見では、「IRは断固反対、即時撤回」と述べているが、一方で、「住民自治」「市民が決めること」を強調しており、推薦する阿部知子立憲民主党神奈川県連会長も、ツイートで、市長選後の住民投票に賛成の意見を示していることからも、前向きな姿勢に転じる可能性は高いと考えられる。そもそも、最適な方法で住民投票を行い、民意を正確に計測することは、データサイエンティストを標榜する山中氏にとって専門領域のはずである。

「市長選後の住民投票条例」が、今後、市長選をめぐる大きな流れとなっていくことを期待したい。

政党、団体には一切頼らず、「横浜市を、菅支配から市民の手に取り戻す」ことをめざし、市民の皆さんと一緒に戦っていこうと思います。是非、ご支援をお願いします。

公式ウェブサイトにてボランティア・寄附募集中! http://nobuogohara.jp

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横浜市長選挙、立憲民主党は江田憲司氏の「独断専行」を容認するのか〜菅支配からの脱却を

7月7日の記者会見で、横浜市長選挙への立候補の意思について、横浜市長選挙への立候補の意志を持って政治活動を行うことを表明(以下、「出馬意志表明」)したが、立憲民主党が推薦候補として擁立している横浜市立大学元教授の山中竹春氏が、野党統一候補として横浜市長となるのに相応しい人物であることが確認でき、私が掲げた重点政策に基本的に賛同するのであれば、立候補の意思は撤回し、山中氏を全面的に応援すると述べ、立憲民主党神奈川県連会長宛ての質問状も公開した。

しかし、その後の立憲民主党側の対応によって、出馬意志の「解除条件」とした「山中氏が市長に相応しい人物であること」「私の重点政策の受け入れ」のうち、前者の条件が充足される余地は全くないと判断せざるを得なかったので、7月16日の記者会見で、その経緯を明らかにし、改めて、明確に市長選への出馬意志を表明した。

同日の会見の内容は、YouTube《郷原信郎の「日本の権力を斬る」》に【7月16日 横浜市長選挙出馬会見】と題してアップしている。

会見では、山中氏批判に加えて、市長選出馬でめざす

  • 横浜市を、菅支配から、市民の手に、取り戻す
  • カジノに頼らない山下ふ頭の活用 生鮮食品市場を中核とする「食の賑わい施設群」フィッシャーマンズワーフを観光の起爆剤に!

についても述べている。後者については、この構想の提案者の市長選出馬表明者である横浜市中央卸売市場の本場で水産仲卸業「金一坪倉商店」を営む坪倉良和氏も会見に参加し、固い握手を交わした。

これまで、一貫して安倍・菅政権を批判し、国会での公述人、参考人陳述や、野党ヒアリングなどで野党側に協力してきた私としては、今回の横浜市長選で、自分自身の立候補によって反自民票が分散して自民党を利することになるのは、決して本意ではない。

しかし、今回の出馬意志表明までの経緯、そして、今回の立憲民主党側の対応等で山中氏について明らかになったことからすれば、私が、敢えて出馬意志を表明するに至ったことも理解して頂けるのではないかと思う。この二つの点について、詳しく述べたいと思う。

出馬意志表明までの経過

私が、立憲民主党側と、最初に、横浜市長選挙について話したのは、今年2月下旬、江田憲司氏がIR反対の統一候補者調整を中心になって進めていることが書かれた「現代ビジネス」の記事を目にして、江田氏と電話で話した際だった。私が、横浜市のコンプライアンス顧問として同市の行政に深く関わっており、市長選にも重大な関心を持っていることを伝えたところ、江田氏は、「参院広島に出馬しないことになった場合には、横浜市長選も考えてほしい」と言っていた。

その後、市長選挙で次々と名前が上がる与党側、野党側の候補者に、市長に相応しいと思える人物が全くいないと思えたこと、不適任の人物が市長に就任した場合に予想される「コンプライアンスへの重大な悪影響」は何とか食い止めたいと考えたことから、6月10日に、江田氏と電話で話し、「市幹部からは私の市長選出馬への期待もあるようだ」と言って、私も出馬を考えていることを伝えた。しかし、江田氏は、「素晴らしい候補者が複数手を挙げていて調整に困っている状況だ」と言っていた。その中には、横浜DNAベイスターズの初代社長の池田純氏も含まれていることを認めていた。

そして6月20日頃、「立憲民主党が横浜市立大学教授の山中竹春氏を、市長選挙に擁立へ」と報じられ、山中氏について、マスコミなどから情報を収集したが、市長に相応しい人物とは全く思えなかったことから、私自身が立候補を真剣に考えざるを得ないと判断し、その直後から、県連会長や党本部選対幹部など各レベルに、「7月6日の横浜市のコンプライアンス委員会までは顧問職を全うしたいと考えているので、市長選挙について自ら表明することはできないが、横浜市長選出馬に向けて覚悟を固めている」と伝えた。

6月24日には、横浜市に、7月6日のコンプライアンス委員会をもって顧問を退任することを申し出て、手続を終え、翌日に、ヤフーニュース記事で【横浜IRをコンプライアンス・ガバナンスの視点で考える】と題して、市長選の最大の争点と目されていた横浜市のIR誘致の是非について、コンプライアンスの視点から私の見解を述べた上、記事の末尾で、7月6日でコンプライアンス顧問を退任することを明らかにした。

そして、7月6日のコンプライアンス委員会の終了をもって、顧問を退任し、翌日に行ったのが冒頭に述べた「解除条件付き出馬意志表明会見」だった。質問状への回答によって、山中氏の市長としての適格性・政策の共通性が確認できれば私は立候補の意志を撤回すると述べているが、逆に、それらが確認できないようであれば、山中氏の擁立を再検討すべきとの趣旨を含んでいた。

このような会見を行うことについては、事前に立憲民主党福山哲郎幹事長とも面談し、質問状も渡していた。質問状を受け取った阿部知子県連会長からも、「必ず書面で回答させます」という丁寧なメールが届いた。

江田氏、青柳氏らとの面談

7月14日、立憲民主党江田憲司代表代行、青柳陽一郎県連幹事長、藤崎浩太郎横浜市議の3人が、私の六本木の法律事務所を訪れ、山中氏に代わって、回答の内容を伝えてきた。

私の第一の疑問は、山中氏は、横浜市立大学教授、データサイエンス学部研究科長、学長補佐の立場にあり、「データに基づく行政」についても提言できる立場にあったのに、なぜ、年度の途中で、突然、その職も、研究も、学生の指導も投げ出して、市長をめざす必要があったのかという点だったが、この点についての合理的な説明は困難とのことだった。

2つ目の質問は、出馬会見等で「データサイエンティスト」を標榜し、「IRによるギャンブル依存症増加、治安悪化がデータから明らか」「データに基づく市政」「データによるコロナ対策」を行うなどとしていたので、それがどのようなものなのか、具体的な根拠と内容を問うものだったが、青柳氏の説明では、いずれも、具体的な根拠や内容はなく、単に、選挙向けに「データサイエンスの教授」の肩書を使っているに過ぎないことを認めざるを得ないとのことだった(江田氏は、私の質問の趣旨の説明に苛立ち、途中、一方的に退席)。

これらの立憲側の説明からすると、独禁法違反行為の一つに、「欺瞞的顧客誘引」というのがあるが、山中氏が行っていることは「欺瞞的有権者誘引」のようにも見える。

そして、山中氏の市長としての適格性に重大な疑問を持たざるを得ないもう一つの事実として、ネットメディア「ニュースソクラ」等で問題を指摘されてきた、昨年8月に吉村大阪府知事らが行った、いわゆる「イソジン会見」で、データ解析者として山中氏の名前が表示されていた問題がある。

山中氏は、記者会見を開いて、「イソジンについての共同研究に加わっておらず、データ解析は行っていない」と述べたが、大阪府の開示文書では山中氏の名前が頻繁に登場し、イソジン会見当日の朝に、グラフ作成に関して研究者の松山医師とメールのやり取りをしていることを窺わせる記載もある。ところが、山中氏は、この件に、いかなる「関与」「協力」をしたのかは全く説明していない。

一方で、山中氏の出馬会見では、同席した江田氏が、山中氏のイソジン問題への関与を指摘するメディアや他の出馬表明者に対する法的措置をちらつかせた。

イソジンの問題は、山中氏にとって、公職選挙への出馬表明に関して強調している「データ専門家」の信頼性に関わる問題だ。ところが、「データ解析を行っていない」と形式的に否定するだけで、関与についての実質的な説明は全くなされていない。地元支援者多数を政府の公式行事の「桜を見る会」に招待していた問題で、当時の安倍首相が、「募ったが『募集』はしていない」と意味不明の答弁したのと同レベルだ。

この点についても、青柳氏と話したが、合理的な説明は全くなかった。

青柳氏は、7月15日夜に私に電話してきて「本当は、郷原先生と一緒になりたいんです。でも私の力ではどうにもなりません」と率直に話していた。

なぜ推薦候補者決定を急がなければならなかったのか

こうして、16日の会見で、私は、横浜市長選挙への出馬の意志を、改めて明確に示すこととなった。

既に述べたように、私自身が、今回の横浜市長選挙に立候補する意思があることは、県連、党本部など各レベルに伝えていた。それなのに、敢えて山中氏の推薦を決定したことについて、青柳氏は、「山中氏は、6月中に出馬表明をしてくれた。郷原先生は、7月上旬まで、コンプライアンス顧問の職務との関係で出馬意志を表明できないということだったので、そこまで待つことはできなかった」と説明していた。しかし、この説明も、全く不可解だ。

山中氏が、出馬会見を行ったのは6月30日、私が「解除条件付き出馬会見」を行ったのが7月7日、その一週間の違いが、なぜそれほどまでに重要なのか。

出馬表明後、山中氏が行っているのは、横浜市内での街頭活動である。

立憲支持者のツイートによれば、以下のように、「8月22日 横浜市長選挙」と明示し、その選挙区の衆議院議員や立候補予定者の名前のノボリや看板を立てて、山中氏が、街頭演説を行っている。

また、江田憲司氏と山中氏の名前と写真を掲げ、「8月22日 横浜市長選挙」と大書した「二連街宣カー」が横浜市内を駆け巡っている。

このような「事前運動」まがいのことを、少しでも早く行うために、山中氏の推薦を決定したのであろうか。

江田氏が擁立しようとしていた池田純氏の顛末

江田氏が、調整中の複数の候補者の一人であることを認めていた池田純氏は、ダイアモンドオンラインの記事【さいたまブロンコス代表の退任から横浜市長選挙出馬の噂まで、その真相と真意について話します】(6月26日)で、次のように述べている。

2021年の1月20日のことです。私に立憲民主党から声がかかりました。今年で任期が満了となる林文子市長と自民党の統括下にある横浜市政に代わるために、横浜市長に立候補してくれないかという要請です。
(中略)
「カジノ反対なら全面的に応援と支援をする」「党を挙げて協力する。選挙資金も数千万円単位で用意するので推薦させてほしい」などなど、権威が欲しい人や、お金や利権に目がない人ならすぐにうなずくような口説き文句かもしれません。しかし、その背景には、立憲民主党が私の背後から横浜市をコントロールしたい、秋まで続く自民党との国政での戦いに横浜市長選を利用したいという意図が透けて見えます。

同記事では、市長選に出馬するか否かは明確に述べていなかったが、その後、公刊予定の著書と池田氏の名前・顔写真を大きく載せたラッピングバスを市内で走らせるなど、出馬への意欲を見せていた池田氏は、7月9日に、ツイッターで出馬しないことを明言した。それにもかかわらず、その直後から、ベイスターズ社長時代の金銭スキャンダルが、週刊誌等で相次いで取り上げられた。

池田氏が上記記事で書いているように、同氏の側から出馬要請を断ったのか、立憲民主側からスキャンダルの表面化を懸念して擁立を断念したのか真偽のほどは定かではない。しかし、少なくとも、6月10日の時点で、江田氏が、池田氏を有力候補の一人と考えていたことは間違いない。

「断固反対、即時撤回」か「住民投票による決着」か

同会見の翌日(7月17日)、山中竹春氏の支援団体などが集まる合同選対会議の初会合が開かれ、カジノ誘致に反対する横浜港ハーバーリゾート協会の藤木幸夫会長が名誉議長として出席。山中氏を全面支援する考えを示したと報じられ、記事の写真の中で、山中氏、藤木氏と並んだ江田憲司氏が、満面の笑みを浮かべている。

藤木氏は、現職閣僚を辞任して市長選に立候補を表明した小此木八郎氏と古くからの親密な関係だと言われており、同じくIR誘致反対を掲げて出馬を表明している元長野県知事の田中康夫氏も、藤木氏と旧知の間柄であることを強調していた。「ハマのドン」と言われる実力者で、横浜市の経済界に大きな影響力を有する藤木氏に、小此木氏でも田中氏でもなく、全く面識がなかった山中氏の「全面支援」と明言させた。江田氏は、藤木氏を味方に引き入れたのは、自分の功績だと言いたいのであろう。

IR誘致について、山中氏は、私が主張する「住民投票による決着」ではなく、「断固反対、即時撤回」を強調している。それは、市長選を「IR反対のための選挙」として位置づけてきた江田氏らの方針によるものであろう。

しかし、私が、コンプライアンス顧問在任中から指摘してきたように(【横浜IRをコンプライアンス・ガバナンスの視点で考える】)、IR誘致について横浜市の方針を変更するとすれば、その理由は「民意」しかあり得ない。それを確認する方法は、市長選挙の結果だけではなく、「住民投票による決着」によるべきだ(【横浜IR、住民投票による決着が不可欠な理由】)。

神奈川新聞の世論調査の結果によれば、IRに関する住民投票については、賛成が76%を超えている(IR反対の71%を上回っている。)。立憲民主党阿部知子県連会長も、「郷原さんの主張について、とりわけIR誘致をめぐる住民投票の必要性に賛成する。」とツイートし、住民投票についての私の主張に賛成と明言してくれている。

山中氏の立場に立って考えたとしても、そもそも、住民投票を否定し「IR即時撤回」と主張していることは、政策として掲げている「住民自治の確立」「デジタル技術の活用と現場を重視した市民の声を直接聞く仕組みを創設」とは整合しないように思える。

住民投票を否定し「IR即時撤回」にこだわるのは、江田氏個人の意見の押しつけとしか思えない。

山下ふ頭の活用としての「新中央卸売市場」と「食の賑わい施設」

そして、重要なことは、この「住民投票」で何を問うかである。これまでの議論は、IRがもたらす経済的・財政的メリットと、社会的デメリットを比較して、「山下ふ頭へのIR誘致の是非」だけを問うというものだった。IR賛成派は、山下ふ頭にIRを誘致することにより、観光産業の活性化を図り、カジノ収入を今後の横浜市の財政を支えるための収益源とするというIRの経済的メリットを強調し、一方のIR反対派は、カジノを含むIRは、ギャンブル依存症の増加、治安の悪化を招くなど、横浜市の社会と市民に重大な弊害をもたらすことを強調してきた。

しかし、果たして、横浜市が、カジノ賭博での「負け金」を当てにしなければ、将来の市民の生活すら維持していくことすらできない、という情けない状況だということを前提にして考えるべきなのだろうか。

歴史と伝統のある、日本でも「住みたい街」のランキングでも上位に入る横浜市には、本来、都市としての大きなポテンシャル、大きな可能性があるはずだ。今、それを横浜市民が全力で考えていくべき局面ではないだろうか。

そこで、山下ふ頭へのIR誘致の対案として、私達が考えたのが《生鮮食品市場を中核とする、市民と国内外の観光客が集う「食の賑わいと楽しみ」の施設群》を山下ふ頭に建設する構想だ。

現在、瑞穂ふ頭の少し陸側に、孤立して所在している「中央卸売市場」を、山下ふ頭に移転する。そして、その周辺の膨大な土地を、フィッシャーマンズワーフ、ファーマーズマーケット等の「食の賑わいと楽しみ」の施設に活用するのである。

かつて、日本で「食の賑わいの場」と言えば、東京・築地だった。しかし、築地市場は、豊洲に移転され、今では、無機質なコンクリートの塊の「豊洲市場」があるだけだ。豊洲に東京都が計画していた「食の賑わい施設」の計画も挫折した。

東京が失ってしまった「食の賑わいと楽しみの拠点」を、横浜・山下新市場を中心に築き上げていこう、アメリカ西海岸のサンフランシスコにあり、カジノを持たない観光地サンフランシスコの観光の拠点となっている「フィッシャーマンズワーフ」に、私達がめざすべき、横浜の未来があるのではないか。

我々は、この選択肢を、IR誘致の対案として示したい。住民投票は、決して、「カジノに頼らざるを得ないかどうか」を問うものではない、横浜市民にとって、もっとワクワクするものを提示したい。

現時点での提案は私の政治活動用webサイトにPDFで掲載しているので、ぜひご覧いただきたい。
《食のライブマーケット構想〜生鮮食品市場を中核とする、市民と国内外の観光客が集う「食の賑わいと楽しみ」の施設群》

立憲民主党は、江田氏の行動を容認するのか

私は、「横浜市を、菅支配から、市民の手に、取り戻す」というスローガンを掲げ、政党・団体の支援も協力もなく、費用も自費で、これから募集するボランティアの協力だけで選挙の準備を行っていこうと思う。私の横浜市への思いは、きっと横浜市民に届くものと確信している。

阿部県連会長も、青柳幹事長も、そういう私の思いや主張は十分に理解してくれているように思える。しかし、江田氏の「独断専行」ですすめてきた同党の横浜市長選挙への対応は、全く真逆である。そこには、「菅支配と戦おうとする姿勢」は全く見られないし、横浜市のことを真剣に考え、横浜市長に相応しい人物を擁立しようとしているとは思えない。

これまで述べてきた経緯と山中氏に関する問題を踏まえ、立憲民主党は、横浜市長選挙への対応を真剣に見直すべきではなかろうか。

菅政権のコロナ対策、オリンピック開催をめぐって、国民の不満・反発は頂点に達しつつあり、内閣支持率が30%を割り込む世論調査結果も出てきている。まさに、内閣は崩壊の危機にあるのに、一方の野党第一党の立憲民主党に対する支持率は一向に高まらない。

今回の横浜市長選挙への対応は、立憲民主党にとって「菅政権に対立する勢力としての真価」が問われるものと言えよう。国民の期待が一向に高まらない同党こそが、自民党安倍・菅政権の延命の最大の要因となっていることを、改めて認識すべきであろう。

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横浜IR、住民投票による決着が不可欠な理由

昨日(7月12日)、【横浜市長選挙を通して、「住民投票」と「候補者調整」の意義を考える】と題して、私自身も出馬意志を表明している横浜市長選挙の主要な争点である「IR誘致の是非」について、住民投票を実施することの意義について述べたところ、立憲民主党神奈川県連会長の阿部知子氏が、以下のツイートで、私の意見に賛同してくれた。

私の言わんとするところを十分に理解して頂き、大変心強い限りである。

 私は、6月25日に出したヤフーニュース記事【横浜IRをコンプライアンス・ガバナンスの視点で考える】でも、地方自治体のガバナンス、コンプライアンスの視点から、横浜IRについては、市長選挙において、賛成派・反対派のいずれが勝利を収めるかということだけで、一刀両断的に決めるのではなく、事業の内容を具体的に示し、その目的、それが横浜市の将来にもたらすメリット・デメリット等を示し、市民に判断材料を提供した上で、住民投票を行うことが必要であると指摘してきた。

 マスコミの世論調査等で、IR誘致への反対が多数を占めていると報じられていることを意識してか、IR反対を掲げる出馬表明が相次ぎ、自民党の現職閣僚だった小此木八郎氏までもが、「市長に就任したらIRを取りやめる」などと述べて出馬表明をしたが、IRを推進してきた自民党市議会議員から強い反発を受け、自民党横浜市連は、自主投票を決定した。

 IRを推進してきた現職の林文子市長も、今週中には出馬表明をすると見られている上、本日の記事で、前神奈川県知事の松沢成文氏も出馬の意向と報じられるなど、市長選の状況は、ますます混迷を深めている。

 このような状況下においては、横浜市へのIR誘致の問題の決着には住民投票を行うことが不可欠だ。そう考える理由を、改めて整理することとしたい。

選挙の結果は、必ずしも民意を反映しない

第1の理由は、市長選挙の結果で、IR誘致の是非を決めると言っても、現在の市長選をめぐる状況では、選挙の結果が、IRの賛否についての民意を反映するものになるとは限らないことである。

現在までに出馬表明している8人、出馬の意向と報じられている2人の合計10人の立候補予定者のうち、IR反対を明言しているのが8人、それに対して、IR賛成派は、現職の林市長と、出馬表明ではニュートラルとした上、その後に賛成を表明した福田峰之氏のみである。しかも、前回の市長選挙で、出馬表明前まで菅義偉内閣の一員としてIRを推進する立場にあり、カジノ管理委員会の委員長も務めていた小此木八郎氏については、前回市長選挙で、林市長が、「IRは白紙」として当選した後、2年後にIR誘致の方針を打ち出した前例が引き合いに出され、「IR反対を掲げて当選した後に、時機を見てIR推進に転じる可能性」が指摘されている。

このような状況で市長選挙が行われた結果、仮に、僅差で林市長が当選したとしても、選挙結果で「IRの賛成」の民意が示されたとは言えないことは明らかであり、また、小此木氏については、「IR反対・取りやめの言葉を信じてよいか」という同氏の言葉への信頼性がもっぱら評価の対象になるのであり、仮に、小此木氏が当選したとしても、それを「IR反対」の民意と見做して良いかどうかは微妙だ。

結局、現在のような市長選の状況では、選挙結果を「IR誘致についての民意」と受け止めることは到底できないのである。

従来の議論での最大の論点は「住民投票実施の是非」だった

第2に、IR誘致に関する横浜市での議論の経過を見ても、最大の論点が「住民投票を行って、民意を問うべきか否か」であったのは明らかだ。IRに反対する市民運動では、住民投票を求める法定数を超える19万筆以上の署名が提出されたことを受け、市議会に住民投票条例案が提出されたが、否決された。一方、IRを推進しようとする林文子市長のリコールを求める署名は9万筆にとどまり、法定数に達しなかった。IRをめぐる問題では、住民投票を求める意見は市民から一定の支持を得たが、市長を解職すべしとの意見は、市民の多数とはならなかった。

住民投票条例を審議した市議会の議事録によれば、「住民投票を行うことの是非」について、自公両党からは否定する意見、立憲民主、共産等からは肯定する意見が出され、それぞれ、相応の論拠に基づいて議論が行われた結果、条例は否決されている。ここで、自公側が住民投票実施反対の主たる理由としたのは、わが国の法制度上、住民投票という方法によって民意を問うことには限界があること、その時点ではIRの事業計画すら明確になっておらず、住民投票で民意を問う段階に至っていないことであった。

後者の理由については、その後、設置運営予定事業者の公募、事業者からの事業計画案の提出も終えているのであるから、現時点では、住民投票で市民に判断を求めるIRの事業内容は具体化している。また、前者の、「住民投票を行うこと自体の意義」は、地方自治における二元代表制の下で、直接民主主義をどの程度に活用していくのかという問題であり、まさに、市長選挙で市民に意見を問うべき重要論点である。

市長選への出馬表明者、今後出馬表明をすると報じられている人について見てみると、現時点で、住民投票をすべきと明言しているのは私だけだが、他の出馬表明者も、「民意」の確認を重要視していることは間違いない。

小此木氏が、出馬会見で、市長に就任したらIRを取りやめることの理由としたのは「IR誘致に市民の理解を得られていない」ということであり、「市民の理解の程度」を住民投票によって確認することに反対する理由はない。出馬の意向と報じられている松沢氏も、今年2月に「民主的プロセスを経ていない形でIRを強行するのは反対だ」と述べていたものであり、民主的プロセスを経る方法としての住民投票に反対する理由はないと思われる。また、山中竹春氏は、出馬会見では、「IRは断固反対、即時撤回」と述べているが、一方で、「住民自治」「市民が決めること」を強調しており、冒頭で述べたように、山中氏を推薦する立憲民主党の阿部知子県連会長が、住民投票に賛成の意見を示していることからも住民投票に前向きな姿勢に転じる可能性は高いと考えられる。データサイエンティストとしての山中氏にとって、最適な方法によって住民投票を行って、民意を的確に計測することの提案は、まさに専門家としての面目躍如ではないかとも思える。

結局のところ、IR誘致についての住民投票を明確に否定しているのは田中康夫氏だけである。しかし、「IR誘致への反対の市民のコンセンサスが得られている。市長選挙は住民投票を含む」とする同氏の見解が誤っていることは、【横浜市長選挙を通して、「住民投票」と「候補者調整」の意義を考える】で既に述べたとおりである。

 IR誘致反対の出馬表明者にとっては、住民投票実施を公約に掲げることは、これまでの発言からも親和性のある対応と言えるのである。

新市長による「IR撤回」が市議会との対立を招く可能性

そして、第3に、市議会との関係である。

日本の地方自治体では、首長と議会議員を、ともに住民が直接選挙で選ぶという二元代表制がとられており、自治体の意思決定は、首長と議会に委ねられている。そして、それについて、首長と議員との間で、様々な面から「熟議」が行われることが前提とされている。

市長選挙で「民意」が示されたとして、市長がIR誘致を撤回することは法的には可能であるが、それに関して、市議会で議論が行われることは必至だ。今回、IR反対を掲げて出馬表明を行った自民党県連会長の小此木氏に対して自民党の市議会議員が反発し、自主投票になったのは、多くの自民党市議の支持者がIR推進派であり、IR反対に転じることは支持者に対する裏切りになるからであろう。このような自民党市議としては、新市長がIR誘致を撤回すると言っても、それに唯々諾々と従うわけにはいかない。市議会では、なぜ、IR誘致を撤回すべきと考えるのか、徹底追及が行われることは必至だ。

その際、これまで、市の執行部と市議会で行ってきた議論を覆す十分な根拠があるのかが問題になる(それが、私が、立憲民主県連会長宛ての質問状で、「IR即時撤回」を掲げる山中氏が、その理由としているギャンブル依存症の増加、治安の悪化がデータによって明らかだ」としていることについて、データ上の根拠を問い質している所以である。)。

新市長が、十分な根拠もなくIR誘致即時撤回の方針を強行しようとすれば、市議会の多数を占める自公両党との対立が深まるのは必至である。それは最終的には、不信任決議案の可決という事態に発展する可能性も全くないとは言えない。

コロナ禍で多くの市民が、その暮らしや仕事に大きな影響を受け、コロナ対策が市政の最重要課題となっている中、市長と市議会の対立による市政の混乱は、絶対にあってはならないはずだ。

そういう意味でも、IR誘致の是非について、住民投票で民意を問うことについて、市長選挙で市民の意向を確認すること、市長選挙後に合理的な方法の住民投票で民意を正しく把握し、その民意実現のために、市長と市議会が協力し、IR問題を決着させることが、市民にとって最も望ましい方法と考えられるのである。

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横浜市長選挙を通して、「住民投票」と「候補者調整」の意義を考える

2021年7月8日、作家で元長野県知事、元参議院議員、元衆議院議員の田中康夫氏が、横浜市内のホテルで、横浜市長選への出馬表明の記者会見を行った。

その会見で、田中氏は、前日に私が行った同じ横浜市長選への「出馬意志表明会見」を意識したと思える発言がいくつかあった。いずれも、私の主張を批判的に取り上げたものだが、それらには、今回の市長選で最大の争点とされてきた横浜へのIR誘致の是非に関する意思決定の在り方や、公職選挙、とりわけ首長選挙における候補者調整の在り方について重要な論点が含まれている。

IR誘致の是非を住民投票で決着することの是非

第1に、田中氏は、

「IRについては、各種世論調査で、IR誘致への反対の市民のコンセンサスが得られている。市長選挙はIRについて市民の反対の意思を確認するものであり、住民投票を含むものだ。市長選後に、巨額の費用をかけて住民投票を行うべきだというのは誤っている。」

と言っている。

しかし、現在の市長選挙をめぐる状況を見る限り、選挙結果でIRについての市民の反対の意思が示されることになるとは限らない。

田中氏は、「当選すれば、問答無用でIR誘致は取りやめる」、ということであろう。しかし選挙結果は必ずしもそうなるとは限らない。既に、7人が出馬表明しており、そのほとんどは「IR反対」を掲げている。今後、IRを推進してきた現職の林文子市長も4選をめざして出馬を表明すると言われている。「IR反対」候補が乱立する中、IR推進を掲げる林市長が僅差で当選した場合、全体としては、市民の圧倒的多数が「IR反対」候補に投票したのに、選挙結果は「IR賛成」側の勝利ということにもなりかねない。

また、各種世論調査の結果だけで、「IR誘致反対についてのコンセンサスが得られている」と言えるのかも疑問だ。世論調査で、IR反対の意見が多いことは確かだが、民意を正しく反映したというためには、横浜市がIR誘致の理由としていることも正しく理解された上で、判断が示される必要がある。

それは、主として財政上の理由であり、(1)今後、横浜市でも生産年齢人口の減少等による、消費や税収の減少、社会保障費の増加など、経済活力の低下や厳しい財政状況が見込まれており、そうした状況であっても都市の活力を維持するための財源確保が必要、(2)横浜市は上場企業数が少なく、法人市民税収入が少ない。(3)今後、小中学校の建て替えなど、公共施設の保全・更新に膨大な予算が必要となる、などの事情だ。

そこで、従来、観光客は日帰りが多く、観光消費額が少ない横浜市の観光収入を飛躍的に増やし、IRからの収入で将来の横浜市の財政を賄おうというのである。

これに対して、IR反対派の主たる論拠は、IRに含まれるカジノ賭博によるギャンブル依存症の増加、治安悪化等の負の側面があるとの指摘だ。

これらのIR賛成派、反対派の論拠が正しく示された上で、横浜市民が、IR誘致によって、経済を活性化させ、賭博の収入で将来の市の財政を賄おうとすることの是非について、横浜市民に判断を求めようというのが、住民投票を実施することの意義だ。

かかる住民投票と比較した時、各種世論調査における、「山下ふ頭に、カジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致に賛成ですか、反対ですか」という質問への答が、本当にIR誘致の是非に対する民意を反映するものと言えるのかは、甚だ疑問だ。

本来、地方自治体の首長選挙は、その後の4年間の任期中の市の運営や事業遂行について、市民が基本的に白紙委任する対象となる市長を選ぶためのものだ。4年間の市政を全面的に委ねるに相応しい能力・資質を持ち、人格的にも信頼できる市長を選ぶことが、まず重要であることは言うまでもない。しかも、首長選挙において民意を問うべき事項は、決して単一ではない。4年間の任期において実施の是非の判断を求められる重要施策、事業には様々なものがある。それら全体について適切な判断を行う首長を選ぶのが首長選挙であり、一つの重要施策の是非だけが問われるのではない。

また、住民投票の費用についても、公職選挙法上の「選挙」と異なり、「候補者」はいないのでポスター掲示版が不要であるなど、費用構成は異なるし、仮に、この秋に行われる衆議院総選挙と同じ日程で住民投票を行えば、費用は相当削減できるはずだ。また、そもそも、この場合の住民投票は、市長選の結果に基づいて市議会に条例案を提出して、審議を行うものであり、公職選挙法に基づくものではないので、実施方法についても柔軟に検討できる余地がある。電子投票を導入すること等で大幅にコストを削減することも検討に値するだろう。

IR誘致の是非が、横浜市にとっても、横浜市民にとっても、極めて重要な決定であることを考えれば、「費用がかかるから住民投票は行うべきではない」との立論は成り立たない。

日本の地方自治体では、首長と議会議員を、ともに住民が直接選挙で選ぶという二元代表制がとられており、自治体の運営と意思決定は、基本的には、首長と議会に委ねられている。しかし、当該自治体やその住民に重大な影響を生じさせるような施策や事業の遂行については、その自治体の住民の民意を確かめ、考慮しつつ進めていく「住民自治」の拡大が積極的に行われるべきであり、住民投票をIT化し、効率化することも、そのための重要な手段となる。まさに、横浜市にとって、IR誘致の是非について住民投票によって民意を問うことは、その試金石と言っても過言ではないのである。

首長選挙における出馬意志表明後の候補者調整の意義

第2に、田中氏が、

「公式の場で立候補を表明した後に、一本化の話をするのは開かれた談合のようなもので、民主主義が本来あるべき姿ではない。」

と述べたのは、私が、前日の会見で

「立憲民主党の推薦候補となっている山中竹春氏が、野党統一候補として横浜市長となるのに相応しい人物であることが確認でき、私が掲げた《横浜市政に関する主要政策》にも基本的に賛同して頂けるのであれば、私の立候補の意思は撤回し、山中氏を全面的に応援したいと考えています。」

と述べたことを意識し、批判したものだろう。

田中氏が言うように、「出馬表明後に候補者の人物評価、政策の擦り合わせによる候補者調整を行うこと」は、否定されるべきなのだろうか。

まず重要なことは、公職選挙の告示前の「出馬表明」というのは、あくまで、その時点で、「立候補をめざして活動していく意志の表明」であり、「確定的な立候補の決意表明」ではないということだ。「立候補の決意を固めて選挙での当選をめざす活動」を行うとすれば、「選挙運動」そのものであり、告示後でなければ行えない。告示前に選挙運動を行えば、「事前運動」として違法となる。

そういう意味では、公職選挙で立候補しようとしている者が、告示前に公の場で、明らかに問題がない言い方で「立候補」に言及するとすれば、実際に私が出馬意志表明会見で述べたように「横浜市長選挙への立候補の意志を持って政治活動を行うことを表明します。」ということだけだ。この時点での「立候補」というのは確定的なものではなく、単に、「その意志を持っている」というだけだ。

そして、「立候補の意志を持って行う政治活動」にとって重要なのは、立候補する場合に掲げる政策を検討・公表し、最終的に立候補するかどうかについて、当該選挙区域内での自らへの支持の状況を、有権者の反応や各種調査等で確認すること(「瀬踏み行為」)、他の候補と、政策面での擦り合わせ等を行い、立候補の調整を行うことなどだ。

公職選挙における民主主義のプロセスとしても、立候補者の意志を持つ者が、その意志を表明し、それが固まっていく経過の中で、どこでその意志の表明を行うかについては、様々な考え方があり得る。

国政選挙の場合は、政党中心に候補者の選定が行われるが、自治体の首長選挙等は、政党主導とは限らない。この場合、「立候補の意志を持った者」の存在がマスコミ等で明らかになるのは、出馬意志の表明、すなわち「出馬表明」の時点だ。それによって、出馬表明者の存在と、その属性、政策等が世の中に明らかになる。それ以降、出馬表明者相互間の調整を行うことも可能となり、最終的に、選挙で有権者の選択に委ねられるべき候補者が確定する。それは、地方自治体の首長選挙における民主主義の実現にとって、むしろ望ましいプロセスなのではないだろうか。

今回の横浜市長選挙に関して言えば、私が、出馬意志を表明した7月7日の時点までに、多くの人の出馬表明が行われていたが、その中で、唯一、具体的な政策を明確に掲げたのが、中央卸売市場の山下ふ頭への移転と「食の拠点化」を掲げていた中央卸売組合理事の坪倉良和氏だった。

その坪倉氏の構想に触発された私は、出馬意志表明会見において、市長選での最大の争点とされていたIR誘致の是非について、従来からの「住民投票によって決着すべし」という主張に、選択肢としての「山下ふ頭活用の選択肢としての市場と『食の賑わい施設』」を政策の一つとして加えた。市場関係者である坪倉氏の出馬会見があったからこそ、私は、このような構想を知ることができたのであり、現在、その構想の具体化に取り組んでいる。

自民党側では、現職閣僚を辞任して市長選への出馬表明を行った小此木八郎氏は、「IRは取りやめる」ということ以外に、全く政策を明らかにしておらず、これまでIRを推進してきた自民党側候補の「IR反対表明」に自民党市議団は混乱し、市長選での対応方針すら固まっていないと言われる。

一方、野党側の推薦候補である山中竹春氏は、「IR絶対反対、即時撤回」を掲げているが、それ以外の政策は、「データを活用した行政」という抽象的なものにとどまっており、前記のとおり、私が、横浜市政に関する主要政策に基本的に賛同する場合には立候補の意志を撤回し、全面支援するとしたことを受け、現在、山中氏の陣営でも、私の主要政策について検討が行われている。

私が掲げた主要政策の中の「常設型の住民投票条例を制定し、市民に重大な影響を与える事項について住民投票を実施できるようにする。」という政策を実現するとすれば、IT化等によって効率的に民意を問うことが重要な課題になるのであり、まさに、データサイエンティストとしての山中氏の専門領域だと言える。そういう意味では、私が出馬意志表明で掲げた政策は、山中氏にとっても、政策を具体化する上で参考になるものと思われる。

このように、候補者乱立の様相を呈している横浜市長選挙においても、出馬会見が契機となって、他の候補者の市長選挙に向けての政策が具体化し明確になり、それによって、立候補の時点で政策がさらに成熟したものとなることが期待できるという状況になっているのである。

「開かれた談合」としての候補者調整を否定する田中氏の見解

田中氏が言う「出馬表明後の候補者調整」が、「開かれた談合」であるというのは、まさにその通りであるが、談合の温床と言われたのが「ダム工事」であり、「脱ダム宣言」の田中氏であるから、「談合は徹底排除」ということなのであろう。

しかし、「談合」は、私にとっても、最大の専門事項の一つだ。法務省法務総合研究所研究官や現場の検察官として捜査で取り組んできたのが、公共工事をめぐる談合構造の解明であり、それは、コンプライアンス専門の弁護士としての活動の中でも主要テーマともなった(「『法令遵守』が日本を滅ぼす」(新潮新書)第1章[非公式システムとしての談合])。

談合というのは、「競争者間の合意によって競争を制限すること」であり、工事発注などでは、受注価格上昇という「価格面の問題」を生じさせる。一方で品質・価値の面では、談合による競争回避が価値を低下させる場合もあれば、逆に競争の激化が品質低下を招く場合もある。過去の談合の多くは、「プロセスの不透明性」に問題があり、それが、政官財の癒着という社会的弊害を生じさせてきた。そういう意味では、公共発注をめぐる談合は基本的に否定されるべきだとしても、世の中一般において、透明性が確保された「開かれた談合」が行われることを、一概に否定すべきということではない。

公職選挙における立候補の前の、「政治活動」の段階で、他の立候補予定者と「話し合い」を行うこと、すべて「談合」として否定すべき、というのは、田中氏のやや極端な独自の見解のように思える。そこには、「価格面の影響」という弊害はない。候補者の絞り込みは、選挙にかかる公的コストを低下させることにつながる。問題は、「一旦出馬表明した以上、すべて立候補に向かって突き進むすべし」という考え方と、出馬表明者間で、透明なプロセスで、人物評価や政策面の擦り合わせ等が行われて有力候補に絞り込まれることで、人物面・政策面で一定の評価を受けた候補者間での有権者の判断が行われるべきという考え方と、公職選挙における民主主義の実現という面から考えて、どちらが望ましいかという問題だ。

もっとも田中氏も、「候補者として、それぞれが切磋琢磨すること、個別に、或いは複数でディスカッションすることは、大いに行われるべき民主主義だろうと思う」と述べている。

田中氏も、出馬会見で、具体的な政策を打ち出しており、その中には、私が掲げた主要政策と基本的な方向性を同じくするものもあれば、考え方を異にするものもある。

今後、市長選挙告示までの間に、田中氏との間でも公開の場でのディスカッションを重ねていきたいと考えている。

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