本当に、「こんな首相」を信任して良いのか

「緑のたぬき」の“化けの皮”が剥がれ、安倍自民圧勝の情勢

衆議院選挙の投票日まであと3日、各紙の情勢予測では、「自民300議席に迫る勢い」と、安倍首相率いる自民党の圧勝が予想されている。しかし、世論調査で「安倍首相に首相を続けてほしくない」との回答が50%近くに上っており、また、内閣支持率は30%台に低下し、不支持率を下回っている。「自民圧勝」の情勢は、決して安倍首相が支持されているからではない。

最大の原因は、衆議院解散直前に「希望の党」を設立し、自ら代表に就任した小池百合子東京都知事の“化けの皮”が剥がれたことにある。都議選圧勝で最高潮に達した小池氏の人気は、民進党リベラル派議員を「排除」するという小池氏自身の言葉や、音喜多都議と上田都議が「都民ファースト」から離脱し、閉鎖的で不透明な党の実態を暴露したことなどによって大きく低下した。さらに、「政権交代」をめざして国政政党を立ち上げたのに、代表の小池氏が衆院選に出馬せず、「希望の党」は首班指名候補すら示せないまま衆院選に突入したことで、小池氏への期待は失望に変わった。

私は、昨年11月以降、ブログ等で、小池都政を徹底批判してきた。都議選の直後には、【“自民歴史的惨敗”の副産物「小池王国」の重大な危険 ~代表辞任は「都民への裏切り」】と小池氏を批判した。そういう意味では、「小池劇場」を舞台に、都民、国民に異常な人気を博してきた小池氏の実像が正しく認識されること自体は、歓迎すべきことである。そして、小池氏に化かされ、「緑」に染まってしまった民進党系の前議員の多くが「希望の党」もろとも惨敗するのは自業自得だ。しかし、問題は、それが「自民党の圧勝」という選挙結果をもたらしてしまうことだ。

“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」】でも述べたように、今回の衆議院解散は、現時点で国民の審判を仰ぐ理由も「大義」もないのに、国会での森友・加計学園疑惑追及を回避するための党利党略で行われたものであり、憲法が内閣に認めている解散権を大きく逸脱した「最低・最悪の解散」だ。

疑惑隠しのため解散を強行した安倍首相への批判から、自民党が大きく議席を減らすことが予想されていたが、「希望の党」の結成、民進党の事実上の解党によって、野党は壊滅、その「希望の党」も化けの皮が剥がれて惨敗必至の状況となり、結局、「最低・最悪の解散」を行った安倍首相が、選挙で圧勝して国民から「信任」を受けることになりかねない状況になっている。

しかし、本当に、それで良いのであろうか。

10月11日のテレビ朝日「報道ステーション」の党首討論での安倍首相の発言に関しては、【「籠池氏は詐欺を働く人間。昭恵も騙された。」は、“首相失格の暴言”】で、一国の首相として、いかにあり得ない暴言であるかを批判した。それに対しては、大きな反響があり、朝日、毎日、共同通信、週刊朝日等でも取り上げられたが、安倍首相の正確な発言内容が把握できたので、籠池氏の事件や解散に至る経緯も踏まえて安倍首相の発言内容を整理してみたところ、その発言の“恐るべき意図”が明らかになった。

安倍首相発言の“恐るべき意図”

安倍首相の発言は、後藤キャスターの

総理にお伺いしたいんですが、この森友・加計学園というのは、最高責任者としての結果責任が問われている。

森友問題については、交渉経過を総理の指示によって検証する、そういうお考えはないのでしょうか。

との質問に対して行われた。(番号、下線は筆者)。

まず森友学園の問題なんですが、私が一回も、お目にかかっていないということは、これは、はっきりしています。私が一切指示していないということも明らかになっています。うちの妻が直接頼んでいないということも、これも明らかになっていると思います。

あと、問題は、松井さんが言われたように、①籠池さん自体が詐欺で逮捕され起訴されました。これは、まさにこれから司法の場に移っていくんだろうと思います。

値段が適正だったかどうかも、財務省が、これは民間の方々から訴えられているわけでありますから、捜査当局が明らかにしていくんだろうなと思います。

②こういう詐欺を働く人物の作った学校で、妻が名誉校長を引き受けたことは、これはやっぱり問題があったと。③やはり、こういう人だから騙されてしまったんだろうと…

この発言の第1の問題は、行政府の長であり、検察に対しても法務大臣を通して指揮監督を行い得る立場にある首相が、検察が逮捕・起訴した事件に言及した上で(下線①)、「『こういう詐欺』を働く人物」と決めつける発言をした(下線②)ことだ。籠池氏は、検察に逮捕され、身柄拘束中だが、取調べに対して完全黙秘しており、公判で弁解・主張を行って公正な審理を受けようとしている。このような被告人の起訴事実について、一国の総理大臣が、「詐欺を働く人物」と決めつけることは、「推定無罪の原則」を首相自らが破るものであり、絶対に許されない。

第2に、安倍首相は、森友・加計学園問題について「丁寧な説明」をすると繰り返し述べながら、野党に国会召集を要求されても応じず、臨時国会の冒頭解散によって国会での説明の場を自ら失わせた。そして、国会に代わって、森友・加計問題についての「説明の場」となったテレビの党首討論の場で、安倍首相が行った「説明」が、「籠池氏は詐欺を働く人物であり(下線②)、そういう人物だから妻の昭恵氏が騙されて(名誉校長になった)(下線③)」というものだった。

そして、安倍首相が、森友学園問題について、上記の「説明」を行うことが可能になったのは、まさに、検察が籠池氏を詐欺罪で逮捕・起訴したからだ。

検察の逮捕・起訴に関しては、籠池氏自身が逮捕前から「国策捜査」だと批判し、マスコミ等からも、そのような指摘が相次いだ。その逮捕事実が、告発事実の補助金適正化法違反ではなく詐欺であったことは従来の検察実務の常識に反する(【検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか】【検察は、籠池氏を詐欺で起訴してはならない】。また、大阪府からの補助金の不正受給も、通常は「行政指導」の対象であり、刑事事件で取り上げるような問題ではない。

検察が、「常識的な判断」を行っていれば、安倍首相が、上記のような「森友学園問題についての説明」を行うことはできなかった。籠池氏に対する検察の逮捕・起訴は、法務大臣を通じて検察を指揮し得る(或いは「検察から忖度される」)立場にある安倍首相自身を利するものだった。安倍首相の発言は、そのことを自ら認めるものなのである。

一国の首相が推定無罪の原則を無視する発言を行ったことだけでも、「首相失格」であることは明らかだが、それ以上に問題なのは、その「籠池氏が詐欺を働くような人物だから妻が騙された」という、森友学園問題に対する「説明」は、検察の籠池氏逮捕・起訴によって初めて可能になったということだ。安倍首相の発言は、検察の国策捜査を自ら認めたに等しいのである。

刑事司法が政治権力のための道具として悪用される恐れ

安倍首相と籠池氏は、もともと敵対関係にあったわけではない。少なくとも、森友学園問題が国会で追及されるまでは、安倍首相の妻昭恵氏は籠池夫妻と親密な関係にあり、安倍首相自身も、国会答弁で「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と述べていた(2月17日衆院予算委員会)。

ところが、籠池氏が、森友学園の小学校設置認可申請を取り下げた後、3月16日に、「安倍首相から100万円の寄付を受けていた」との発言を行った時点以降、自民党は「安倍首相を侮辱した」として籠池氏を証人喚問、3月29日には、大阪地検が籠池氏に対する補助金適正化法違反の告発を受理したと大々的に報じられ、7月28日、国会が閉会し安倍首相の記者会見が終了した直後に強制捜査着手、そして、7月31日に、籠池氏夫妻が逮捕され、さらに大阪府等からの補助金不正受給について再逮捕。籠池氏は、詐欺の犯罪者として処罰される方向で事態が進行していった。

そして、今回の安倍首相の発言があり、行政府の長である首相が、籠池氏が逮捕・起訴された事実に関して、「詐欺を働く人物」と明言したことで、少なくとも、検察は、今後、籠池氏側・弁護人側からいかなる主張がなされようと、首相の意向に反して、「籠池氏の詐欺」を否定する対応をとることは困難になる。そして、有罪率99.9%と、検察の判断がほぼそのまま司法判断となる日本の刑事司法においては、結局のところ「籠池氏の詐欺」が否定される余地は事実上なくなるのだ。

今回の安倍首相発言が容認されれば、今後の日本では、首相に敵対する側に回った人間を、籠池氏と同様に、刑事事件で逮捕・起訴することで、「犯罪者」として「口封じ」をすることが可能となる。まさに、刑事司法が権力の道具になってしまいかねない。

このような発言を、公共の電波による党首討論で堂々と行った首相が、選挙で国民の信任を受けるなどということは、絶対にあってはならない。 

「こんな首相」を信任して良いのか

今年7月都議選での街頭演説で安倍首相は、「こんな人達に負けるわけにはいかない」と叫び、国民からの強い反発を受けた。今回の選挙に関しては、本記事で述べた、党首討論での安倍首相発言がいかなる意図によるもので、いかなる意味を持つものかを、改めて認識した上で、「こんな首相」を本当に信任しても良いのかということを、真剣に考えて頂きたい。

 

 

nobuogohara について

弁護士
カテゴリー: 政治, 森友学園問題 パーマリンク

本当に、「こんな首相」を信任して良いのか への12件のフィードバック

  1. 安倍大嫌い より:

    ほんと憲政史上最低にして最悪の極悪総理ですよね!
    こんなヤツがのうのうと最長政権を目指そうとしているんだから
    もう呆れ返って卒倒しそう。

  2. 美爺 より:

    日本のヒットラー、こんな人を総裁に頂く自民党選挙候補者になぜに投票するのか?

  3. 裸の王様 より:

     安倍晋三政権が、如何に社会を歪めて来たのでしょうか!?
    行政においては、
    ・検察の小沢一郎の資金管理団体「陸山会」を巡る事件でのリーク問題、世論操作疑惑
    ・甘利明のURをめぐる口利き問題への捜査介入疑惑
    民間においても
    ・2016年6月22日公示、7月10日に投開票が行われた参院選に合わせるように東京電力の「第三者検証委員会」による 6月16日記者会見で「民主党政権の官邸から慎重な対応をするよう要請を受けた」と露骨な印象操作(マスコミが高棒を担がされた)

  4. ナゴヤシミン より:

    今回の選挙では、安倍政権と言うか自民党は比較的若い人の支持率が高いようです。
    憲法を軽視し、政治を私物化し、人事権も私物化し自分に功のあったものを露骨に昇進させ、今回の国民審査に対象の最高裁の弁護士出身の判事にも加計学園の関係者が居るようです。
    でも、将来を担う若者が支持しているなら良しとしましょう。今の政治の影響を受ける人たちが良いと言っているんですから諦めもつくと言うものです。

  5. シロウト より:

    自民敗退、安倍退陣となればモリカケはうやむやになりかねないですが、引続き政権を担うのであれば、野党は追及し続ければよいだけのことだと思います。選挙に勝てば説明責任が免除されるという理屈がどうにも理解できません。

    • nobuogohara より:

      少なくとも、解散していなければ、安倍首相は、森友・加計問題で集中砲火を浴び、支持率下落で政権を失うところまで追い込まれていた可能性があります。もちろん、選挙で自民党が勝っても、野党の追求をすべて免れるわけにはいきませんが、状況が大きく変わることは間違いないと思います。

  6. タマガワハゼ より:

    安倍首相にこんな独裁的な力を与えてしまったのは結局我々国民なのだということをしかと胸に受け止めて、選挙では緑のタヌキ達ともどもその座から叩き落とさねばなるまい。、

  7. 今野強 より:

    アベ政治の窮地を救おうとして小池氏と前原氏を立てて打った大芝居ではないだろうか?闇のような大きな力のうごめきを感じます。イマノツヨシ

  8. 地域主義者 より:

    阿部総理どうこうというより、昭恵夫人がリスクの塊だなあと思います。
    籠池氏も夫人の被害者かと…流石に公の場で「うちの嫁アホだから…ごめん…」とは言えないと思うのですが、茶番感が凄まじいですね。
    私はもう国政はどうでもいいです。

  9. 忍者 より:

    皆さん、キッと目を見開いて安倍のバカを蹴飛ばそう。今のムードでは日本が壊れてしまうぞ!!
    若者よ目を覚ませ!選挙に行こうぜ。忍者

  10. おばあちゃん より:

    私は、亡き政治評論家の三宅久之さんが、ご存命ならばどのように発言されるのか知りたいと思います・・三宅さんはこの国を安倍総理に託されました。私は、三宅さんの物事に対する洞察力、知識、判断力、眼力を信じています。安倍総理の「この国を守り抜きます」との言葉に何かは言えないけれど闇の部分があると仰っているように思います。安倍総理退陣だと属国になるのが近いような気がしてきました。賢くないおばあちゃんだからそう思うのかもしれませんね。

  11. T_Ohtaguro より:

    >刑事司法が政治権力のための道具として悪用される恐れ

    既に悪用されています。
    司法警察員は、告発状を受理しない不作為により、
    検察官は、憲法 第六章 第七十六条2項の規程に反して、公訴を提起しないこと〔公訴を提起しない処分〕により、
    刑事事件において、裁判所の終審裁判権を排除して、犯罪行為を幇助している。

    証拠保全を試みると、録音・録画を許可せず、退去を命じ、
    退去しないときは、司法警察員、検察官と共謀して、現行犯として逮捕し、七十二時間留置している。
    ___

    大分地方裁判所 平成29年(行ウ)第17号
    憲法 第一章 第七条二号に掲げる「国会を召集する」天皇の国事に関する行為が行われ、第四章 第五十条に掲げる「国会の会期中」において、第一章 第七条三号に掲げる「衆議院を解散すること」について、天皇に対し、内閣が行う「助言と承認」の一部は、同条に掲げる「国民のため」の行為に該当せず、憲法 第一章 第七条を構成する要件を満たさないと思料し、人類普遍の原理に反するものと思料する。
    よって、憲法適否終審裁判権行使を請求する。

    差し止め対象行為・仮差し止め対象行為
    憲法 第一章 第三号に掲げる「衆議院を解散すること。」、同条四号に掲げる「国会議員の総選挙の思考を公示すること。」について、天皇に、内閣が行う「助言と承認」。
    ___

    上記事件と下記事件について調べると、捜査機関が政治権力のための道具として悪用されていることがわかります。
    大分地方裁判所 平成29年(む)第275号 準抗告棄却決定
    大分地方裁判所 平成29年(む)第281号 準抗告棄却決定

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