「桜を見る会」問題、「詰んでいる」のは安倍首相の「説明」~「検察が動かない」理由とは

今週水曜日(11月27日)に投稿した【「桜を見る会」前夜祭、安倍首相説明の「詰み」を盤面解説】で「桜を見る会」問題に関する安倍首相の「説明」の問題点を全体的に解説したのに対して、大きな反響があった。将棋の「盤面」を用いて、解説したことで、公職選挙法、政治資金規正法上の問題点はかなり理解されたように思える。

 その翌日の28日、テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」の「玉川徹のそもそも総研」でも、「『桜を見る会』前夜祭、安倍総理 法的問題はないのか」が取り上げられ、インタビュー録画で出演した私が「詰んでいる」という表現で、この問題について安倍首相が「説明不能」の状況に陥っていることを指摘した。

 そして、11月29日朝、野党の「『桜を見る会』追及本部法務班」のヒアリングに出席し「盤面解説」を用いて、公選法、政治資金規正法との関係で、安倍首相の説明が「詰んでいること」を説明した(ビデオニュース【追及本部が郷原弁護士を招き公開ヒアリング】)

 しかし、一つだけ、私の指摘の趣旨が正しく理解されていない点がある。「この問題は検察が動くことはないと思う。完全に政権に飼いならされてきた検察に、問題の違法・犯罪の疑いを取り上げる意思があるとは到底考えられない。」との発言の趣旨だ。その後、ツイッター等で、「安倍首相の違法が明白なのに、なぜ検察は動かないのか。」という声が寄せられているが、私が、「詰んでいる」と指摘するのは、安倍首相の「説明」の問題であり、事実としての法違反が明白になっているという趣旨ではない。「検察は動かない」と言っている趣旨も正確に理解されているとは思えない。

 私の「将棋の盤面」を用いた解説の前提とその趣旨を改めて整理しておこうと思う。

 第1に、私が「詰んでいる」と言っているのは、一連の「ぶら下がり会見」などでの「安倍首相の説明」のことだ。苦しい言い逃れを重ねた末に、自ら窮地に陥り、「違法ではない」という説明ができない状況に追い込まれているということを言っているのである。

 だからこそ、「公選法違反」、「政治資金法違反」、「世論の批判」という敵の駒の動きに対して、「安倍王将」が「駒」としてどのような「動き」をしてきたのかを解説しているのである。

 安倍首相にとっての「桜を見る会」前夜祭をめぐる「違法行為」として、現実的に考えられるのは、(1)安倍後援会が、地元有権者への寄附を行った公選法199条の2第1項違反と、(2)前夜祭の主催者としての後援会が、政治団体としての政治資金収支報告書を正しく記載していなかった問題である。

 前者の法定刑は、「50万円以下の罰金」、後者は、政治資金収支報告書を訂正すれば足りるレベルの問題である。

 しかし、「罰金50万円以下」であっても、後援会関係者が公選法199条の2違反を犯したということになると、現内閣で、菅原一秀氏が同じ罰則の違反の問題で辞任に追い込まれていることもあり、総理大臣の進退問題につながりかねない。

 そこで、安倍首相は、自分自身も、安倍後援会も「一切違法な行為を行っていない」という説明を維持するために、「安倍後援会」側ではなく、ホテルニューオータニという、日本を代表するホテルを経営する企業の側に「説明」を押し付けようとし、その挙句、(安倍首相の説明どおりだとすれば)、内閣府からの受注業者であるホテルニューオータニからの利益供与、つまり寄附を受けることの政治資金規正法上の違法性(企業団体献金の禁止)や「贈収賄」の疑いすら生じさせた上、「説明不能」の「詰み」の状態に陥っているのである。

 安倍首相に、検察が本格的に捜査の対象にすべき「事実」が明らかになったと言っているのではない。安倍首相が、「自分も、後援会も、違法行為を行っていない」という「説明」をしようとして、かえって重大な違法行為があるかのような疑いを生じさせ、自ら墓穴を掘っているだけなのである。

 第2に、安倍政権になってからの政権側の政治家に対する検察の姿勢からすると、仮に、安倍首相自身、或いはその秘書や後援会などに「重大な犯罪の嫌疑」があったとしても、検察が動くとは考えられないという「安倍政権と検察の関係」の問題がある。甘利明氏、小渕優子氏ら有力政治家の刑事事件に対する特捜部の捜査の姿勢(【特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件】)や森友学園の事件での籠池夫妻に対する捜査の姿勢(【検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか】)と財務省側に対する捜査との比較などから考えても、検察が安倍政権に飼い慣らされているように思える。

 検察の現状を考えれば、いかに重大な犯罪の嫌疑があっても、積極的に捜査をするとは思えない。公職選挙法違反、政治資金規正法違反事件、贈収賄事件などには、必ず何らかの証拠上、法律適用上の問題がある。検察の現場で積極的に捜査を行う方針であっても、上司・上級庁・法務省側から問題を指摘し、捜査の動きを止めることは可能だ。

 そういう意味では、「政治家に対する捜査」を、それなりの理由をつけて潰すことは、どのような事件でも可能なのである。ただ、それは、あくまで、安倍政権と検察との「一般的な関係」について言っているに過ぎない。今回の「桜を見る会」の問題については、検察が「重大な犯罪」の疑いを見逃そうとしていると言っているのではない。

 第3に、「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。」(憲法75条)として、国務大臣の訴追を拒む権限が総理大臣に与えられていることとの関係である。

 そもそも、総理大臣に重大な犯罪の嫌疑があり、検察に積極的な捜査で、その嫌疑を明らかにしようとしたとしても、最終的には、総理大臣の同意がなければ、総理大臣を起訴することはできない。総理大臣が自分を起訴することに同意するはずはないので、事実上、総理大臣は、在任中は、起訴されることはない。そういう意味で、検察の起訴によって、総理大臣がその職から引きずり降ろされるということは、あり得ないのである。

 しかし、この憲法75条の規定で、総理大臣が、自らの犯罪の嫌疑について、在任中、訴追を拒否することができるというのは、一方で、総理大臣自身に犯罪の嫌疑が生じた時には、重大な説明責任が生じるということになる。犯罪の嫌疑について合理的な説明が十分に行われることがなければ、訴追は免れても、「政治的責任」を免れることはできないのである。

 そういう意味では、第1で述べた、「桜を見る会」前夜祭についての安倍首相の「説明」が、「詰んでいる」、すなわち、「違法性は全くない」ということについて安倍首相自らが説明した内容を前提にすると、「違法ではないという説明ができない状況に追い込まれている」という現状は、憲法75条との関係からも、内閣総理大臣にとって「致命的」と言えるのである。

 以上のような、私が「安倍首相の説明」が「詰んでいる」と言っている趣旨は、上記の【ビデオニュース】に収録されたヒアリングでの私の解説全体を見て頂ければ、十分に理解してもらえるはずだ。

 「桜を見る会」をめぐる問題については、安倍首相の「説明」が「詰んでいる」のに、「検察が動かない」という話ではない。検察が動くかどうかとは関係なく、安倍首相自身の「説明」が「詰んで」いて「説明不能」であることそれ自体が、総理大臣にとって重大な問題なのである。

カテゴリー: Uncategorized | 1件のコメント

「桜を見る会」問題の本質~安倍首相説明の「詰み」を盤面解説

11月16日の土曜日の朝、【「桜を見る会」前夜祭 安倍首相の「説明」への疑問~「ホテル名義の領収書」の“謎”】で、「桜を見る会」前夜祭に関する法的問題を指摘した。翌週月曜日、安倍首相の「ぶら下がり」会見で「説明」したことに対して、【「ホテル主催夕食会」なら、安倍首相・事務所関係者の会費は支払われたのか】【最終盤を迎えた「桜を見る会」安倍首相“詰将棋”、「決定的な一手」は】と、さらに問題を指摘し続けたところ、安倍首相は、それ以降、「ぶら下がり会見」での説明は一切行わなくなった。それに代わって、菅義緯官房長官が、連日、内閣委員会での答弁や、定例会見での質問への対応を行っているが、菅氏の「説明」は完全に「破綻」している。それは、「桜を見る会」前夜祭に関して、安倍首相が「説明不能」の状態に陥ったということであり、将棋に例えれば、完全に「詰んだ」と言える。

 安倍首相の「桜を見る会」前夜祭に関する「説明」がなぜ詰んだと言えるのか。「将棋の盤面」の喩えで考えてみよう。

「桜を見る会」追及が始まった時点での盤面

 まず、「桜を見る会」についての追及が始まり、前夜祭の問題に及んだ時点の盤面が《盤面1》(著者作成、以下同様)である。

《盤面1》

画像

 「5八」に位置する安倍首相の「玉(ぎょく:王将)」を守る駒として、「3七」の位置に安倍後援会の「金」(斜め後方以外の場所に1マス動かすことができる駒)、「7六」の位置にホテルニューオータニの「銀」(左右と後方以外の場所に1マス動かすことができる駒)という「二つの駒」があった。

 安倍後援会が、安倍首相の指示どおりに動くのは当然であり、ホテルニューオータニも、絶大な政治権力を持つ安倍首相にとっては、動かすことが容易な「駒」だったであろう。

 当初は、前夜祭の夕食パーティーの1人5000円という会費が安過ぎるのではないか、実際にはもっと高く、その差額を安倍後援会が補填しているのではないか、そうだとすると、安倍首相の地元の支援者が多数参加している夕食会は、有権者に対する利益供与(公選法違反)に当たるのではないか、が問題にされた。

 この段階で、安倍首相が強く意識したのは、「公選法違反」の問題であった。直近で、同じ有権者に対する利益供与の問題で、菅原一秀氏が、就任間もなく経済産業大臣を辞任していたこともあって、公選法問題は、総理大臣辞任につながりかねない重大リスクであった。《盤面1》上の「敵の駒」としては、敵陣「2二」の位置にある「飛車」(縦横どこまででも動かせる駒)であった。

 しかし、「桜を見る会」前夜祭に関するリスクはそれだけではなかった。政治団体である安倍後援会が深く関わっていることは明らかであり、それについて、収支が発生していれば、政治資金収支報告書に記載しなければならない。しかし、その収支報告書には、過去に、「桜を見る会」前夜祭の収支が記載されたことはなく、収支の記載義務があれば、もろに政治資金規正法違反となる。《盤面1》で言えば「6二」の「香車」(きょうしゃ:前方にどこまでも走る駒)であった。

 そして、盤面の中央に位置する駒が、マスコミやネット上の安倍政権に対する批判の言論の「金」であり、これには、私自身も含まれる。

 つまり、《盤面1》の上で、「安倍王将」を守る駒が「後援会」(金)、ホテルニューオータニ(銀)、攻める方が、「公選法違反」(飛車)と「政治資金規正法違反」(香車)、そして、それらを背景とする言論(金)という構図だった。

安倍首相にとって最大の「悪手」だった「6七玉」

 そこからの盤面の動きを示したのが《盤面2》だ。

 まず、野党側の追及は、ホテルニューオータニの鶴の間でのパーティーは最低でも「一人11000円」とされていることなどから、前夜祭の夕食パーティーが有権者への利益供与の公選法違反に当たるのではないかという指摘だった。「2二飛車」は「2八飛車成り」で、一気に、「3七金」の安倍後援会に迫った。これによって「飛車」は「龍」(もともとの飛車の動きに加えて、斜め前方と斜め後方に1マス動かせる駒)となる。

《盤面2》

画像

 そこで、安倍首相側の意識は、公選法違反の「2八龍」の方に集中した。この局面で、安倍首相は、後援会側に動くことによる公選法違反のリスクを恐れ、反対のホテルニューオータニ側に都合の良い説明をさせる方針をとった。

 11月15日、「ぶら下がり会見」で

「すべての費用は参加者の自己負担。旅費・宿泊費は、各参加者が旅行代理店に支払いし、夕食会費用については、安倍事務所職員が1人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交。集金した現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされた。」

と説明し、18日の「ぶら下がり」会見でも、

「安倍事務所にも後援会にも、一切、入金はなく出金もない。旅費や宿泊費は各参加者が直接支払いを行い、食事代についても領収書を発行していない。」

と述べた。

 そして、安倍首相は、ホテルニューオータニ側が、1人5000円という会費の設定を行い、自ら参加者から会費を徴収したものだとして、「安倍後援会側に収支が発生しない」という説明をすることで、説明責任を、後援会ではなく、すべてホテルニューオータニ側に押しつけようとした。

 夕食パーティーの参加費の価格設定も会費の徴収もすべてホテル側が行うという、「ホテル主催の宴会」であるかのように説明したのである。そうすれば、安倍後援会は一切関与せず、収支も発生しないことになる。つまり、「3七金」の安倍後援会ではなく、「7六銀」のニューオータニの方に寄ろうとし、「6七玉」という手を指したのである。

 しかし、それが、安倍首相にとって、致命的な「悪手」(あくしゅ:形勢が悪化するような指し手)であったことは盤面上も明らかだ。

 18日の夜、私は、【「ホテル主催夕食会」なら、安倍首相・事務所関係者の会費は支払われたのか】と題する記事を出した。安倍首相が説明するとおり、ホテル側が会費の設定を行い、自ら参加者から会費を徴収するのであれば、安倍首相夫妻、安倍事務所、後援会関係者からも当然会費を徴収しなければならない。支払った場合は、安倍後援会としての支出が発生するので、後援会に政治資金収支報告書に記載がないことが政治資金規正法違反となる。逆に、支払っていない場合には「無銭飲食」になる。もちろん、その「無銭飲食」は、ホテル側が「被害届」を出さなければ「事件」にはならないが、それは、ホテル側が「無銭飲食」を見過ごし、その分の支払を免除することで、ホテルニューオータニという企業が、安倍後援会に企業団体献金を行ったことになる。

 安倍首相には、違法にならない「説明」の余地はない。

 「6六金」という「王手」(おうて:次に相手玉を取ることができる状態)だった。政治資金規正法違反の「6二香車」が効いており(玉で「金」を取ろうとしても、前方に一直線に動ける香車にとられてしまう)ので、「6六金」の王手で、完全に「詰み」なのである。

ニューオータニにとって最悪の「詰み」の盤面

 こうした、安倍首相が、致命的な「悪手」を打ったことの結末は、単なる「詰み」にとどまらない。

 翌11月19日朝に、私が出した記事【最終盤を迎えた「桜を見る会」安倍首相“詰将棋”、「決定的な一手」は】では、安倍首相が、ホテルニューオータニ側に便宜を図ってもらったような説明をすると、ホテルニューオータニが、安倍首相の職務権限による「何らかの見返り」を期待する関係にあった疑いが生じると指摘した。実際に、安倍首相が長を務める内閣府は、皇位継承に関連する行事に関して、都内の有名ホテルに多額の発注を行っており、ホテルニューオータニも、今年10月23日に、約1億7000万円の予算で開催された内閣総理大臣夫妻晩餐会を内閣府から受注し、「桜を見る会」前夜祭と同じ「鶴の間」で晩餐会が開催されている。

 ホテル側が、前夜祭の夕食パーティーで、参加していた安倍首相夫妻や事務所関係者から徴収すべき参加費を徴収しなかったとすると「利益の供与」であり、それは、安倍首相とホテルニューオータニとの「癒着・腐敗」の疑い、極端に言えば、贈収賄の疑いさえ生じさせることになる。

 《盤面3》が、安倍首相の「詰み」の最終の盤面である。「安倍王将」と「ニューオータニ銀」とがくっついて「癒着した」形での「詰み」という最悪の盤面となっている。

《盤面3》

画像

このような盤面のまま長期間放置されることは、日本の一流ホテルであるホテルニューオータニにとって、耐え難いことなのではないだろうか。今のところは、安倍政権が揺るがないとの前提で、「安倍王将」と「くっついた状態」に甘んじているのであるが、もし、安倍内閣が危うくなってきたと認識した場合には、企業のコンプライアンスという観点からの決断を迫られることになるだろう。

「桜を見る会」問題に関わった経緯とその後の展開

 私がこの問題に最初に関心を持ったのは、11月15日の夕方、【山口県からご一行、桜を見る会へ 首相夫妻と記念撮影も】と題する朝日のネット記事を見た時だった。

 それまでも、「桜を見る会」や前夜祭の問題について、野党が国会で追及していることは知っていた。しかし、私自身、2013年と2014年に、総務省年金業務監視委員会の委員長として「桜を見る会」に招待されて参加した際、広大な新宿御苑の中に大勢の人が集まっていて、飲食物もほとんどなく、ほとんど「儀礼」に近い「質素な会」という認識を持っていた。誰が招かれようと、特に騒ぐような問題ではないし、前夜祭の会費5000円が安過ぎるというのも、ホテル側の裁量の範囲内で価格設定されたと言われれば、選挙区内の有権者への利益供与を立証することも難しいだろうと思っていた。

 ところが、上記記事によると、「桜を見る会」の開場は午前8時半なのに、安倍後援会関係者は、午前7時ごろ、新宿御苑に向けて貸し切りバスでホテルを出発。「現地に着くと、手荷物検査もなくすぐに会場内に入れ、バラずしの弁当や焼き鳥などが振る舞われ、これらは繰り返し並べば何度ももらえた、酒やジュースなどは飲み放題だった」と書かれている。

 一体この待遇の違いは何だろう。本来、各界での功績、功労のあった人を慰労するというのが開催の趣旨のはずなのに、その趣旨に反し、安倍首相の地元の支持者・支援者の歓待を目的としているのではないか、という疑問を持った。

 その疑問をツイートしたところ、次のような返信があった。

郷原弁護士のツイートにしてはキレが悪いように思う。食べものにありつけなかったなどの思い出だけでなく、今回の件が法的に問題があるのかないのか分析してほしい。

 確かにその通りである。「食べ物にありつけなかったこと」はどうでも良い。開催の趣旨に反して、公金で安倍首相の地元の有権者を歓待することが目的になっているのであれば、何らかの法的な問題があるはずである。検察実務経験を有する法律家の私が行うべきことは、報道や安倍首相の説明から、法的な問題点の検討を行うことだと思った。

 それ以降、私は、立て続けに3つの記事を出し、公選法と政治資金規正法の関連から安倍首相の追及を行った。その結果、安倍首相の説明は、あっという間に「詰み」に至り、「桜を見る会」前夜祭について「説明不能」の状況に追い込まれたのである。

 安倍首相は、それ以降、前夜祭について、本会議の代表質問で、それまでの説明を繰り返した(前夜祭が「後援会主催」であることは認めた)以外は説明を全く行っていないし、野党側から衆参両院での予算委員会の開催を求められても、与党側が絶対に応じない。しかし、参議院規則38条は、委員の3分の1以上の要求があったとき「委員長は委員会を開かなければならない」と規定しており、少なくとも参議院で野党側の予算委員会開催要求に応じないことは違法となる。

 総理大臣という職にある以上、国会での答弁、記者会見でのマスコミ対応を行うことは不可欠なはずだ。しかし、説明が「詰んでいる」安倍首相には、それができない。このまま、予算委員会も開かず、記者会見も行わず、野党やマスコミから追及から逃げ続けることで、果たして、総理大臣という、日本という国の「王将」の立場を維持できるのだろうか。

「桜を見る会」問題は「安倍政権の支配構造の本質」に関わる問題

 「桜を見る会」の問題について、安倍支持者側からは、「政治が取り組むべき重要な課題が山積しているのに、なぜ『桜を見る会』などというくだらないことで大騒ぎしているのか。」というような声が聞かれる。確かに、一つの「行事」の問題だし、国費が投じられていると言っても予算の規模としてはそれ程大きくはない。しかし、この問題には、安倍政権による、日本の行政組織の支配構図と、安倍首相の「身内びいき」の姿勢という安倍政権の本質的な問題が端的に表れている。そして何より重要なことは、これまで「違法なことはやっていない」という安倍首相の唯一の「言い訳」が通用しなくなっていることである

 なぜ、本来、各界で功労・功績があった人達を慰労することを目的としているのに、功労者として招待された人間に対する接遇に気を遣うことはほとんどなく、一方で、安倍後援会関係者は、開場時刻前に何台ものバスで乗り付けて、ふんだんな飲食やお土産までふるまわれるのか。そこには、これまで、森友・加計学園問題でもしばしば問題とされてきた、安倍一強体制の下での「権力者への忖度」が影響しているのであろう。

 運営の実務を行う内閣府や官邸の職員には、「桜を見る会」が、安倍後援会側の意向で「地元有権者歓待行事」と化していることに違和感を覚えても、異を唱えることなどできない。傍若無人に大型バスで開場に乗り込んでくる安倍後援会側の行動を黙認するしかなかったのであろう。開催経費が予算を超えて膨張していったのも、後援会の招待者が増え、地元の参加者に十分な飲食の提供など歓待をしようとする要求に抵抗できなかった結果であり、内閣府等の職員達は、各界の功労・功績者の慰労という本来の目的との関係は気になりつつも、実際にはそれを考える余裕はなかったのであろう。

 そして、何と言っても、安倍首相の最大の「敗因」は、身内中の身内である「安倍後援会」側の「説明」によるのではなく、ホテルニューオータニという日本を代表するホテルを経営する企業の側に「説明」を押し付けようとしたことだ。森友問題では財務省に、加計学園問題では内閣府に「説明」を押し付けて、自らは「違法なことはやっていない」という言い分を通してきた。しかし、今回の問題では、安倍首相は、「身内」である安倍後援会を何とかして守ろうとした。その結果、「説明」を押し付け、泥をかぶってもらおうとしたのが、高いモラルが求められる一流ホテルのホテルニューオータニであったところに、森友・加計問題との最大の違いがあった。

 「桜を見る会」自体も、その前夜祭も、全体として、安倍首相の地元の有権者に対する、過度の接遇であることを否定する余地はない。問題はそれが、誰が誰の負担で行われたかである。「桜を見る会」は、内閣府等の担当職員の「権力者への忖度」によって国の負担で行われ、前夜祭は、安倍後援会又はホテルニューオータニ側が、自己の負担で行ったということになる。安倍後援会が負担することは、選挙区内の有権者に対する利益供与として公選法違反だが、その違法性のレベルは、同じ公選法違反でも、特定の選挙の当選を得る目的の買収と比較すれば、法定刑も低く、それほど重大なものとはいえない。一方で、内閣府からの受注業者であるホテルニューオータニからの利益供与、つまり寄附を受けることの政治資金規正法上の違法性(企業団体献金の禁止)は、「贈収賄」の疑いすら生じさせるものなのであり、その違法性の程度は比較にならないほど大きいといえよう。

 このような、「桜を見る会」をめぐる“基本的な構造”を、安倍首相自身が全く理解できていないところに、根本的な原因がある。

カテゴリー: 桜を見る会 | 6件のコメント

「桜を見る会」安倍首相“詰将棋”、最終盤での「決定的な一手」は

先週金曜日の夕刻、安倍首相が、官邸での「ぶら下がり会見」で、

夕食会費用については、安倍事務所職員が一人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交。集金した現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされた。

と説明したことについて、土曜日(11月16日)の記事【「桜を見る会」前夜祭 安倍首相の「説明」への疑問~「ホテル名義の領収書」の“謎”】で、

「ホテル名義の領収書」が渡されたのであれば、その領収書の額面の金額に見合う支払いが、安倍事務所職員からホテル側に前もって行われたはずだ。

と指摘した。

週明け月曜日の朝、安倍首相は、再び「ぶら下がり会見」に応じた。

(毎日)「国会対応は党に任せている」桜を見る会 改めて首相釈明、主なやりとり】によると、安倍首相は、「領収書」に関して、

桜を見る会の前日の夕食パーティーについて、安倍事務所も後援会にも、一切入金、出金はございません。領収書を発行していないし、領収書を受け取ってもいない。

と答えた。

そして、その後、この点に関して、以下のようなやり取りがあった。

記者:領収書のことだが。

首相:ちょっとすみません、時間がありませんので、最後の質問にしてもらえますか。

記者:安倍事務所の方が受付で領収書を渡していたとのことだが、ホテル側から領収書をもらうためには先に支払いをしないといけないという指摘がある。先にホテル側に支払ったということは一切ないのか。

首相:それはありません。

記者:総理、一つだけ。

首相:ちょっとすみません、これ最後にしていただけますか。

 「先にホテル側に支払ったということは」という記者の質問に対して、安倍首相は「それはありません」と答えたものの、それに続く質問を、「これ最後に」で打ち切った。

 そして、この「ぶら下がり」で、安倍首相が、夕食パーティーについて、「安倍事務所も後援会にも、一切入金、出金はございません。領収書を発行していないし、領収書を受け取ってもいない」と述べた点について、私は、昨日夜の記事【「ホテル主催夕食会」なら、安倍首相・事務所関係者の会費は支払われたのか】で、以下のような指摘を行った。

ホテル側が主催する立食の夕食会であれば、安倍首相夫妻や事務所関係者、来賓も、参加者の人数に含まれる。これらの人達も、すべて自分で夕食会費を支払ったのだろうか。もし、後援会が支払っているとすれば、その分、その「桜を見る会」前夜祭に関する安倍後援会側の「支出」が発生する。支払っていなければ、安倍首相や関係者は「無銭飲食」をしたことになる。

 昨日の「ぶら下がり会見」を打ち切る直前の質問については、改めて、「本当に、支払っていないのに『ホテル名義の領収書』を受領したのか。事務所に確認したのか」という質問を受けることになるだろう。もし、安倍事務所側が本当に支払っていないとすると、ホテルニューオータニは、「支払を受けないで領収書を前渡しした」という重大なコンプライアンス上の問題を抱えることになる。

 安倍首相は、夕食パーティーが「ホテル主催」であったかのような説明を続けるのだろうか。そうなると、「ホテル主催の夕食パーティーなら安倍首相や事務所関係者の支払はどうなったのか」との新たな疑問に、どう答えるのであろうか。前日の「安倍事務所も後援会にも、一切入金、出金はございません」という答えを撤回することなく、説明をすることが可能なのだろうか。

 加計学園問題では、(安倍首相への「忖度」で利益を受けたことが疑われた)安倍首相の親友の加計孝太郎氏が、「説明」から逃げ続けた。

 森友問題では、(安倍首相の意向を「忖度」した疑いがある)財務省が、「説明」の矢面に立たされ、自殺者まで出た。「忖度」される立場だった安倍首相は、直接の「説明」から逃げることができた。

 しかし、今回の「桜を見る会」の前夜祭パーティー問題は、安倍首相と、その後援会が直接の当事者である。安倍首相は、「説明」から逃げることができない。盤面の展開が殊の外早いのはそのためだ。

 官邸で「番記者」に囲まれて、慌ただしく都合の良いことだけを述べる、ということを繰り返してきた安倍首相だが、その表情には、徐々に「余裕のなさ」が目立ってきている。それは、この問題をめぐる「詰将棋」が、“最終盤”に差し掛かっていることを示しているようにも思える。

 安倍首相や後援会が、ニューオータニ側に「値引き」や「領収書前渡し」の便宜を図ってもらったことを強調し続けると、さらに「決定的な一手」となる質問が待ち構えている。

 それは、ホテルニューオータニが、安倍首相の職務権限による「何らかの見返り」を期待する関係にあったのではないか、ということだ。

 具体的には、次のような質問だ。

ホテルニューオータニに対して、「首相官邸や内閣府からの発注」は行われていないのか。

カテゴリー: 政治, 桜を見る会 | 2件のコメント

「ホテル側主催」であれば、安倍首相・後援会関係者は会費を支払ったのか

 安倍首相は、本日(18日)午前10時ごろ、総理大臣官邸に入る際、記者団の取材に応じ、「懇親会などについて証拠を示して説明すべきだという指摘が出ている。」と問われたのに対し、「安倍事務所にも後援会にも、一切、入金はなく出金もない。旅費や宿泊費は各参加者が直接支払いを行い、食事代についても領収書を発行していない。」と述べたとのことだ(NHK)。

 15日の「ぶら下がり会見」では、「安倍事務所職員が1人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交した」と説明していた。そうであれば「ホテル名義の領収書」が事前に安倍事務所側にわたっていたことになる。ニューオータニのような一流ホテルが、支払いを受けてもいないのに領収書を発行して交付することはあり得ないのではないかというのが、前の記事【「桜を見る会」前夜祭 安倍首相の「説明」への疑問~「ホテル名義の領収書」の“謎”】での指摘だが、その点について安倍首相は答えていない。

 安倍首相の説明によると、夕食会は、ホテル側が主催し、ほとんどが宿泊者であることを考慮して、夕食会費を1人5000円と決め、個別にそれを集金したもので、安倍事務所側は、会費を集金して領収書を交付するという事務を手伝う以外は関与していないということになるが、懇親会に出席した参加者全員が、個別に、(安倍事務所職員を通してかもしれないが)1人5000円の飲食費をホテル側に支払ったということになると、その夕食会費を支払うべき「参加者」には、安倍首相夫妻や事務所関係者、来賓も含まれるはずだ。ホテル側が主催する立食の夕食会であれば、これらの人達も、夕食会に参加する以上、飲食をしようとしまいと、参加者の人数に含まれるのは当然だ。

 これらの人達も、すべて自分で夕食会費を支払ったのだろうか。もし、後援会が支払っているとすれば、その分、その「桜を見る会」前夜祭に関する安倍後援会側の「支出」が発生する。支払っていなければ、安倍首相や関係者は「無銭飲食」をしたことになる。

 この疑問に、安倍首相は、どう答えるのであろうか。

カテゴリー: 桜を見る会 | 2件のコメント

“桜を見る会前夜祭”安倍首相の「ホテル名義の領収書」説明への疑問

今年の「桜を見る会」の前日にホテルニューオータニで開かれた前夜祭について、安倍首相は、昨日、「すべての費用は参加者の自己負担。旅費・宿泊費は、各参加者が旅行代理店に支払いし、夕食会費用については、安倍事務所職員が1人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交。集金した現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされた。」と説明し、少なくとも2017年分までの安倍総理に関係する政治団体の収支報告書に“前夜祭”の収支について記載がないことについては「収支報告書への記載は、収支が発生して初めて記入義務が生じる。ホテルが領収書を出し、そこで入ったお金をそのままホテルに渡していれば、収支は発生しないため、政治資金規正法上の違反にはあたらない。」と述べたそうだ(テレ朝ニュース)。

この「説明」には、いくつかの疑問と問題点がある。

「ホテル名義の領収書」と代金支払いの関係

最大の問題は、安倍事務所職員が参加者から集金して「ホテル名義の領収書」を渡したとされている点だ。

少なくとも、ニューオータニほどのホテルが、実際に金銭を受領していないのに「ホテル名義の領収書」を渡すことはあり得ない。「ホテル名義の領収書」が渡されたのであれば、その領収書の額面の金額に見合う支払が、安倍事務所職員からホテル側に前もって行われたはずだ。

会の参加者の人数が予め確定しているのであれば、その確定額を安倍事務所側が「立て替え」、ホテル側に支払って、その金額に見合う領収書を受け取って参加費と引き換えに参加者に渡したということもあり得るだろう。しかし、前夜祭は、「自由参加」の立食の会であり、予め参加の申込みが行われているわけではないはずだ。そうなると、安倍事務所職員が、予め金額を確定してホテル側に支払い、その分の「ホテル名義の領収書」を受け取るということはできないのが通常だろう。

安倍首相の「説明」にある「ホテル名義の領収書」というのが、ホテルニューオータニの正式の領収書であったとすると、安倍事務所側で、「参加者数」を決めて、一人当たりの領収書の金額に「参加者数」を乗じた金額をホテル側に支払って、その人数分の「ホテル名義の領収書」を受領し、参加費の支払と引き換えに参加者に渡したということしか考えられない。

そうなると、そこで前提とされた「参加者数」が、実際の「想定参加者数」と一致していたのかどうか、ということが重大な問題となる。「ホテル名義の領収書」を受け取る際の支払いの前提となった「参加者数」よりも、実際に5000円の参加費を支払った人が少なかった場合、その差額は、安倍事務所側が負担し、安倍事務所には、その分の「ホテル名義の領収書」が残ったということになる。この場合、一人分の「ホテル名義の領収書」の金額と、1人当たり参加費の支払額は一致するが、安倍事務所のホテルへの支払額の総額と、参加者から受け取った参加費の総額は一致しない。

ホテル側に実際に支払われたパーティーの費用の総額が明らかになっていないので、「ホテル名義の領収書」が一枚5000円だったとしても、一体、何枚の領収書が安倍事務所側に渡されたのかが判断できない。

また、ホテルへの支払いが一人当たり5000円では到底足りず、その差額を安倍事務所側で補填しようと考え、「想定参加者数」を大幅に水増しし、実際に参加した人からの支払いとの差額を安倍事務所ないし安倍後援会側が負担したという可能性もある

仮に、そのようなことが行われたとすると、公選法上、政治資金規正法上、どのような問題が生じるのか。

公職選挙法上の問題

まず、公選法199条の2が禁止する「公職の候補者等の寄附の禁止」に当たるか。

確かに、前夜祭の飲食の提供について、ホテル側が、一人当たりの価格設定を「5000円」としていて、その金額と一致する5000円の会費が支払われていれば、金額が釣り合っているので「寄附」には当たらないようにも思える。

しかし、もし、その「5000円」が、実際の参加者を大幅に上回る「想定参加者」を前提に設定されたものであり、実際に提供される飲食費の一人当たりの金額が「5000円」を大幅に上回っていたとすれば、その「超過金額」の分の「寄附」をする意思があり、実際寄附が行われたことになる。

その場合、安倍事務所側が、ホテルへの参加費総額を支払って「ホテル名義の領収書」を受領した際に前提とした参加者数が、実際に想定していた参加者数に見合ったものであったかについての事実確認を行う必要がある。

政治資金規正法上の問題

政治資金規正法上は、安倍首相の「収支は発生しないため、政治資金規正法上の違反にはあたらない」との「説明」は、全く通る余地がない。

「桜を見る会」のツアーは、安倍晋三後援会名義で参加を呼び掛けていることからしても、政治団体である同後援会の活動の一環として行われていることは否定できない。その後援会の事務を行う安倍事務所側が「想定参加者数」でホテル側に支払いをしたとすれば、それ自体が、政治団体としての安倍晋三後援会の「支出」であり、その後、実際に参加者から「一人5000円」で受領した参加費の総額が「収入」となる。この「支出」と「収入」の両方を、政治資金収支報告書に記載すべきであることは言うまでもない。

この場合、安倍晋三後援会の政治資金収支報告書への不記載ないし虚偽記入の政治資金規正法違反が成立することになる。

一流ホテルのニューオータニであれば、「代金を受領しないまま、ホテル名義の領収書を安倍事務所側に大量に渡すことはあり得ないだろうし、参加者数が確定しないのに、一人当たりの参加費を「5000円」として領収書を交付し、参加者が想定より少なかった場合のリスクをホテル側が負担するということも考え難い。

安倍首相自身が「説明」に用いた「ホテル名義の領収書」が、この「桜を見る会」の前夜祭をめぐる問題の事実解明の“鍵”となるかもしれない。

カテゴリー: 政治 | 3件のコメント

服役後5年“不屈の闘志”で司法試験合格した佐藤真言氏を阻む「不条理の壁」

2011年、東京地検特捜部に「震災復興融資詐欺事件」で逮捕・起訴され、実刑判決を受けて服役した経営コンサルタントの佐藤真言氏が、今年の司法試験に合格した。5年前には服役していた佐藤氏が、予備試験を経て司法試験合格まで5年という「超短期合格」を果たすまでの経緯が、産経新聞の記事【元受刑者のコンサルが司法試験合格 「負け犬」から奮起】で紹介されている。

産経新聞記事では、「『負け犬』からの奮起」という言葉が使われているが、決して、佐藤氏は、「負け犬」などではない。経営コンサルタントとしての役割を果たし、社会に貢献していたのに、特捜部の全くの見立て違いの捜査によって逮捕され、引き返すことをしない検察によって、起訴された、まさに“被害者”だった。

佐藤氏を「悪質経営コンサル」と誤認した特捜部

きっかけとなったのは、2010年に、元銀行員の経営コンサルタントAが国税局の査察で摘発されたことだった。Aは、銀行に在職時に、大口の融資話をまとめてはリベートを吸い上げて巨額の利益を得、しかも、その融資先会社は殆ど営業実体がないにもかかわらず虚偽の決算報告書で優良企業のように見せかけていた。東京地検特捜部がAを詐欺で逮捕し、立件された事件だけでも被害額は15億円に上った。

この巨額詐欺事件の元銀行員Aと、「元銀行員の中小企業向け経営コンサルタント」というところだけ共通していた佐藤氏を、特捜部は「粉飾決算の指南役」として捜査の対象とした。佐藤氏を、Aと同様の「悪質コンサル」と見た特捜部は、佐藤氏の自宅を捜索、捜索に赴いた係官は、佐藤氏の住まいのあまりの質素さに驚く。札束も、隠し財産も全くない。佐藤氏への取調べが始まり、その説明から、特捜部の見立てが完全に誤っていたことが明らかになっていくが、特捜部は、引き返そうとはしなかった。

佐藤氏の顧客の会社のほとんどは、リーマンショックによる不況で経営が悪化し、倒産の危険にさらされている状況で、佐藤氏の経営再建に向けての助言・指導を受けていた。売上や在庫を若干水増しして、決算内容を債務超過に至らない最低限のレベルに維持しながら、銀行融資の返済を続けている会社ばかりだった。融資する金融機関の側も、厳しい経営状況を把握しており、決算書の内容を厳密に突き詰めることなく融資継続の是非を判断しているという状況だった。

検察改革で追い込まれた特捜部の「起死回生」のための事件

特捜部は、その顧客会社のうちの一社が「東日本大震災復興緊急保証制度」に基づく保証融資を受けていたことをとらえ、「悪徳コンサルタント会社が実質破綻の中小企業を利用して震災復興の保証制度を食い物にした」という構図で組み立てて、佐藤氏とその会社の社長を逮捕した。

この事件の立件には、当時、検察不祥事を受けた検察改革で縮小されようとしていた特捜部の組織としての思惑があった。2011年4月に「検察の再生に向けての取組み」が公表され、取調べの可視化の試行など様々な施策が打ち出され、その一環として、特捜部の特殊直告班(主として政界汚職事件など特捜部の独自捜査を担当する部門)が縮小し、一班体制とされることになっていた。それに伴い、廃止されることになった「特捜部特殊直告2班」が、「起死回生の一打」を狙って手掛けたのがこの事件であった。

顧客会社は、社長の突然の逮捕で、銀行融資がストップ、会社は破産に追い込まれ、取引先の零細業者も連鎖倒産した。詐欺に問われた信用協会の保証付き融資も、結果的に、返済不能となった。

会社の倒産は、検察の強制捜査のためだった。しかし、会社が倒産し、銀行融資が結果的に返済不能となってしまったため、融資した銀行は、検察官から「粉飾決算を見過ごしたのか」と言われ被害届を出すよう求められれば、出さざるを得ない。被害弁償ができない1億円を超える詐欺事件となれば、執行猶予はつかない。佐藤氏は、懲役2年4月の実刑判決を受けて、服役した。

佐藤氏は、「貸し渋り」「貸し剥がし」が横行する中小企業金融の実態に幻滅して大手銀行を退職、経営コンサルタントとして中小企業経営者に寄り添い、経営改善の支援に懸命の努力をしていた。

普通に聞けば、「銀行から融資名目で1億円を騙し取って実刑判決を受けた」というと、「詐欺師」であったかのように思うだろう。しかし、佐藤氏が詐欺罪に問われた事実は、それとは全く異なる。

佐藤氏は、経営コンサルタントとして苦しい経営状況の中小企業が、金融機関からの融資の継続によって経営を立て直すことに尽力してきた。「粉飾」も佐藤氏が指導して始めさせたわけではなく、決して「粉飾」を指南したわけではない。

金融機関から融資を騙し取る「融資詐欺」の「詐欺師」の典型は、美濃加茂市長事件の贈賄供述者だ。会社の実体もなく、売上も全くないのに、関係機関の代表者印等を偽造、受注証明書・契約書等の公文書・私文書を偽造して、多くの地方自治体・医療機関等から浄水装置を受注しているかのように装ったり、送金元の名義を偽って代金が入金されたように見せかけたりして、事業の実体がないのにあるように偽装して、金融機関から融資金を騙し取っていた。それが、典型的な犯罪としての「融資詐欺」であり、佐藤氏の事件の発端となった経営コンサルタントAの詐欺も同様だ。

佐藤氏の行為は、融資を受けた会社の会計の「紛飾」が否定できるわけではないので、関与が否定できなければ、形式的には詐欺罪が成立することになる。しかし、検察が中小企業の金融取引の実情をわきまえていれば、凡そ、詐欺罪で立件して起訴するようなことではないことはわかったはずだ。

佐藤氏の事件を取り上げた著書・ブログ

7年前、石塚健司氏の著書【四〇〇万企業が哭いている ドキュメント検察が会社を踏み潰した日】(講談社)で初めてこの事件のことを知り、懸命に中小企業の経営改善に取り組む経営者と、それを必死に支える経営コンサルタントという、2人の「ひたむきに生きている善良な市民」が東京地検特捜部の非道な捜査・起訴に踏みつぶされたことに、衝撃と憤りを覚えて書いたのが【「正義を失った検察」の脅威にさらされる「400万中小企業」】。

その後、2人と会って、じっくり話を聞き、改めて、特捜部という権力機関が、このような普通の市民に襲い掛かることの恐ろしさを、私自身の検事時代の経験も含めて書いたのが【特捜検察が「普通の市民」に牙をむくとき】だ。

その後、控訴審でも一審の実刑判決がそのまま維持され、上告したものの、絶望的な状況に追い込まれた佐藤氏自身が、自らの著書【粉飾】(毎日新聞社)を公刊した際に書いたのが【佐藤真言氏の著書『粉飾』で明らかになった「特捜OB大物弁護士」の正体】だ。佐藤氏の著書の中で明らかにされている「特捜OB大物弁護士」は、高額の私選弁護費用を請求しながら、佐藤氏の弁護人として行うべきであった主張を全く行わないどころか、無意味に300万円もの「贖罪寄附」を行わせるなど、最低の弁護活動であり、それが、佐藤氏を「実刑判決の確定」という最悪の事態に追い込むことになった。

私の検察問題への関与を変えた“佐藤氏事件の衝撃”

佐藤氏の事件の衝撃は、その後の私の検察問題への関与の仕方を変えることになった。

私は、2006年に弁護士登録をしたものの、仕事の中心は、組織のコンプライアンスに関するもので、講演や不祥事対応、第三者調査等が中心だった。登録後の数年間は、裁判所に行ったことすらなかった。検察の在り方は、以前から厳しく批判していたが、検察の実務経験を持つ有識者としての、外側からの評論がほとんどだった。大阪地検の証拠改ざん問題等の検察不祥事からの信頼回復のために法務省に設置された「検察の在り方検討会議」に委員として加わったのも、その延長上だった。

しかし、佐藤氏の事件を知り、その巻き添えで逮捕された顧客会社の社長の控訴審の弁護を受任し(執行猶予とはならなかったが、懲役2年4月から2年に減刑)、私は、「やはり弁護人として法廷で検察と戦うべきだ」と強く思うようになった。実際の刑事裁判のフィールドで、検察官と真剣勝負をすることで、初めて、検察の在り方に具体的な影響を与え、佐藤氏のような人を出さないようにすることにも貢献できると考えた。

それ以降、弁護人として戦ってきた事件が、ブログでも紹介してきた「美濃加茂市長事件」「青梅談合事件」「国立循環器病研究センター事件」「福田多宏氏法人税法違反事件」などだ。そういう意味で、佐藤氏の事件は、私の「検察権力との戦い」の原動力になった事件だといえる。

これらの事件に共通するのが、「検察官が判断を誤り、処罰すべきではない人間を処罰する方向に暴走し、引き返すことができない構図」であった。

夢に向かって懸命の努力を続ける佐藤氏に立ちはだかる「不条理の壁」

佐藤氏は、私と最初に会った時に、「刑務所に入ることになっても、出てきて10年たったら法曹資格がとれると聞いています。私のような目に遭わされる人が出ないように、弁護士になりたい。」と話していた。その佐藤氏は、服役後、その夢に向かって、懸命の努力を続け、今年9月、司法試験合格という快挙を成し遂げた。経営コンサルタントの仕事を続けながら、予備試験を2回目で合格、1回の司法試験で、一気に最終合格にこぎつけた。

「“謂れなき刑事事件”で苦しめられる人を弁護人として救いたい」という思いが原動力となった佐藤氏の不屈の闘志と集中力が、どれほど凄まじいものであったか。

しかし、産経記事でも書かれているように、佐藤氏は、司法試験の超短期合格という快挙を成し遂げたにもかかわらず、「禁錮以上の刑を受けた」という欠格事由のため、実際に法曹資格を得るのは容易ではない。刑を受け終わって10年経過すると刑が消滅するので、佐藤氏の場合、あと5年余りで形式的には要件を充たすことになる。しかし、法曹資格取得のためには司法研修所に入所する必要があるが、その入所に関しては明確な規定がなく、裁量に委ねられている。佐藤氏が実際に入所できるのが何時になるかはわからない。法務省に、今後のことを聞き行った際、担当官から「悪知恵を付けてまた詐欺をやるのか」というようなことを言われたそうだ。産経記事のツイッターでのコメントにも、一部のそのような趣旨のものがある。

私自身も関わった「検察の在り方検討会議」等による検察改革で追い込まれた特捜部は、中小企業を倒産の危機から救う経営コンサルタントの佐藤氏を、「悪質コンサル」と誤認して逮捕し、引き返すこともなく起訴し、佐藤氏は実刑判決を受けて服役した。その経験から、「『普通の市民』に牙をむく特捜部から市民を守る弁護士になりたい」と願う佐藤氏は、懸命の努力の末、司法試験合格という快挙を遂げた。ところが、その忌まわしい「懲役前科」が、今も、佐藤氏の前に立ちはだかっている。

まさに「不条理の壁」そのものである。

カテゴリー: 検察問題, 人質司法 | 3件のコメント

関電第三者委は、法曹キャリア「てんこ盛り」の“透明な皿”

昨日(10月9日)、関西電力は、八木誠会長と岩根茂樹社長が辞任すること及び但木敬一弁護士(元検事総長)を委員長とする第三者委員会を設置したことを発表した。

多額の金品受領について「被害者的な言い訳」に終始し、続投を表明した10月2日の記者会見の時点で、辞任を表明するのが当然であり、辞任表明は、遅きに失したものだった。この一週間で関電という企業が失った「社会からの信頼」はあまりに大きい。

問題は、この日設置が発表された第三者委員会を、どう見るかである。

一言で言うと、現時点では、肯定も否定もできない。

まず、委員会のメンバーは、委員長の但木氏をはじめ、裁判所、弁護士界という法曹の世界のキャリアという面では「申し分のない人達」である。中立性・独立性や、私が【関電経営トップ「居座り」と「関西検察OB」との深い関係】で問題にしていた「関西検察 OBの世界」との関係性という面でも問題となる人は含まれていない。

しかし、76歳の但木氏をはじめ、いずれも高齢であることに加え、少なくとも、不祥事の事実調査という面で経験がある人はいない。

検事総長にも「現場系」の人(ロッキード事件で活躍した故吉永祐介氏が筆頭、最近では、大阪地検不祥事を受けて辞任した検事総長の後任として急遽検事総長となった笠間治雄氏が現場経験の豊富な検事総長だった。)と、「法務官僚系」の人とがいる(数的にはこちらのほうが多い)が、但木氏は、典型的な法務官僚系であり、現場での捜査・公判での経験は、任官後の2、3年だけで、ほとんどないに近い人だ。

検察不祥事を受けて設置された「検察の在り方検討会議」では、検察出身者の委員が二人選ばれたが、一人が、陸山会事件などで厳しく検察を批判していた私、もう一人が但木氏だった。

但木氏は、現場経験には乏しくても、頭脳明晰で理解力に優れ、かつ包容力がある人だ。検討会議の際も、会議外でいろいろ話をする機会が多かったし、その後も何回かお会いしているが、基本的にスタンスが異なる私の意見もよく聞いてくれる。そういう意味では、但木氏は、社会的重要性が極めて大きい今回の関電問題の第三者委員会の委員長に相応しい人物と言える。

しかし、問題は、この委員会の構成からは、誰が中心となって調査を実行し、事実を解明していくのか、どのような調査を行うのかが、全く見えないことだ。

但木氏自身は検事としての捜査経験がほとんどないし、奈良道博氏は、元日弁連会長であり弁護士としてのキャリアは申し分ないが、自ら調査を行った経験があるようには思えない。元東京地裁所長の貝阿彌誠氏も、民事裁判官だった人であり、自ら証拠収集をする調査を行った経験はほとんどないと思われる。

15人の弁護士による調査チームが編成されるとのことだが、その調査を総括するのが誰なのかが明らかにされていない。

そして、何より問題なのは、第三者委員会の調査という方法によって、今回の問題の事実解明が可能なのかということだ。

金品を受領した関電幹部の側の話だけを聞く「調査」であれば、既に1年以上前に行われ、「言い訳」を並べた調査報告書は、遅ればせながら、前回の10月2日の記者会見の際に公表されている。

真相に迫るためには、多額の金品を提供した森山栄治氏や、同氏が顧問を務めていた吉田開発の関係者から話を聞くことが不可欠だが、森山氏は既に死亡しており、吉田開発関係者を第三者委員会の聴取対象にするのかどうかも不明だ。

一般的には、第三者委員会の調査での聴取対象は、設置した企業等の内部者が中心だ。私が委員長を務めた九州電力第三者委員会では、やらせメールの発端となった佐賀県知事の発言に関して、佐賀県関係者も聴取対象にしたが、この場合は、九州電力と関係の深い自治体だったからこそ、協力を得ることができたのであり、今後も、関電との取引関係が続くとは思えない吉田開発側が、聴取に応じるかどうかもわからない。

これらの聴取ができないということになると、「違法ではない」との関電側の主張を崩せるかどうかについては、関電の原発関連工事の発注に関する独禁法違反などの成否がポイントとなる。しかし、この点は公共調達法制や、独禁法の専門知識がないと、関電側の言い分を崩すことは容易ではない。この分野に関しては、検察を含め法曹関係者に精通した人材が極めて少ないことも事実だ。調査チームの弁護士が、その点について十分な能力を持っているのか、法学者の中では公共調達法制のほとんど唯一の専門家である上智大学の楠茂樹教授のブログ記事【関西電力発注の原発関連建設工事:独禁法違反の成否は?】も参考にし、必要に応じ、楠教授による専門的知見によるサポートを受けることも検討すべきであろう。

いずれにせよ、今回の問題は、最終的な法的判断がどうなるかは別として、問題の性格上「犯罪的な実体を持った行為」であり、企業等の組織の不祥事に関して、責任追及や犯罪捜査とは離れた、原因究明・再発防止策の策定を目的とする第三者委員会による調査になじむのかどうかも疑問である。

今回公表された関電の第三者委員会は、緊急のオーダーを受けて、豪華な法曹キャリア「てんこ盛り」の“無色透明の皿”を出してきたというに等しく、これだけでは、この極めて根深い問題の真相解明、違法性の有無の判断ができるのか、全くわからない。

カテゴリー: 関西電力問題 | 1件のコメント

日本郵政鈴木副社長「NHK暴力団発言」で露呈した「放送法コンプライアンス」の“無理解”

関西電力の岩根茂樹社長と八木誠会長が、2010年2月に、関電本社の役員会での講演で、私のコンプライアンス論を聞いてくれていた人達であるのに、彼らの金品受領問題に関する記者会見での言動が、残念ながら、全く理解できない、異様なものであったことは、一昨日の【関電経営トップ「居座り」と「関西検察OB」との深い関係】で述べた。今日(10月9日)の日経朝刊で、関電の会長・社長が辞任の方向と報じられているが、当然であり、遅きに失したというべきであろう。

コンプライアンスを通じて私が、過去に関わりを持った人の中に、もう一人「残念な人」がいる。6年以上にわたって日本郵政副社長を務め、「事実上の経営トップ」とも言われる鈴木康雄氏のことだ。

鈴木氏は、かんぽ生命における「保険不適切販売」の問題に関して、NHK側の対応について、「暴力団と一緒」「ばかじゃないの」などと発言したことで批判を浴びている。

私が、2009年10月に総務省顧問・コンプライアンス室長に就任した際、事務次官として、大臣室での顧問の辞令交付にも立ち会ったのが鈴木氏。翌2010年1月、総務省が「日本郵政ガバナンス検証委員会」を設置し、私が委員長に就任した際も事務次官は鈴木氏だった。そして、2014年に、西室泰三社長時代の日本郵政の役員会でコンプライアンス講演を行った際にも、副社長として出席していた。私のコンプライアンスの活動と関わりがあった人の一人である。

先週10月3日に、国会内で開かれた野党5党による合同ヒアリングに、「日本郵政ガバナンス検証委員会」の元委員長として出席した際、日本郵政側で出席していた鈴木氏と久しぶりに顔を合わせた。

そこでは、かんぽ生命の保険の不適切販売の問題に加えて、NHKへの日本郵政側の抗議の問題も取り上げられた。昨年4月に放送されたNHKの「クローズアップ現代+」が、かんぽ生命の販売に関する問題を取り上げ、続編の放送に向けた情報提供を求める動画を公式ツイッターに掲載し、日本郵政に取材に応じるよう求めていたが、日本郵政側が削除を要求し、応じなかったので、会長宛てにそれを要求した。それに対して、NHK側が、「会長は番組の編集に関与しない」と回答したことについて、日本郵政側が「ガバナンスの問題」として、NHKの最高意思決定機関である経営委員会に抗議し、NHKは予定されていた続編の放送を延期、同11月にはNHK側が会長名の“謝罪文書”を渡し、公式ツイッター上の動画も削除された。

一連の対応が、日本郵政側からの「圧力」に屈したと批判を受けていた。このNHKへの抗議の中心となったのが、副社長の鈴木氏だ。

野党合同ヒアリングでの日本郵政鈴木副社長の発言

ヒアリングでは、ちょうど私の目の前の席に鈴木氏が座っていた。

NHK側とのバトルに加えて、野党議員からの追及を直接受ける状況に気が立っているせいか、私の顔を見ても無表情で、不愉快そうだった。

質問に答えて、鈴木氏が説明した事実経過は、以下のとおりであった。

昨年4月の放送の前に取材を受けて、執行役員が取材に答えた。その後、第二弾の放送をするにあたって、公式ツイッターのショート動画で、全く事実の適示がなくて、「元本詐欺」、「詐欺まがい」、「押売りなど」などと書いていた。貶めるようなことをいうのはやめてくれと抗議したところ、番組プロデューサーが「会長は番組内容に関知しない」と発言したので、明らかに放送法違反だと考えて、NHKの編集体制をしっかりしろと会長宛てに抗議文を送ったが、その後何の返答もないので、本来NHKの監督をするのは経営委員会なので、経営委員会に判断を求めたところ、やっとNHKの執行部から返答があった。

ヒアリング出席者のNHKの専務理事や経営委員会委員長代行の説明によると、日本郵政側の抗議に対して、番組ディレクターが「会長は番組内容に関知しない」と発言したことや、日本郵政側の抗議を長期間放置したことを理由に、経営委員会が、会長に厳重注意したとのことであった。

野党議員からは、鈴木氏に、

日本郵政の中に、これだけ強い調子でNHKに対して物を言える人はいない、明らかに元放送行政に関わり、後に事務次官を務め、指導監督をしてきた自負によるもの。一線を越えた行動ではないか。

との質問があった。

それに対して、鈴木氏は、

視聴者は、番組に対して、言われっぱなしで構わないというんじゃない。そのために訂正放送制度というのがあるんじゃないか。放送されたものがすべて正しい。放送しようとしていることがすべて正しいということじゃないと思います。

と反論していた。

日本郵政のNHKへの抗議における「主張」

鈴木氏が、ヒアリングで述べたことからすると、日本郵政側のNHKへの抗議における主張は、以下のようなもののようだ。

(1) 放送事業者は、組織として編成方針を決定し、その方針にしたがって、番組が作成されなければならない

(2) 視聴者側は、放送事業者に、真実ではない放送を行ったとして請求した場合には、放送事業者が調査し、真実ではないことが判明した場合には訂正放送をしなければならない

(3) だから、番組の編集に関して問題があると視聴者側から指摘された場合は、組織のトップの責任において対応し、是正を図らなければならない

放送法は放送事業者に(1)~(3)を義務づけているので、日本郵政の抗議に対して、NHKの番組プロデューサーが、「会長は編集に関与しない」と言ったこと、抗議を長期間放置したことが、放送法違反であり、それに対して是正措置をとらなかった会長には重大な義務の懈怠がある。

NHKの経営委員会は、上記のような日本郵政側の主張が正当だとして、会長に厳重注意を行ったということのようだ。

日本郵政の「放送法コンプライアンス」の無理解

しかし、日本郵政側の抗議の内容や、NHKとのやり取りの詳細の資料は不明だが、少なくとも、上記のように、日本郵政側が、放送法を盾にとってNHKに抗議し、公式ツイッター上の動画を削除までさせたことが、放送法の趣旨に沿うものとは思えない。鈴木氏は、「放送法コンプライアンス」をはき違えており、そこには、「根本的な無理解」があるのではないか。

第一に、組織として決定する「編成方針」というのは、どのような目的で、どのような番組を作成していくのかという基本的な番組編集方針のことであり、その方針の決定を組織として行うに当たって、NHKの経営トップである会長が関与するのは当然である。しかし、一方で、放送法3条は、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と定めているのであり、個々の番組の内容について外部者から干渉されることを禁じている。組織のトップに対する外部からの働き掛けで番組内容が影響を受けることは、3条の規定に反するものであり、放送事業者としては、そのような「干渉」を受けないようにすることが求められる。

第二に、放送法9条の訂正放送に関する規定は、既に放送された番組について、その内容が真実ではないとして権利の侵害を受けた側から請求があった場合に関するものであり、番組を編集する過程で、真実ではない放送が行われようとしているとして、外部から、それを止めるように請求することを認める規定ではない。

したがって、今回の日本郵政からの抗議のように、昨年4月に放送した番組に続く「第二弾」の編集の過程で、その番組の準備としての取材に対して、取材される側が、NHKの会長に直接是正を求めた場合、個々の番組の編集のための取材の過程に会長が介入することは、放送法の趣旨に反するものであり、そこで放送法9条の訂正放送の制度を持ち出すのは的外れだ。

また、鈴木氏は、公式ツイッター上の動画の削除を求めたことも、「訂正放送制度」によって正当化されるかのように言っているが、公式ツイッター上の「動画」は、NHKが行う「放送」ではないので、そもそも放送法9条による訂正の対象ではない。

日本郵政の鈴木副社長が中心となり、放送法を盾にとってNHKへの要求を繰り返したことの方が、放送法の趣旨に反していると言うべきであろう。

鈴木氏の「NHK暴力団」発言

ところが、鈴木氏は、このヒアリングの終了直後、記者団に対して、

取材を受けてくれるなら動画を消す。そんなことを言っているやつの話を聞けるか。それじゃ暴力団と一緒でしょ。殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならもうやめてやる、俺の言うことを聞けって。ばかじゃないの。

などと発言したと報じられている(朝日など)。

NHK側は、日本郵政側に「取材を受けてくれるなら動画を消す」と言ったことを否定しており、前提事実にも疑義があるが、それ以前の問題として、鈴木氏が放送法を盾にとってNHK側に要求していること自体が、「因縁」に近いものであり、それによって動画を削除させたことの方が、よほど「暴力団的」なやり方である。

総務省で放送法を所管する立場での職務経験が長く、「放送法コンプライアンス」をわきまえているはずの鈴木氏が、それに根本的に反する行動をとり続けていることは、由々しき問題である。

カテゴリー: Uncategorized, 日本郵政問題 | 1件のコメント

関電経営トップはなぜ居座り続けるのか~「関西検察OB」との”深い関係”

組織の経営トップないし、それに近い立場の人間は、その組織の運営に極めて大きな影響力を持つ。そういう立場の人間が、信頼され、その地位に相応しい責任感と倫理観を持って、職務を行うことで、組織の健全な運営が可能になる。

日本社会を揺るがす極めて重大なかつ深刻な不祥事となっている関西電力幹部の金品受領問題。先週、10月2日に行われた2回目の記者会見で、目の当たりにした岩根茂樹社長と八木誠会長は、かつて私がコンプライアンス講演で直接の接点のあった人達だった。

しかし、会見で見た彼らの言動は、残念ながら、全く理解できないどころか、異様なものだった。彼らが関電の経営トップの地位にとどまっていること自体が、関電という企業にとっても、日本社会にとっても、極めて有害であり、到底許容できないものである。

しかし、岩根社長も八木会長も、それ以外に多額の金品を受領した関電幹部も、辞任する気配は全くない。

なぜ、このようなことがまかり通っているのだろうか。

その背景にある、関西経済界と関西検察OBとの「深い関係」に注目する必要がある。

「異様な空間」だった関電記者会見

10月2日、私は、福田多宏氏の法人税法違反事件の控訴審判決を一週間後に控えて、午後2時から、大阪司法クラブで記者会見に臨んだ(【福田多宏氏控訴審判決で問われる「刑事司法」「検察改革」の現状】)。ちょうど、その場に、ここのところ、インタビュー記事【郷原弁護士が読み解く「かんぽ不適切営業の本質」】など継続的にコメントをしている東洋経済のデスクが来ていた。40分程で会見が終了した後、同デスクから、「近くで行われている関電の記者会見に向かうので、同行して、関電の会見についてコメントしてもらえないか」と依頼され、関電の会見場に向かった。東洋経済のコメンテーターとして受付を済ませ、会見場に入った。

最前列では、社長・会長ら関電幹部が会見に臨んでおり、広いホールはマスコミ関係者で埋め尽くされていたが、僅かに残っていた空席をみつけて着席し、2時50分頃から約1時間半、質疑応答を聞いた。

関電金品受領問題、記者会見のポイント~「会社役員収賄罪」としての“犯罪性”に迫れるか】の末尾でも述べたように、私自身、かつては、電力会社のコンプライアンスには深く関わっており、関西電力からもコンプライアンスに関して依頼を受けることが何回かあった。社内のコンプライアンス講演も3回行い、2010年2月には、関電本社の役員会での講演も行った(その後2011年に九州電力第三者委員会の委員長を務め、報告書に九電経営幹部が反発して対立が表面化した後は、電力会社からの私への依頼は全くなくなった。)。

当時、八木氏は取締役副社長、岩根氏は常務取締役で、私が講演を行った際も、役員会に出席していた。その講演で、私は、

コンプライアンスは、「法令遵守」ではなく「社会の要請に応えること」

という一般論に加え、当時、電気事業・保険事業・放送事業等の公益的事業で相次いでいた企業不祥事に関して、

公益的事業においては、『法令遵守の範囲内で自由競争に委ねる』という単純な考え方は適合しない。多数の重要な社会的要請の実現に取り組み社会からの信頼を確保することが不可欠

ということを強調した。岩根氏と八木氏を含む役員会のメンバーは、誰しもが私の話に真剣に聞き入ってくれていた。

ところが、10月2日の関電の記者会見で目の当たりにした岩根社長、八木会長の発言は、関西財界を代表する企業の経営トップとは到底思えないものだった。

配布された会見資料の中に、昨年9月の「調査委員会報告書」が含まれていた。その委員長の名前に「小林敬弁護士」と書かれているのにも驚いたが、問題は、その中身だ。金品の受領も、

原発立地地域に強大な影響力を持つ高浜町元助役森山栄治氏の度重なる恫喝のために受領したもので、関係を損ねないように「機会をうかがいながら返還しようとしていた」

などと、関電側は、被害者のように書かれている。

そして、そのような報告書の内容についての質問に、岩根社長と八木会長が答えている。

記者から、「現金、商品券、米ドル、金貨とか、おびただしい種類の金額のものを、この人はどこかからお金を持ってきているのか、どのように認識されていたんでしょうか。」という当然の質問があった。

それに対する答えは、

そこの出資元につきましては、考えのおよびつかぬところでございます。(岩根社長)

森山氏が私どもに持ってきた金銭の出どころがどこにあるかは分からない。従って、分からないということであります。(八木会長)

というものだった。

森山氏が持ってきている夥しい額の現金や金貨の原資は「全くわからない」というのである。森山御殿の庭から、金がザックザックと湧き出てくるとでも言いたいのだろうか。

そんな言い訳が通らないことは小学生でもわかる。

さらに、記者から「還流かどうかはともかくとして、家庭向けの電気料金の値上げをして顧客から負担を強いているという状況で、関電の幹部が数千万単位の金品を、何年間にもわたって受け取っていた。国税も、預かったんではなく受け取ったという認定をしていることついての受け止めはどうでしょうか。」と聞かれると、

われわれの認識としてはお預かりしているものでございまして、別に管理をしているものでございまして、必ず返すというものと認識してございます。まだ残っている部分も含めまして、必ずご遺族のご理解を得て全額返して、こうしたことについての影響がないようにやってまいりたい。(岩根社長)

利用者に電気料金の値上げの負担をかけている一方で、多額の金が、関電幹部の下に還流してきていたという事実をどう受け止めるか、と聞かれているのである。森山氏の遺族に返したところで、関電の利益にはならないし、電気利用者にも還元されない。

岩根社長、八木会長は、そのような、まともな社会常識を備えていればあり得ないような「言い訳」を、悪びれることなく続けている。

その様子を見て、私は、眩暈がしそうだった。これが、9年前に、私のコンプライアンス講演を聞いてくれていた関電役員なのだろうか。

しかも、記者たちも、質問者も多く、質問事項も多いので、一つの質問への答が納得できなくても、さらに質問をすることはほとんどない。会見場では、あたかも、そのような答えが、まかり通っているように思える。

まさに「異様な空間」だった。こういう人たちが、関電の経営トップとして「君臨」している。そして、その会社が、福島原発事故のように地域社会を崩壊させてしまう、取り返しのつかない重大事故を起こしかねない「原発」の運営を行っている。私にとっては、想像したくもない、そして、我々の社会において決して容認することができない事実だった。

「不適切だが違法ではない」との考え方は通用しない

岩根社長は、今回の問題について、「不適切だが違法ではない」ということを強調した。確かに、森山栄治氏や吉田開発との関係も、法令や社内規則のどの規定に、どのように違反するかと言えば、今のところ、明確ではない。

しかし、原発を運営する事業者にとっての「社会的要請」との関係からは、全く容認できるものではなかった。

かつて、原発の安全神話が多くの人に信じられていた時代であれば、地元の有力者に金をばらまいて原発の建設や稼働への了解を得るというやり方も、「エネルギーの確保」という社会の要請に応えるという大義名分のために、事実上、容認されてきた。しかし、福島原発事故で「原発安全神話」が崩壊し、原発を運営する電力会社の「信頼性」が重要となる中で、原発立地地域に不透明な金をばらまくことも、社会が認めるものではなくなった。ましてや、その資金の一部が電力会社幹部に還流していたなどという今回の問題ほど、電力会社に対する信頼を崩壊させるものはない。「社会的要請に応える」というコンプライアンスの観点からは、最低・最悪の行為である。

9年前、役員会での私のコンプライアンス講演を聞いてくれていた人たちであれば、原発を運営する電力会社幹部が引き起こした今回の問題について、「不適切だが違法ではない」という「言い訳」が通用しないことがわからないはずはない。

「違法ではない」と言い切れるのはなぜか

それなのに、関電経営陣は、辞任する姿勢を全く見せない。

そこには、自分達の行為が、「司法判断」や「第三者委員会の判断」で「犯罪」や「法令違反」とされることがないという見通しがあるからだろう。

関電の取引先事業者の関係者から、多額の金銭を受領していた事実が明らかになっているのであるから、通常であれば、何らかの形で違法の判断を受け、或いは、刑事事件で逮捕・起訴される可能性を認識するはずだ。しかし、関電の経営幹部の態度からは、自分の行為が違法とされるリスクを認識しているようには思えない。

確かに、これまでのブログ記事でも述べているように、「会社役員の収賄罪」(会社法967条)には、「不正の請託を受け」という要件のハードルがある。また、山口利昭弁護士が【関西電力裏金受領事件-やっぱり「お天道様は見ている」】で指摘する、「経済関係罰則の整備に関する法律」という古い法律の収賄罪の適用については、「電気事業、瓦斯事業其ノ他其ノ性質上当然ニ独占ト為ルベキ事業ヲ営ミ」という文言との関係で、電力自由化後の電力会社役職員に適用されるのかという問題がある。

しかし、これらの罰則が、現在も法的に有効なものであることに疑いはないのであり、その適用の可否をギリギリまで判断すべく、真相解明のための捜査に速やかに着手するのが、検察官として当然の責務だ。また、関電の高浜原発関連の工事発注における競争制限行為に関連して、公取委と連携して独禁法違反による摘発を行うことを検討する余地もある。

しかし、「大阪地検特捜部」には、そのような動きは全く見られない。

そして、関電幹部の姿勢は、そのことを見通しているようにも思える。その見通しの背景にあるのは、関電を中心とする関西経済界と関西検察OBとの「深い関係」であろう。

なぜ調査委員会委員長が「(元大阪地検検事正)小林敬弁護士」なのか

今回報告書が公表された調査委員会の委員長が、元大阪地検検事正の小林敬弁護士であることが明らかになった。記者会見での岩根社長の説明によると、小林氏は、かねてから関電のコンプライアンス委員会の委員を務めているとのことだ。

10月5日放送のTBS「報道特集」で取り上げられた関電の内部事情に精通した人物によるとみられる「内部告発文書」によれば、

「コンプライアンス委員会が隠蔽のための作戦会議と化している」

とのことであり、その「隠蔽のための作戦会議」に加わっていた委員会のメンバーが小林氏ということになる。

小林氏は、大阪地検検事正として、村木事件の証拠品のFDデータの改ざん問題について、当時の大坪特捜部長らから、「過失によるデータ改変」と報告されたが、何の措置もとらなかったことの責任を問われ、減給の懲戒処分を受けて辞任した人物だ。

大坪氏・佐賀氏らが犯人隠避で逮捕・起訴され有罪判決を受けて法曹資格を失ったのに対して、小林氏は、懲戒処分を受けただけだった。それは、大坪氏らから「過失によるデータ改変」と報告されたために過失としか認識しなかった、という理由によるものだった。

しかし、2013年9月25日に大阪高裁で言い渡された大坪氏らの控訴審判決は、

小林及び玉井は、被告人両名の報告が、前田の行為により過誤による改変が生じたとの内容にとどまったとしても、大阪地検の最高幹部として、重大事件における最重要の証拠であるデータに手を加えたという重大な不祥事との認識を持って、被告人両名に対し、真相の解明を急ぐなど迅速な対応を指示するとともに、上級庁にも直ちに報告すべきであった。

と判示し、「過失によるデータ改変」を見過ごした小林検事正と玉井次席検事の責任を厳しく指摘している。

大阪高裁判決は大坪氏・佐賀氏からの報告で、少なくとも「過失によるデータ改変」との認識はあった小林検事正が、その事実を上級庁に報告しなかったことについて、重大な責任があると指摘しているのである。

しかし、小林氏の対応は、検察組織にとっては好都合だったと言える。「過失によるデータ改変」が仮に、報告されたとしても、高検・最高検が自主的にその事実を公表したとは思えない。結局のところ、組織として「隠蔽」は変わらなかったと考えられるのであるから、小林検事正が、「過失によるデータ改変」を上級庁に報告せずに「隠蔽」したことは、不正行為についての認識を大阪地検内部にとどめ、大阪高検・最高検に責任を拡散させずにとどめ、当時の高検・最高検幹部を救った功績とみることもできる。

当時、特捜部長・副部長だった大坪氏・佐賀氏は、犯人隠避罪で有罪が確定して法曹資格を失い、次席検事だった玉井氏は、大坪氏らに責任を押し付けたことで心労がたたったのか、辞任後まもなく急死した。つまり、前代未聞の検察不祥事となった「証拠改ざん」の問題について上司として責任を問われながら法曹資格を維持したのは、小林氏だけである。

小林氏は、2011年に弁護士登録し、その2年後、上記の大阪高裁判決で、厳しく「隠蔽」の責任を指摘された直後の2013年11月に、阪急阪神ホテルズの「食材偽装改ざん問題」の第三者委員会の委員長に就任した。また、その後、積水ハウスの社外監査役、山陽特殊製鋼の社外取締役等も務めた。そして、関西電力のコンプライアンス委員会の委員にも就任していたことが今回明らかになった。このようなポストへの就任は、何らかの「後ろ盾」なくして実現したとは思えない。

検察が捜査に動かないことの背景に「関西財界と関西検察OBとの深い関係」

関西では、検察の大物OBと、経済界の関係が深いと言われている。その中心に位置するのが、「関西検察のドン」と称される元検事総長土肥孝治氏だ。土肥氏は、長年にわたって関西電力の社外監査役を務め、今年6月の株主総会で退任した、その土肥氏の後任として新たに社外監査役に就任したのが、元大阪高検検事長の佐々木茂夫弁護士。今年で75歳、後期高齢者が新任社外監査役というのは、極めて異例である。

10月5日付け朝日新聞によれば、調査委員会報告書の内容は、昨年10月の時点で、監査役会に報告されていたとのことだが、その監査役には土肥元検事総長も含まれていた。また、今年の春頃から始まった「金品受領問題」の内部告発の動きは、5月頃には、表面化の危険性が高まっていた。その対応が関電経営陣にとって重大な問題であったことと、敢えて超高齢の関西検察大物OBを監査役に選任したことは無関係とは思えない。

証拠改ざん問題で引責辞任した小林氏は、社会的には、検察幹部として失格という評価を受けて然るべきだが、関西検察OBからは「評価」を受けたのであろう。小林氏は、その後、多くのポストの配分を受け、関電のコンプライアンス委員会の委員にも就任した。そして、今回の問題では、調査委員会の委員長を務め、会長・社長を含む会社幹部が3億円を超える多額の金品を受領している事実を確認しながら、ただちに公表するという、公益事業を担う電力会社として「当然のコンプライアンス対応」を行うよう意見を述べることもなく、「隠蔽」に加担した。

証拠改ざん問題の「隠蔽」にも、問題意識をもって取り組まなかった小林氏であるが故の対応とみる余地もあるが、個人の意思を超えた、関西検察OBの意向が働いていた可能性もある。

関西検察の大物OBから、関電の問題で捜査に着手しないよう強い要請を受けているとすれば、大阪高検・大阪地検等の関西検察の幹部にとって、自らの退官後の処遇に与えるリスクを考えれば、関電への捜査を容認することは困難であろう。大阪地検特捜部の現場にも、そういう上層部の意向を十分に忖度する「賢明な検事達」が集まっているのであろう。

こうなると、最高検が主導性を発揮し、東京の特捜部等が捜査に乗り出すしかないが、そもそも、検察全体が劣化し、やるべきことはやらず、余計なことに無駄な労力を費やそうとしている状況(直近では、【青梅談合事件・一審無罪判決に控訴した”過ちて改めざる”検察】)では、それも到底望めないだろう。

そうなると、今後関電が設置するとしている「第三者委員会」がどのような委員構成で行われるかが、極めて大きな意味を持つ。

しかし、岩根社長は、記者会見で、第三者委員会の委員の人選について聞かれ、

複数の先生方からの推薦を頂いて、第三者委員会で完全中立だと相当なマンパワーもいると思うので、しっかりした弁護士事務所とか経験のある人とか、そういうことを踏まえて選定する。

と答えていた。

この「先生方」が検察大物OBを含み、その推薦する弁護士を委員に選任し、所属する大手弁護士事務所が調査補助に入るということであれば、第三者委員会の調査結果にも、全く期待できないことは明らかだ。

関西電力が行う第三者委員会の委員の選任のプロセス・調査体制の構築に注目する必要がある。しがらみに影響されることなく、真相を解明し、問題の本質に迫ることができる第三者委員会が設置できるかどうか、極めて重要な局面だと言える。

カテゴリー: 関西電力問題 | 1件のコメント

青梅談合事件・一審無罪判決に控訴した”過ちて改めざる”検察

9月20日、東京地裁立川支部で、酒井政修氏に対して言い渡された「青梅談合事件」の無罪判決に対して、控訴期限の昨日、検察官は控訴を行った。

マスコミから得ていた情報でも、無罪判決を覆すのは困難だとして、事件を担当していた地検立川支部を含め、現場の判断は控訴に消極とのことであり、よもや、控訴はあり得ないだろうと考えていた。検察の最終判断は、事件の内容、証拠関係、一審での公判経過を無視し、単に、一審無罪判決を確定させたくないからの控訴としか思えない。

警視庁捜査2課が、青梅市役所への捜索を含む大々的な強制捜査を行った事件で、一審で全面無罪の判決というのは、記憶にない。しかも、この事件は、第1回公判で、被告人が公訴事実を全面的に認め、検察官請求証拠が全て採用され、被告人が保釈された後に、全面無罪を主張したもので、そのような経過で全面無罪になったケースは過去には殆ど例がない。まさに「前代未聞の無罪判決」である(【青梅談合事件、「”人質司法”の常識」を覆すことができるか~9月20日午後、東京地裁立川支部で判決~】

しかし、もともと、全く「無理筋」の談合事件を、警視庁捜査二課が酒井氏を逮捕し、検察官が起訴し、「人質司法」のプレッシャーで、被告人の無罪主張を封じ込もうとした事件だったのである。

酒井氏は、採算が悪い工事で受注しようとする業者がなく、入札不調の可能性があったことから、工事遅延で発注者の青梅市に迷惑をかけることを懸念し、仕方なく工事を受注することにしたものであり、「複数の業者の受注希望を話合いで調整して絞り込んで、叩き合いで受注価格が下がらないようにする」という「犯罪としての談合」とは全く異なるものだった。

刑法は、「公正な価格を害する目的」と「不正の利益を得る目的」で談合した場合のみを談合罪として処罰の対象としている。このいずれかの目的があることが、まさに「犯罪性を根拠づける要素」であるのに、本件では、それがないのである。談合罪の刑事事件としては、全くの「無理筋」であることは明らかな事件だった。

そのような事件であったが、一審裁判所は、検察官に十分過ぎるほどの主張・立証の機会を与え、慎重な審理の末、無罪という正当な判断に至ったものである。

この事件を判決前から取材していたジャーナリストの江川紹子氏も、【無罪・青梅談合事件から見える日本の刑事司法の今】で、この事件に表れた刑事司法に関する問題を指摘するとともに、法廷で直に証言を聞いて判断しようとした今回の裁判所の姿勢を評価している。

一審無罪判決に対する検察官控訴は、日本の刑事裁判では認められているが、米国のように禁止する国も多い。憲法39条の「何人も、既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない」との規定に反し違憲だとする学説も有力であり、日本弁護士連合会も、刑事裁判の第一審で無罪判決が出た場合に「検察官の控訴」を禁止する刑事訴訟法の改正を求めている。検察の実務においても、検察官控訴は、一審判決に明らかな事実誤認がある場合など、控訴審で覆せる可能性が高い場合に限って行うという抑制的な運用が行われてきた。

本件での検察官控訴は、そのような一般的な実務からもかけ離れたものであり、検察や警察の面子を維持することを目的とする控訴権の「私物化」であり、到底許されるものではないことは、以下に述べる、警察捜査の経過、検察官の「公正な価格を害する目的」についての主張・立証の経過などから、明らかだ。

 

「警察の無理筋逮捕」を容認し、酒井氏を勾留・起訴した検察

昨年5月、この事件の捜査に着手したのは警視庁捜査二課である。汚職・経済犯罪の捜査部門としての捜査二課では、全国の都道府県警察の最上位に位置する組織だ。当初の狙いは、地元建設業者と青梅市幹部との汚職や入札不正の摘発だった。酒井氏を任意聴取して、その情報を引き出そうとしていた。捜査官は、酒井氏には「協力してくれれば悪いようにはしない」と繰り返し言っていた。

ところが、1か月以上任意聴取を続けたものの、狙い通りのネタは何も出てこなかった。酒井氏の任意聴取は中断し、何事もなく終わったものと思っていた昨年7月5日、酒井氏の自宅は、早朝から、夥しい数の報道陣に取り囲まれた。酒井氏は、一体何が起きているのかわからず、取調べ担当だった捜査官に電話した。「とにかく、車でそこから抜け出して来てくれ」と言われたので、妹の運転する車で立川署に向かい、捜査官と合流、その後、警視庁立川分室に連れていかれ、そこで逮捕された。「どうして俺が逮捕なんだ」と捜査官に食い下がると、「裁判所で令状が出た」とのこと。あたかも裁判所が逮捕すべきと判断して命令したかのような言い方だった。

そのような経過からしても、捜査の現場の判断ではなく、警察組織の上位者の判断で、酒井氏逮捕の判断が行われたものと考えられる。コストをかけて捜査した以上、当初の目論見が「見込み違い」だったとわかっても、潔く撤退しようとしないということなのであれば、「警察の独善」以外の何物でもない。

それ以上に問題なのは、無理筋の事件の捜査で逮捕された酒井氏の身柄送致を受けた東京地検立川支部の対応だ。このような事件では、逮捕前に検察に事前相談があり、東京地検の上位者まで了解した上で、警察にゴーサインを出したはずだ。

この事件は、談合罪の主観的要件であり、犯罪性の根拠と言える「公正な価格を害する目的」がない典型事例だ。その問題を指摘し、逮捕を思いとどまらせるのが検察官の役割だ。

ところが、東京地検は、酒井氏の逮捕を了承し、全面否認のまま勾留し、他の指名業者に対して、逮捕・起訴のプレッシャーをかけ、都合のよいストーリーどおりの供述調書をとって形だけ証拠を整え、酒井氏を起訴した。

 

「公正な価格を害する目的」についての検察立証の迷走

第1回公判で、被告人の酒井氏が公訴事実を全面的に認め、検察官請求証拠がすべて同意証拠として採用された後、私が弁護人を受任した。「公正な価格を害する目的」について、検察官は、冒頭陳述では、「青梅市が発注した同種工事の平均落札率(入札価格を予定価格で割った数値)は約89.79パーセントであり、本件工事の入札適正価格は約8744万6481円となるところ、酒井組による本件工事の落札率は99.6パーセントであった。」と主張していたが、その根拠となる証拠は全くなかった。

弁護人となって最初の10月10日の第2回公判で、酒井氏は、罪状認否を変更、全面無罪主張に転じた。その後、指名業者の証人尋問が行われるなどして弁護側立証に概ね目途がついたのが、12月10日の第5回公判だった。

公判後の裁判所、検察官、弁護人の3者打合せが行われ、裁判所から、「12月25日の第6回公判で検察官、弁護人双方の立証を終了し、1月の論告弁論で結審、3月中旬に判決」という予定が示された。

その時点で、検察官は、裁判所から、「公正な価格を害する目的」があったと主張する根拠と理論構成を次回期日までに明らかにするよう求められ、期日の直前に、以下のような主張を行う書面を提出した。

被告人は、本件工事の受注によって利益を得るとともに、酒井組の東京都における格付けを維持するなどの目的から、本件工事を受注したいという積極的な意思を有していた。酒井組が本件工事を受注する蓋然性を高めるためには、仮に談合をしなければ、より低い価格で応札せざるを得なかったはずであり、本件談合は、酒井組自身が高い価格で応札することを可能にするためになされたものであるから、公正な価格を害する目的があったものと思料する。

検察官は、被告人が本件工事に対して「積極的受注意思」があったことを立証することで、「談合がなかった場合の想定入札価格」が「実際の落札価格」を下回っていたことを立証しようとし、立証事項として、(1)本件工事の受注で利益を得ようしていた、(2)東京都の格付けを維持する目的があった、(3)酒井組の経営状況、工事受注状況、(4)本件工事と同種の擁壁工事の平均落札率の比較、の4項目を示してきた。そして、その立証準備のために3月末までの期間を要するというのである。

しかし、本件においては、受注の経緯からしても、入札価格決定の経緯からしても、被告人の「積極的受注意思」が立証できるとは考えられなかった。

(1)~(4)の事項の立証では、酒井氏の「積極的受注意思」も、「公正な価格を害する目的」も立証できないことは明らかであり、検察官の立証計画は、審理を不当に遅延させるものでしかなかった。

(1)については、酒井氏が本件工事で利益が見込めないことを覚悟の上で受注したことは、受注に反対した工事部長の証言等から明白だった。また、(2)の東京都の格付けについては、確かに、酒井組は、東京都の格付けが数年前までCクラスだったのがBクラスに上がっており、大型工事の受注がなければ、Cクラスに下がる可能性があった。しかし、酒井組は、完成工事高3億円程度で小規模企業で、それまでの東京都の受注工事の殆どがD等級で、B,C等級の受注はほとんどなかった。Cクラスであれば、直近の等級のD等級の工事の受注可能だが、Cクラスの格付けのままではD等級が受注できず、かえって不利だった。Bクラスを維持することは酒井組にとって何らメリットがなく、東京都の格付け維持は本件工事の受注の動機にはなりえなかった。(3)は、酒井組の業績が赤字だったことを、大型の本件工事の受注意欲に結び付けようということのようだが、酒井組の経営は概ね順調であり、本件工事を受注し赤字となったことで経営上大きなマイナスが生じたもので、検察官の主張とは真逆であった。(4)は、擁壁工事というのが、手間のかかる困難な工事で利益が見込めない工事であることは、複数の指名業者が証言しており、その平均落札率をとってみても、本件工事の酒井組の落札率を大きく下回るものになるとは思えなかった。

酒井氏が談合罪で逮捕されたため、次女が酒井組の社長を引き継いで、事業を継続していたが、青梅市から1年間の指名停止、東京都からも9か月の指名停止となっているため、公共工事の受注は全くなかった。他の業者からの下請けや民間工事受注で何とか凌いでいたが、経営はぎりぎりだった。全面無罪を争っている刑事事件の結論が少しでも早く出ることに望みを託し、何とか会社を維持するため懸命の努力を続けていた。

弁護人からは、検察官の補充立証にそのような期間をかけることは全く無駄であることを指摘し、早期結審を求めた。しかし、裁判所も、検察官が立証の意思を示している以上、機会を与えざるを得なかった。

検察官の「無責任極まりない証拠請求」に唖然

公判担当検察官は、当初は、若手のN検事一人だったが、証人尋問が始まる頃から、先輩格のT検事が加わり、二人となった。検察官は、3月25日付けで「『公正な価格を害する目的』に関する検察官の主張・立証」と題する書面を提出し、証拠請求をしてきたが、その内容は唖然とするものだった。

(1)については、酒井組の会計帳簿の分析結果の警察官の報告書、(2)については、東京都の関係部局への格付け制度の照会結果、(3)については、酒井組の取引金融機関からの照会文書、(4)については、「建通新聞」という業界紙の記事を検索しただけだった。

弁護人からは、請求書証はすべて「関連性なし」で不同意にし、検察官の証拠請求に全く意味がないことを指摘する書面を提出した。

ところが、検察官は、弁護人の書面に対して何の反論もしないまま、4月9日付けで、(1)~(4)の文書等の作成者(東京都職員、金融機関担当者、建通新聞を検索した警察官等)証人尋問請求をしてきた。

警察官以外で、検察官に証人尋問請求されている人達に、事前に検察官から話があったかどうかを確認してみたが、事情も聴かれておらず、証人尋問の話も全く聞いていないとのことだった。全く無責任極まりない証人尋問請求に抗議しようと地検立川支部に電話をかけたところ、2人の公判立会検事は4月10日付けで異動になっていた。異動先は、N検事は「弁護士職務経験」で大手法律事務所に、T検事は名古屋地検とのことだった。

通常、検察官が証人尋問を請求するのであれば、供述内容を確認し、それが立証事項にどのように関連するのかを検討した上で、請求する。ところが、「関連性がない」との弁護人の意見も無視し、何の確認も行わないまま、証人尋問請求をして、翌日には異動でいなくなったのである。まさに、「やり逃げ」である。納税者の負担で「公益の代表者」として職務を行う立場の検察官として凡そ考えられないやり方だ。

後任のK検事が公判を引き継いだが、記録を読んで事案の内容を理解するのにかなりの期間がかかる。結局、次の打合せが行われたのが4月末、公判期日が開かれたのは5月17日だった。その間も、酒井組に対しては青梅市や東京都の指名停止によって、公共工事は全く受注できず、酒井組の経営は深刻な状況が続いていた。

 

「当然の失敗」に終わった検察官立証と無罪判決

5月から6月にかけて、東京都職員、金融機関の担当者等の証人尋問が行われたが、酒井氏が「積極的受注意思」を持っていたことや「公正な価格を害する目的」など全く立証できないという結果に終わった。

しかも、一定期間で「擁壁工事」の入札状況について検索した結果は、16件中13件が「入札不調」だった。まさに酒井氏が本件で懸念していたとおりだった。残る3件のうち1件は、予定価格ぎりぎり、低落札率の2件は、一般的な「擁壁工事」とは異なるものだった。検察官の立証は、弁護人の主張を裏付けるものでしかなかった。

7月19日の論告弁論。検察官の求刑は罰金100万円だった。K検事が論告を作成するなかで、証拠関係全体を見直して、「公正な価格を害する目的」の立証ができていないことを再認識し、さすがに公訴取消というわけにもいかず、検察内部で検討した上で、求刑を罰金に変更したのであろう。

そして、9月20日、酒井氏に無罪判決が言い渡された(【青梅談合事件、「無罪判決」に涙】)。

本件では、酒井氏を逮捕した警視庁捜査二課も、勾留の上、起訴し、1年以上にもわたって公判を引き延ばし、有罪立証を断念しなかった検察も、全くデタラメだった。その数々の非道は、酒井氏とその家族に筆舌に尽くしがたい苦痛を与えた。

青梅の老舗の地元建設業者として、地域に貢献してきた酒井氏は、突然、逮捕され、がん手術後、体調も思わしくない状態で、昨年夏の異常な猛暑の中、冷房もない拘置所に80日にもわたって勾留された。家族とも面会も禁止されたままの身柄拘束で塗炭の苦しみに耐え切れず、初公判で、心にもなく、罪を認めるという屈辱を受けた。その酒井氏に代わり酒井組の社長を引継いだ次女は、他の地元業者からの工事下請や金融機関の支援を受け、社員一丸となり歯を食いしばって会社を守った。その酒井組にとって、検察官が、ほとんど意味もない補充立証と異動の引継ぎのために費やした半年もの期間は、どれだけ長い期間であったか。

起訴から1年2か月後、ようやく無罪判決が下された。罪状認否を変更した後の酒井氏の無罪主張にしっかりと向き合う一方、検察官にも、立証の機会を十分に与えて丁寧な審理をしてきた野口佳子裁判長は、判決言い渡し後、酒井氏に「長い間お疲れ様でした。」と声をかけた。その裁判長もよもや予想していなかったであろう控訴を、検察は行ったのである。

求刑を罰金に落とし、半分「白旗」を上げていながら、酒井氏をなおも「被告人」の立場に立たせ続けようというのである。

検察官は、一審無罪判決に対して、控訴審で何を主張しようというのだろうか。

被告人の「積極的受注意思」を立証することで、「公正な価格を害する目的」を立証しようとする試みが、無駄に半年以上もの期間をかけたにもかかわらず、全く箸にも棒にもかからなかった。検察官が、その前提としていた「公正な価格を害する目的」の法解釈について、全く異なった主張をするというのだろうか。弁護人は、その点の法解釈が争点になることに備えて、公共調達法制の第一人者上智大学の楠茂樹教授の意見書も提出していたが、検察官が法律論を争わず、弁護人と同じ見解を前提にして立証してきたので、裁判所も、意見書は不要と判断して証拠採用しなかったものだ。楠教授は、今回の判決について、【青梅談合事件無罪判決を読む 〜 なぜ検察は完敗したのか】で解説している。

検察が、捜査・起訴・公判の経過を全面的に検証し、反省すべき点を反省すべきであるにもかかわらず、単に、面子を守るだけでしかない無罪判決に対する控訴を行ったとすれば、「権力犯罪」そのものである。どう考えても、検察官の控訴申立ては、「検察内部での過誤」としか考えられない。

過ちて改めざる、是を過ちと謂ふ。

検察官は、ただちに控訴取下げをすべきである。

 

カテゴリー: 談合事件, 検察問題, 人質司法 | 4件のコメント